こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です!
「お風呂に入るのがこわくなってきた」「浴室で転んでしまいそう」——入浴中の転倒は高齢者の方に最もよく起こる事故のひとつです。福祉用具の専門相談員として訪問していると、「実はずっとひやひやしながら入っていた」とおっしゃるご家族に出会うことが少なくありません。
適切な入浴補助用具を使うことで、安全性が大きく向上することがあります。この記事では、主な入浴補助用具の種類・特徴・介護保険の活用方法について、できるだけわかりやすくご説明します。
入浴中の転倒リスクとその対策
浴室は家の中でも特に転倒しやすい場所です。濡れた床・浴槽のまたぎ動作・立ち上がり時のふらつきなど、危険が重なりやすい環境です。
東京消防庁のデータによると、高齢者の急病・事故が多い場所として浴室は常に上位に挙げられています。入浴補助用具は「あると便利」というよりも、安全な在宅生活を続けるために欠かせないものという考え方が広まっています。
(出典:厚生労働省「福祉用具貸与・特定福祉用具販売」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yougu/index.html)
入浴補助用具の主な種類
介護保険の特定福祉用具販売の対象となる入浴補助用具には、主に以下の種類があります。
| 用具名 | 主な用途 | 対象となる方の状態の目安 |
|---|---|---|
| シャワーチェア(入浴用椅子) | 浴室内での座位保持・立ち上がり補助 | 立ち続けることが難しい方 |
| 入浴グリップ(浴槽用手すり) | 浴槽のまたぎ・立ち上がりを補助 | バランスが不安定な方 |
| 浴槽内すのこ | 浴槽の底上げ・深さ調整 | 浴槽が深すぎて出入りが困難な方 |
| バスボード(浴槽用移乗台) | 浴槽のふちに腰かけて移乗 | 立ってまたぐことが難しい方 |
| 入浴台(バスリフト) | 浴槽への出入りを機械的に補助 | 介助者の負担を軽減したい場合 |
| 浴室内すのこ | 洗い場の底上げ・段差解消 | 洗い場と浴槽の段差が大きい場合 |
シャワーチェア(入浴用椅子)
入浴補助用具の中で最も多く使われているのがシャワーチェアです。浴室内で安定して座れるため、立ち続けることに不安がある方に向いています。背もたれの有無・肘かけの有無・座面の高さなど、本人の状態に合わせて選ぶことが大切です。折りたたみ式を選ぶと収納や持ち運びに便利なことが多いです。
入浴グリップ(浴槽用手すり)
浴槽のふちに取り付けるタイプが一般的です。浴槽をまたぐとき・立ち上がるときの支えになります。取り付け方法は製品によって異なりますが、工事不要で設置できるタイプも多く、特定福祉用具販売の対象になります。
浴槽内すのこ
浴槽の底に置いて深さを調整するものです。日本の浴槽は比較的深いものが多く、高齢者の方や下肢筋力が低下した方には出入りが難しくなることがあります。すのこで底を10〜20cm程度かさ上げするだけで、またぎやすさが大きく変わることがあります。
バスボード(浴槽用移乗台)
浴槽のふちに渡して使う板状の用具です。浴槽のふちに腰かけた状態でスライドして移乗できるため、脚の力が弱い方でも安全に入浴できることがあります。幅や素材(木製・プラスチック製)を確認して選ぶことが大切です。
介護保険の特定福祉用具販売制度とは
入浴補助用具の多くは、介護保険の「特定福祉用具販売」の対象です。これは、衛生面などの理由からレンタルではなく購入が適切とされる用具に適用される制度です。
特定福祉用具販売では、年間(4月〜翌3月)10万円を上限に、かかった費用の1〜3割の自己負担で購入できます。残りは介護保険から支給されます。
(出典:厚生労働省「福祉用具貸与・特定福祉用具販売」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yougu/index.html)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けた方 |
| 支給限度額 | 年間10万円まで(4月〜翌3月) |
| 自己負担割合 | 1割・2割・3割(所得に応じて異なります) |
| 購入方法 | 都道府県指定の特定福祉用具販売事業者から購入 |
