こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
9月28日、介護ニュースJointに、東洋大学の高野龍昭教授による「要介護の原因の移り変わり」についての解説記事が載りました。国の「国民生活基礎調査」のデータをもとに、介護が必要になった主な原因がどう変わってきたかをまとめた内容です。親御さんの介護が始まったばかりのご家族にも、これから始まるかもしれないご家族にも関わるお話なので、今日はこのニュースを入口に、現場で感じていることをお伝えします。
ニュースのポイント|要介護の原因はこう変わってきた
記事で紹介されていた内容を、わたしなりに整理すると次のとおりです。
- 介護が必要になった主な原因の上位5つ(認知症、高齢による衰弱、脳血管疾患、骨折・転倒、関節疾患)は、1998年ごろから顔ぶれが変わっていない
- 2016年に、調査開始からずっと1位だった脳血管疾患に代わって、認知症が1位になった
- 2025年の調査では、脳血管疾患がついにトップ3から外れて4位になった
- その背景として、t-PA療法などの急性期の治療や、回復期リハビリテーションの進歩が挙げられている
高野教授は、これからの「自立支援・重度化防止」では、人とのつながり(ソーシャル・キャピタル)をもっと大切にすべきだと述べています。WHOが示す「健康の社会的決定要因」、つまり健康は医療や本人の生活習慣だけでなく、暮らしている社会や経済の環境にも左右されるという考え方に沿ったものです。
細かいデータや政策の読み方については、元の記事や国の公表資料をご確認ください。
原因が変わると、介護の「始まり方」も変わります
このニュースを読んで、わたしがいちばん「なるほど」と思ったのは、介護の始まり方が変わってきているという点です。
脳卒中は、ある日突然倒れて入院し、退院に向けて病院のソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんと一緒に準備を進める、という流れになることが多いです。大変な出来事ですが、「ここから介護が始まる」とはっきり分かります。
わたし自身、大学生のころに祖母が脳梗塞で倒れ、家族みんなで慌てて在宅介護の準備をした経験があります。あのときは本当に突然でした。
一方、上位に並ぶ認知症や高齢による衰弱は、少しずつ進むことが多いものです。骨折・転倒も、その前に「最近よくつまずく」「足腰が弱ってきた」という時期が続いていることがよくあります。はっきりした始まりの日がないので、ご家族が気づいたときには、ずいぶん生活が大変になっていた…ということも少なくありません。
現場で感じる「いつの間にか介護」
先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。離れて暮らす娘さんから、「お盆に帰ったら、母が冷蔵庫に同じ食材をいくつも買い込んでいて、廊下の電気もつけずに歩いていたんです」とご相談をいただきました。お話をうかがうと、半年ほど前から電話で同じ話が増えていたそうです。
娘さんは「もっと早く気づいてあげればよかった」とおっしゃっていましたが、少しずつの変化は、一緒に暮らしていても見過ごしやすいものです。ご自分を責める必要はまったくありません。気づいたところから一緒に考えていけば大丈夫です。
ご家族が早めに気づくためのチェックポイント
現場でよくいただくご質問なのですが、「どんな変化があったら相談すればいいですか?」と聞かれることがあります。あくまで目安として、次のような様子が見られたら、一度相談してみるきっかけにしてください。
- 家の中でつまずいたり、壁や家具につかまって歩いたりすることが増えた
- 外出や買い物の回数が減り、家にこもりがちになった
- 食事の量が減った、体重が落ちたように見える
- 同じ話や同じ買い物が増えた、約束を忘れることが増えた
- お風呂やトイレに時間がかかるようになった
体調や認知機能の変化が気になる場合は、まず主治医にご相談ください。介護保険のことや暮らしの困りごとは、お住まいの地域の地域包括支援センターが無料の相談窓口です。千葉市の場合は各区に地域包括支援センターがありますので、「まだ介護というほどでは…」という段階でも、遠慮なく声をかけてみてください。
福祉用具でできる「転ばない・閉じこもらない」備え
ゆっくり進む変化に対しては、大がかりな準備よりも、小さな備えを早めに重ねていくことが大切だと、ベテランの先輩によく言われます。福祉用具専門相談員の立場からは、次のようなものをご提案することが多いです。
転倒を防ぐための用具
- 玄関やトイレ、廊下の手すり:工事のいらない置き型や突っ張り型もあります
- 玄関の段差を小さくする踏み台やスロープ
- ご本人の歩き方に合った杖や歩行器
要介護認定を受けていれば、手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは、要支援の方でも介護保険でレンタルできる品目に入っています。自己負担はだいたい1〜3割です(所得によって変わります)。
外に出る機会を守るための用具
高野教授が挙げていた「人とのつながり」は、わたしも現場で大事だと感じています。歩行器やシルバーカーがあることで「近所のスーパーまでなら行ける」「サロンや通いの場に顔を出せる」という方もいらっしゃいます。千葉市内でも、地域の集まりや体操教室などの通いの場があります。外に出る機会を守ることは、足腰だけでなく気持ちの元気にもつながることが多いです。
わたしが担当させていただいたお客様の中には、歩行器を使い始めてから、ご近所の方とのおしゃべりが日課に戻った方もいらっしゃいました。どの用具が合うかは、お身体の状態や住まいの環境によって変わりますので、ケアマネさんやわたしたち専門相談員にご相談ください。
制度の話は少しむずかしいですが…
「自立支援」「重度化防止」「ソーシャル・キャピタル」と、カタカナや専門用語が続くと、ちょっと身構えてしまいますよね。わたしも最初は混乱しました。
かんたんに言えば、「できることを長く続けてもらう」「悪くなるのをゆっくりにする」「人とのつながりを切らさない」ということです。ご家族にできるのは、小さな変化に気づくこと、そして早めに誰かに相談することです。
まとめ
- 要介護の原因は、認知症が1位になり、脳血管疾患はトップ3から外れたと解説されています
- ゆっくり進む原因が中心になると、介護は「いつの間にか」始まることが多くなります
- つまずき、閉じこもり、食事や物忘れの変化は、相談のきっかけの目安になります
- 手すりや歩行器などの福祉用具は、転倒を防ぎ、外に出る機会を守る助けになります
- 体のことは主治医に、介護のことは地域包括支援センターやケアマネさんにご相談ください
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考:介護ニュースJoint
