こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。まだまだ蒸し暑い日が続く千葉ですが、みなさんのお宅は大丈夫でしょうか。今日は、少し前に目にとまったある調査をきっかけに、離れて暮らす親御さんの「室温」についてお話しさせてください。
2026年8月に発表されたBROWN研究所の調査で、高齢者のお宅を訪問する医療・介護職444人のうち、じつに88.3%が「声かけだけでは高齢者の室温管理は改善しない」と答えた、という結果が紹介されていました。さらに、声かけをした次の訪問時に「またエアコンが消えていた」経験がある方が78.6%にのぼったそうです。この数字を見て、わたしは現場で何度もいただくご相談を思い出しました。
「暑くないよ」と言う親御さんが、じつは危ないことも
先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。汗ばむほどの室内なのにエアコンがついておらず、ご本人はにこにこと「今日はちっとも暑くないよ」とおっしゃっていました。付き添っていた娘さんが、そっと「いつもこうなんです」とため息をついていたのが印象的でした。
先輩から教わったのですが、年齢を重ねると暑さや喉のかわきを感じにくくなることがあるそうです。だからご本人はいたって元気なつもりでも、体には熱がこもってしまう。ここに「もったいないから」「昔はエアコンなんてなかった」という気持ちが重なって、つい電源を切ってしまう――そんな場面を、わたしも訪問先で本当によくお見かけします。
ここで大切なのは、これは決して「言うことを聞いてくれない」という話ではない、ということです。感じ方そのものが変わっているので、いくら電話で「暑いでしょう、つけてね」とお願いしても、ご本人には届きにくい。冒頭の調査結果は、まさにその難しさを裏づけているように思います。なお、暑さの感じ方や体調は持病やお薬の影響を受けることもあります。気になる変化があるときは、自己判断なさらず、まずは主治医にご相談くださいね。
「声かけ」に頼りすぎず、環境そのものを整える
では、離れて暮らすご家族には何ができるのでしょうか。わたしがおすすめしたいのは、「言葉で伝える」ことに加えて、「見て分かる」「気づける」しくみを、お部屋そのものに用意しておくことです。
①大きな文字の温湿度計を、目に入る場所に
まずは、数字で「今の暑さ」が見える道具です。高齢の方にも読みやすい大きな表示の温湿度計を、リビングのよく見える場所に置いておくだけでも、ずいぶん違います。「28度をこえたらスイッチを入れようね」と、具体的な目印を一緒に決めておくと、ご本人も動きやすくなります。目安として室温28度・湿度60%あたりが一つの目安といわれますが、体調や体格によっても変わりますので、あくまで参考になさってください。
②リモコンは「大きく・分かりやすく」
意外と多いのが、「リモコンの使い方が分からなくて、なんとなく消してしまう」というケースです。ボタンが小さくて操作しづらい、表示が読めない、という声を現場でよくいただきます。よく使うボタンにシールで印をつける、リモコンの定位置を決めておく、といったちょっとした工夫でも、ぐっと使いやすくなることがあります。
③離れていても「気づける」見守りの工夫
最近は、お部屋の温度や湿度をスマートフォンで確認できる見守り機器も増えてきました。遠距離で介護をされているご家族から、「実家の様子が数字で分かるだけで安心できた」というお声もいただきます。こうした機器は介護保険のレンタル対象ではなく自費でご用意いただくものが多いのですが、選択肢の一つとして知っておいていただくと心強いと思います。どんな備えが合うかは、担当のケアマネージャーさんに一度ご相談いただくのがおすすめです。
福祉用具の相談員として、お手伝いできること
「暑さ対策」と聞くとエアコンや扇風機を思い浮かべる方が多いのですが、じつは暑い季節は、お部屋の環境全体を見直す良いきっかけでもあります。たとえば、汗をかいたあとに着替えやすいよう寝室の動線を整えたり、通気のよい床ずれ防止用具を検討したり、夜間の水分補給やトイレが安全にできるよう手すりやポータブルトイレを見直したり。暑さで体力が落ちる時期こそ、転倒や体調の崩れにも気を配りたいところです。
わたしが担当させていただいたお客様の中には、「エアコンの相談のつもりで呼んだのに、家全体の暮らしやすさまで一緒に考えてもらえた」と言ってくださる方もいらっしゃいます。福祉用具専門相談員は、道具そのものだけでなく、その方の一日の過ごし方まで含めてお話をうかがうのが仕事です。ケアマネージャーさんからも、夏の時期は環境まわりのご相談をよくいただきます。
制度や道具の細かい点、たとえば「これは介護保険で借りられるの?」といったご質問は、お住まいの自治体の窓口やケアマネージャーさんにご確認いただくのが確実です。わたしも最初は制度の線引きに混乱しましたので、分からないことは遠慮なく聞いていただいて大丈夫ですよ。
まずは「責めない声かけ」から
最後に一つだけ。エアコンが消えていても、どうか「なんで消したの」と責めないであげてください。ご本人には、暑いという実感がないだけなのです。「暑い日は心配だから、この数字を見て動いてくれると安心だな」と、道具の力を借りながら、やさしく伝えていく。それが、遠くにいても親御さんを守る一番の近道だと、わたしは現場で感じています。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。実家の親御さんの夏が心配なとき、福祉用具のことでご不安があるときは、いつでもお気軽にご相談くださいね。