| 申請方法 | 購入後に市区町村へ申請(事前申請が必要な自治体もあり) |
特定福祉用具販売の対象となる入浴補助用具は、国が定めた種目に限られます。購入前にケアマネージャーさんや福祉用具専門相談員に確認することをお勧めします。
選び方のポイント
入浴補助用具を選ぶ際は、浴室環境と本人の状態の両方を確認することが大切です。
浴室サイズを確認する
シャワーチェアや浴室内すのこは、浴室の広さに合ったサイズを選ばないと、動きにくくなることがあります。浴室の間口・奥行き・浴槽の高さ(ふちの高さ)を事前に測っておくと、選定がスムーズになります。
- シャワーチェアの座面高さ:目安として40〜45cm程度が標準ですが、椅子から立ち上がりやすい高さは個人差があります
- バスボードの幅:浴槽のふちの内寸より5cm以上広いものを選ぶと安定しやすいです
- 浴槽内すのこの厚み:浴槽の深さから逆算して選びます
本人の状態を確認する
- 立ち上がり能力:手すりや肘かけを使えば立てるか、座ったまま移動が必要かを確認します
- 片麻痺の有無:片側に麻痺がある場合、グリップや手すりの位置が重要になります
- 認知機能の状態:複雑な操作が難しい場合は、シンプルな構造のものが使いやすいことが多いです
- 体重・体格:耐荷重を確認します(多くの製品で100〜130kg程度が目安です)
滑り止め・防水の重要性
浴室用の福祉用具を選ぶ際、滑り止め加工と防水・防錆処理は必ず確認すべきポイントです。
浴室内は常に水が飛び散り、石鹸カスなどで足元が滑りやすい状態です。シャワーチェアの脚先に滑り止めゴムがついているか、バスボードの表面に滑り止め加工があるかを確認してください。
- 脚先のゴムキャップ:劣化するため定期的な点検が大切です
- アルミ・ステンレス製:錆びにくく衛生的に保ちやすいです
- 樹脂製:軽量で扱いやすいですが、素材によっては変色や変形に注意が必要な場合があります
また、定期的なお手入れも大切です。水垢やカビが溜まると滑りやすくなるため、使用後は水気を拭き取り、週に一度はしっかり洗うことをお勧めしています。
現場でのエピソード
あるご利用者のお宅に訪問した際、ご本人が「最近、浴槽から出るときに何度も転びそうになった」とおっしゃっていました。浴室を拝見すると、浴槽のふちが高く、シャワーチェアも置いていない状態でした。
バスボードとシャワーチェアを組み合わせた方法を提案したところ、「これなら安心して入れる」と喜んでいただきました。入浴は身体的な清潔だけでなく、精神的なリフレッシュにもつながります。安全に入浴できる環境を整えることの大切さを、改めて感じた訪問でした。
よくあるご質問
参考にした情報
- 厚生労働省「福祉用具貸与・特定福祉用具販売」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yougu/index.html (2026年5月時点)
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報システム」 https://www.techno-aids.or.jp/ (2026年5月時点)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html (2026年5月時点)
まとめ
- 入浴補助用具は特定福祉用具販売の対象で、年間10万円まで保険適用(1〜3割自己負担)
- 主な種類はシャワーチェア・入浴グリップ・浴槽内すのこ・バスボードなど
- 選び方は浴室サイズ・本人の状態(立ち上がり能力・麻痺の有無など)の両方を確認する
- 滑り止め・防水・防錆処理は必ず確認する
- まずはケアマネージャーさんや福祉用具専門相談員への相談がスタートライン
入浴はご本人の生活の質に大きく関わります。「ちょっと不安だな」と感じたら、早めにご相談いただけると幸いです。
千葉県で入浴補助用具の相談・購入をご検討中なら、創業35年の株式会社シルバーとっぷへ。お気軽にご相談ください。
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※本記事の情報は2026年時点のものです。最新の制度内容は厚生労働省または各自治体にご確認ください。本記事は医療・治療に関するアドバイスを目的としたものではありません。
