配偶者が認知症だと自分も発症リスク上昇?老老介護の負担を減らす福祉用具

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。先日、ニュースを見ていて少し胸がざわついた記事がありました。台湾の大規模な研究で、「配偶者が認知症になると、自分自身も認知症を発症するリスクが高まる」という報告が紹介されていたのです。ご夫婦で長く支え合ってこられたご家庭にとっては、少しどきっとする話題かもしれません。今日はこのニュースを入口に、わたしが現場で日々感じている「老老介護(ろうろうかいご)」のご負担と、その負担を福祉用具で少しでも軽くするヒントを、ご家族目線でお話しさせてください。

まずはニュースの内容を、落ち着いて整理します

報じられていたのは、台湾で1998〜2022年の診療記録をもとに、約95万人という大人数を追跡した研究です。それによると、配偶者が認知症と診断された方は、そうでない方に比べて、女性で約74%、男性で約69%、自身も認知症を発症するリスクが高かった、とされています。数字だけを見ると不安になりますが、研究の中では「家庭内で介護が行われている可能性や、それに伴うストレス、認知症のパートナーと日常的に接することの影響が示唆される」と説明されていました。

ここで大切なことをひとつ。わたしは福祉用具の専門相談員で、医療の専門家ではありません。認知症の原因や予防、診断については、必ず主治医や専門の医療機関にご相談ください。ですのでこの記事では、研究結果そのものを深追いするのではなく、「ご夫婦での介護には、それだけ大きな心と体の負担がかかっている」という部分に注目してお話しします。目安として、という前置きつきの数字ではありますが、それでもご家族が受け止める負担の大きさを物語っているように、わたしには感じられました。

千葉でも増えている「老老介護」の現場から

千葉県内でも、高齢のご夫婦お二人だけで暮らしていらっしゃるご家庭は本当に増えています。わたしが担当させていただいたお客様の中にも、80代のご主人が同じく80代の奥さまを介護されている、というケースは少なくありません。息子さん・娘さんが東京方面にお勤めで、平日はどうしてもご夫婦だけになってしまう、というお宅も多いです。

先日うかがったお宅でも、介護をされているご本人が「自分が倒れたら、この人はどうなるのか」と、ぽつりとおっしゃったことがありました。介護は、する側の心と体もじわじわとすり減っていきます。今回のニュースは、その「介護する側の負担」が数字の背景にも影響しているかもしれない、と示している点で、わたしはとても大事だと感じました。だからこそ、「介護する方の負担をどう減らすか」を、ご家族みんなで考えていただきたいのです。

福祉用具は「介護される人」だけの道具ではありません

意外に思われるかもしれませんが、福祉用具は「介護される方」のためだけの道具ではありません。ベテランの先輩によると、上手に使えば「介護する方」の腰やひざ、そして気持ちの負担を大きく減らせる、とのこと。わたしも現場で、その効果を何度も実感しています。老老介護のご家庭で、特にご相談の多いポイントをいくつかご紹介します。

  • 介護ベッド:高さを調整できるので、起き上がりや立ち上がりの介助がぐっと楽になります。介助する方が腰をかがめる姿勢が減り、腰痛の予防にもつながることが多いです。
  • 手すり(工事不要タイプも):ベッドわきや玄関、トイレへの動線に置くだけで、ご本人が自分でつかまって動ける範囲が広がります。結果として、介助の手間も減っていくことがあります。
  • 車椅子・歩行器:お身体に合った一台を選ぶことで、移動の付き添いがぐっと安全になります。合わない道具を無理に使うと、かえって介助者の負担が増えてしまうこともあるので、選び方が大切です。
  • 移乗を助ける用具・スライディングボード等:ベッドと車椅子の間の移動は、介助者の腰を最も痛めやすい場面です。道具の力を借りることで、お二人とも安全に過ごしていただけます。

数字を出すのは難しいのですが、目安として、こうした用具の多くは介護保険を使うと自己負担1割〜3割でレンタルできます。ご負担の割合は、お手元の負担割合証でご確認ください。

認知症のご家族には「見守り」の道具も

認知症の症状がある方の介護では、目を離せない不安が、介護する方の大きなストレスになります。現場でよくいただくご質問なのですが、「夜、一人で外に出てしまわないか心配で眠れない」というお声です。こうした場合には、玄関や居室に置くセンサーや、離れた場所へ通知が届く徘徊感知機器なども選択肢になります。すべてを人の目だけで抱え込まず、道具にも少し手伝ってもらう。それが、介護を長く続けるコツだと、わたしは先輩から教わりました。

「休む」ことも、りっぱな介護です

老老介護でいちばん心配なのは、介護する方が休めないことです。今回のニュースも、日々のストレスや負担が背景にある可能性を示していました。だからこそ、意識して「休む」時間をつくっていただきたいのです。ショートステイ(短期入所)やデイサービスを組み合わせて、介護する方がひと息つく「レスパイトケア」は、決して手抜きではありません。ご家族の暮らしを守るための、とても大切な工夫です。わたしも制度の話は最初とても混乱しましたので、「難しそう」と感じられて当然だと思います。

どこに相談したらいいか分からないときは、まずお住まいの地域包括支援センターへ。千葉市であれば各区に、近隣の市にもそれぞれ窓口があります。ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、「もっと早く相談してよかった」とおっしゃるご家族がとても多いです。制度の細かい適用条件などは、ケアマネさんや自治体の窓口、専門家にご確認くださいね。

ご家族へ、わたしからのお願い

離れて暮らすご家族の方には、ぜひ「介護している親の体調」にも気を配っていただきたいのです。介護されている方だけでなく、介護している方が疲れていないか。電話やご帰省のときに、そっと様子を見てあげてください。そして「ひとりで頑張らなくていいよ」と声をかけてあげてください。福祉用具も、制度も、わたしたち専門相談員も、そのためにあります。

ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。

参考:ニューズウィーク日本版

雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。

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