柏市・柏モデルが示す在宅医療介護連携|豊四季台団地の高齢化先進地から学ぶ福祉用具の使い方

こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です。

「柏モデル」という言葉を聞いたことがありますか?柏市豊四季台団地を舞台に、東京大学・UR都市機構・柏市が連携して生み出した在宅医療介護連携の先進モデルです。全国の自治体が「うちでもやりたい」と視察に訪れるほど注目されるこの取り組み、福祉用具の仕事をしているわたしも、柏市でお客様のお宅にうかがうたびに「この街の連携の底力」を感じています。

「柏モデル」とは何か――全国に広まった在宅医療介護連携の先進例

「柏モデル」(正式名称:柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会)は、2009年に東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)・UR都市機構・柏市の三者が共同で設立した取り組みです。

発祥の地は、柏市南西部に広がる豊四季台団地。1960〜70年代に建設されたUR賃貸(旧公団)の中層集合住宅が密集するこの団地は、入居第一世代が一斉に高齢期を迎えたことで、高齢化率が40%を超える全国でも屈指の「超高齢団地」となりました。

「こんなに高齢者が集まっているのだから、団地ごと『在宅ケアのモデル地区』にしてしまおう」——そんな発想の転換から柏モデルは生まれました。在宅医療の拠点整備・訪問看護ステーション・デイサービス・就労支援・コミュニティ形成の三本柱で取り組み、多職種が定期カンファレンスを行う体制が整いました。
(出典:東京大学高齢社会総合研究機構「柏プロジェクト」 https://www.iog.u-tokyo.ac.jp/kashiwaproject/

この取り組みは後に全国の自治体が参考にする「在宅医療介護連携推進事業」のモデルケースとなり、厚生労働省も各地への普及を後押しするようになりました。柏市が「在宅介護の先進地」と呼ばれる所以がここにあります。
(出典:厚生労働省「在宅医療介護連携推進事業の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/zaitaku/index.html

豊四季台団地の今――高齢化率40%超の団地での暮らし

豊四季台団地は、東武アーバンパークライン(野田線)の豊四季駅・高柳駅から徒歩圏内に広がる広大な住宅地です。3〜5階建ての棟が並び、エレベーターなしの建物も多く残っています。

わたしが訪問する際、真っ先に気になるのが段差と廊下幅の問題です。建設当時の設計基準では廊下幅が80cm未満の住戸も珍しくなく、車椅子の通行が難しいケースがあります。また、玄関の上がり框(あがりかまち)の段差も10〜15cmほどあり、足腰が弱くなった方には大きな障壁になります。

こうした環境では、以下の福祉用具が特に役立ちます。

  • 玄関用手すり(突っ張り式・据置型):工事不要で壁を傷つけないため、UR賃貸でも使用できます
  • 携帯用スロープ:玄関の上がり框に設置する折りたたみ式のもの
  • コンパクト型歩行補助つえ:廊下幅が狭い住戸でも使いやすい細身のタイプ
  • 置き型手すり(床置きタイプ):壁への固定工事なしで浴室前や廊下に設置できるもの

賃貸住宅に住まわれている方から「壁に穴を開けられないので工事ができない」というご相談をよくいただきますが、介護保険でレンタルできる福祉用具の多くは工事不要のタイプですのでご安心ください。

柏市の在宅医療介護連携の仕組み――かしわ在宅ケアネットと多職種連携

柏モデルの精神を受け継ぎ、柏市では柏市在宅医療介護連携推進協議会が設置されています。医師・訪問看護師・ケアマネジャー・薬剤師・歯科医師・理学療法士・社会福祉士など、在宅ケアに携わるさまざまな職種が定期的に集まり、情報共有や課題検討を行っています。

福祉用具専門相談員であるわたしも、多職種連携の一員として機能しています。ケアマネジャーさんや訪問看護師さんからの情報をもとに「今の身体状況にはどんな福祉用具が合っているか」を判断し、適切な用具をご提案するのがわたしの役割です。

柏市では市公式サイトに在宅医療介護に関する情報がまとめられています。ケアマネジャーさんを探している場合や、地域の支援機関を知りたい場合は、柏市の地域包括支援センターに相談するのが最初のステップです。
(出典:柏市「在宅医療・介護連携」 https://www.city.kashiwa.lg.jp/koufuku/kaigo/zaitakuiryo/index.html

柏市の多様な住環境――大規模住宅地・農村・新興住宅地での福祉用具選び

柏市は一見すると「団地・ニュータウンの街」というイメージが強いですが、実際には非常に多様な住環境が広がっています。

① 豊四季台・光ヶ丘・高柳などの大規模住宅地
エレベーターなし中層棟が多く、階段昇降での転倒リスクが高い環境です。2階以上に住む方には、特に手すり・歩行補助つえ・段差解消スロープが役立ちます。

② 旧沼南地区(柏市南部)の農村地帯
2005年の合併で柏市に編入された旧沼南町のエリアです。手賀沼周辺や大津ヶ丘など、古い農家や一戸建てが多く残ります。土間がある農家造りの住宅では、室内段差が複数か所あることが多く、手すりやスロープが重要です。また、農村部は介護サービス事業所へのアクセスも都市部より難しく、福祉用具専門相談員の訪問時に一度で多くの問題を解決できるよう心がけています。

③ 柏の葉キャンパス周辺の新興住宅地
つくばエクスプレス(TX)柏の葉キャンパス駅周辺は東京大学柏キャンパスや千葉大学環境健康フィールド科学センターと連携した「柏の葉スマートシティ」として開発が進む比較的新しい街です。入居世帯は若い世代が多いですが、市全体の高齢化が進む中で、今後の高齢化に備えた早めの住環境整備の相談も増えてきています。

