こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。先日、報道でこんなニュースを目にしました。介護職員へのカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」を理由に、事業所がサービスの提供を断れるルールを国として明確にするかどうか、審議会で議論が始まったそうです(介護ニュースJoint・2026年9月2日)。
「うちには関係ないかな」と思われたご家族も多いかもしれません。でも、わたしが訪問先でお会いするご家族の多くは、みなさん一生懸命で、決してハラスメントをするような方ではありません。だからこそ、この話を「怖い話」ではなく「介護職と良い関係を続けるヒント」として受け取っていただけたら、と思ってこの記事を書いています。
まずはニュースの中身をやさしく整理します
元記事によると、厚生労働省が来年度の介護報酬改定に向けて、カスハラ対策の強化を検討しているとのことです。焦点のひとつが、カスハラを理由にしたサービス提供の「断り方」です。
今のルールでは、訪問介護などの事業所は「正当な理由」なくサービスの提供を拒んではいけないと決められています。ところが、この「正当な理由」が具体的に何を指すのかがはっきりせず、現場が判断に迷う要因になっている、という指摘があるそうです。そこで、どんな場合にサービスを断れるのかをわかりやすく示せないか、という議論が始まったわけですね。
わたしも制度の細かいところは、正直に言うと最初は「むずかしいな」と感じました。ここでご紹介しているのはあくまで報道の範囲での話ですので、制度の細かい解釈や今後の決まり方については、お住まいの自治体の窓口や専門家にご確認いただくのが確実です。
審議会では「慎重に」という声もありました
この議論では、「職員の安全を守るためにルールを明確にすべき」という意見と、「慎重に考えよう」という意見の両方が出たそうです。
わたしが大切だなと感じたのは、慎重派の委員の方の「認知症の周辺症状による言動を、安易にカスハラと同列に扱うべきではない」という指摘です。
認知症の症状と、カスハラは別のものです
認知症のある方が、不安から大きな声を出されたり、強い言葉になってしまうことがあります。これはご本人がわざとしているわけではなく、病気にともなう症状であることが多いです。ご家族が「うちの親のこういうところ、カスハラって言われてしまうの?」と心配される必要は、基本的にはありません。介護の専門職は、そうした症状への向き合い方も学んでいます。ご不安なときは、ケアマネージャーさんや主治医の先生に相談しながら進めていけば大丈夫です。
ご家族と介護職が、気持ちよく関わり続けるために
現場でよくいただくご質問なのですが、「どこまでお願いしていいの?」という戸惑いは、多くのご家族がお持ちです。介護保険のサービスには「できること」と「できないこと」の線引きがあり、そこを知っておくだけでも、行き違いはぐっと減ります。目安として、次のようなことを心にとめておいていただけると、良い関係づくりにつながると思います。
- お願いしたいことは、まずケアマネージャーさんに相談して、ケアプランに位置づけてもらう
- 「契約に含まれないお手伝い」を毎回その場で頼むと、職員が対応に困ってしまう場合があります
- 夜間の緊急対応など、負担の大きいお願いは、事前にどこまで対応可能か確認しておく
- 気になることや不満は、その場で強く言うより、事業所やケアマネさんに落ち着いて伝える
- ヘルパーさんや相談員も一人の働く人。「ありがとう」のひと言が、実はいちばんの支えになります
わたしが担当させていただいたお客様の中には、最初は「他人を家に入れるのが不安」とおっしゃっていたご家族が、少しずつ介護職と信頼関係を築かれて、「もう家族の一員みたい」と笑ってくださる方もいらっしゃいます。良い関係は、どちらか一方ではなく、お互いの歩み寄りで育っていくものだなと、いつも現場で感じています。
福祉用具は「人と人の負担」もやわらげてくれます
先輩から教わったのですが、ご家族と介護職の間でトラブルになりやすい場面のひとつが、「介助が体力的にきつくて、余裕がなくなってしまう」ときだそうです。移乗や入浴、夜間のトイレなど、力のいる場面が続くと、どうしても心にゆとりがなくなってしまいますよね。
そんなとき、福祉用具が間に入ってくれることがあります。たとえば手すりや介助バーがあれば立ち上がりが楽になり、介護ベッドの高さを調整すればおむつ交換の腰への負担も軽くなります。移乗が大変な場合は、移動用リフトという選択肢もあります。道具が負担を引き受けてくれるぶん、人と人が穏やかに向き合える時間が増える——わたしはそう考えています。どんな用具が合うかは、お体の状態やお住まいによって変わりますので、ケアマネさんや相談員と一緒に選んでいきましょう。
千葉で在宅介護を続けるみなさんへ
千葉市やその近隣でも、在宅で介護を続けるご家族が本当に増えています。困ったときに一人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネージャーさんという「相談できる相手」を持っておくことが、遠回りのようでいちばんの近道だと感じています。今回のニュースは、介護職を守るための話であると同時に、「ご家族も安心して支援を受け続けられるように」という願いが込められた議論なのだと、わたしは受け止めています。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:介護ニュースJoint