柏市の医療体制と退院後の在宅復帰支援

柏市には複数の医療機関があり、急性期から回復期まで幅広くカバーしています。柏市立病院・東京慈恵会医科大学柏病院をはじめとする各医療機関は地域の在宅ケアとの連携を重視しており、退院支援の仕組みが整っています。(詳細は各医療機関または柏市公式サイトをご確認ください。)

退院後の在宅復帰においては、退院前カンファレンスに福祉用具専門相談員が参加するケースも増えています。病院のソーシャルワーカーやリハビリ担当者と連携し、「退院したその日から安全に生活できる」よう住宅内の環境を整えることがわたしたちの使命です。

例えば、退院後にトイレへの往復が心配な方にはポータブルトイレや手すりを先にご準備することで、退院初日の転倒リスクを大幅に下げることができます。

UR賃貸でも使える福祉用具の選び方

豊四季台団地をはじめ、柏市にはUR賃貸(旧公団住宅)に住む高齢者が多くいらっしゃいます。UR賃貸では壁や床への工事・改造は原則禁止されていますが、介護保険の福祉用具レンタルで扱う多くの用具は工事不要です。

UR賃貸でも安心して使える主な用具

  • 据置型手すり(突っ張り式・床挟み込み式):設置・撤去が自由にできます
  • 携帯用スロープ:必要なときだけ設置・収納できます
  • 歩行補助つえ・歩行器:当然工事不要です
  • 介護ベッド(特殊寝台):組み立て・分解ができる設計です
  • 車椅子:廊下幅に合ったサイズを選べます

URでは「高齢者向け優良賃貸住宅」や「あんしん住居サービス」など高齢者向けの制度もあります。福祉用具の導入と合わせてご検討いただくと、より安心な住環境が整います。

柏市の要介護認定と介護保険申請の流れ

柏市で介護保険の福祉用具レンタルを利用するには、まず要介護(要支援)認定が必要です。申請窓口は柏市内の各地区の地域包括支援センターまたは柏市役所の介護保険課です。

認定申請から結果通知まで通常30日程度かかりますが、急いで福祉用具が必要な場合は「暫定利用」という形で先にサービスを開始することができます。担当のケアマネジャーさんにご相談ください。

柏市の介護保険に関する詳細は柏市公式サイトをご参照ください。
(出典:柏市「介護保険」 https://www.city.kashiwa.lg.jp/koufuku/kaigo/index.html

よくあるご質問

Q
豊四季台団地のUR賃貸に手すりを付けられますか?
A
はい、工事不要の据置型手すり(突っ張り式や床置き式)であれば問題なく設置できます。介護保険のレンタル品の多くはUR賃貸に対応しています。壁への固定工事が必要な手すりは住宅改修の扱いになり、UR側の許可が必要になりますので、まずわたしたちにご相談ください。
Q
柏モデルのサービスとシルバーとっぷは連携できますか?
A
はい、シルバーとっぷは柏市内で活動するケアマネジャーさんや訪問看護ステーションと連携してサービスを提供しています。多職種連携カンファレンスへの参加も含め、必要に応じてチームの一員として動きます。ご担当のケアマネジャーさんを通じてご依頼ください。
Q
柏市の農村部(沼南地区)まで配達してもらえますか?
A
はい、柏市全域に対応しています。旧沼南地区(手賀沼周辺・大津ヶ丘など)の農村エリアにも訪問しています。配送前に住所をお知らせいただければ、到着予定時間をご連絡できます。
Q
柏の葉キャンパス周辺でも対応していますか?
A
はい、柏の葉キャンパス周辺も対応エリアです。まだ介護が必要なわけではないけれど「将来のために住環境を整えておきたい」というご相談も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
Q
柏市の要介護認定はどこで申請しますか?
A
柏市役所介護保険課または各地区の地域包括支援センターで申請できます。地域包括支援センターは市内に複数あり、担当エリアが決まっています。柏市公式サイトで最寄りの支援センターを確認してから相談されると手続きがスムーズです。

まとめ

  • 「柏モデル」は2009年に東大IOG・UR都市機構・柏市が連携して設立した在宅医療介護連携の全国的先進例
  • 豊四季台団地は高齢化率40%超の超高齢団地で、在宅ケアの拠点が集積している
  • UR賃貸でも使える工事不要の福祉用具が介護保険レンタルの大半を占める
  • 柏市では多職種連携の体制が整っており、福祉用具専門相談員もチームの一員として機能
  • 農村部(沼南地区)・大規模住宅地・新興住宅地など住環境によって最適な用具が異なる
  • 要介護認定の申請は柏市役所介護保険課または地域包括支援センター

柏市で在宅介護をお考えの方、または今すぐ福祉用具が必要な方、まずはわたしたちにご相談ください。柏モデルの精神を受け継ぐ地域連携の中で、シルバーとっぷも皆様の在宅生活を力いっぱい支えます。

柏市で福祉用具レンタル・介護用品をお探しなら、創業38年の株式会社シルバーとっぷへ。柏市全域に対応しています。
お問い合わせフォームはこちら

参考にした情報

著者:雲居 愛(くもい あい)

株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心に県内全域のご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。

※本記事の情報は2026年6月時点のものです。制度・施設情報は変更される場合がありますので、最新情報は各自治体・医療機関の公式サイトをご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました