こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です。
「夫が末期がんの診断を受けました。できる限り自宅で過ごさせてあげたいのです。何を準備すれば良いですか?」——このようなご相談は、福祉用具専門相談員として最も重みを感じる場面のひとつです。
「自宅で最期を迎えたい」「家族に囲まれて逝きたい」という方が増えており、在宅看取りへの関心が高まっています。福祉用具は看取り期の在宅生活を支える重要な「道具」です。この記事では、緑区での在宅看取りを支援する福祉用具の役割と、訪問診療・訪問看護との連携方法をご説明します。
在宅看取りという選択——増える在宅での看取り支援
厚生労働省の調査によると、「最期を迎えたい場所」として「自宅」を希望する方の割合は高く、一方で実際に自宅で亡くなる方の割合との間にはギャップがあります。この「希望と現実のギャップ」を埋めるため、千葉市でも在宅看取り支援の体制整備が進んでいます。
(参考:厚生労働省「在宅医療・介護連携推進事業」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html)
在宅看取りには、訪問診療医・訪問看護師・ケアマネージャー・福祉用具専門相談員など多職種のチームが欠かせません。それぞれの役割を理解した上で、チームとして連携することが大切です。
看取り期に特に必要な福祉用具
看取り期(人生の最終段階)には、以下の福祉用具が特に重要です。
①電動介護ベッド(特殊寝台)——背上げ機能が特に重要
看取り期の方は長時間ベッドに横になっている時間が多くなります。このとき重要なのが背上げ機能です。
- 食事・水分補給の際に上半身を起こすことで誤嚥(ごえん)リスクを低減する
- 呼吸が苦しいときに上体を起こすことで楽になることがある
- 本人の希望に応じて姿勢を変えることができ、尊厳の維持につながる
②エアマット(床ずれ防止用具)——寝たきりの方には必須
看取り期に向かうにつれて活動性が低下し、寝返りができなくなる時期が来ます。この段階では交替圧型エアマットが床ずれを防ぐ上で欠かせません。
ご家族が介護者として体位変換を行う必要はありますが、エアマットがあることで夜中の頻繁な体位変換を減らし、ご家族が少し休める時間を確保できます。
③ポータブルトイレ——移動距離の短縮
体力が低下した看取り期の方にとって、トイレまでの移動距離を短くすることが重要です。ベッドサイドへのポータブルトイレ設置で、夜中のトイレ移動の負担を軽減できます(ポータブルトイレは介護保険の購入品)。
④体位変換クッション・体位変換器
さまざまな形状のクッションを体の下に入れることで、体位を変える補助ができます(介護保険レンタル対象)。浮腫のある部位の除圧や、呼吸が楽になる姿勢の維持に役立ちます。
訪問診療医・訪問看護師と福祉用具専門相談員の連携
看取り期の在宅支援では、医療と介護の連携が欠かせません。福祉用具専門相談員としてわたしが担う役割をご説明します。
「看取りケア計画」への福祉用具の組み込み
ケアマネージャーが作成する「看取りケア計画」(または終末期のケアプラン)の中に、福祉用具の項目を組み込んでいただきます。
- どのような状態になったらエアマットを導入するか
- 体位変換の頻度と方法
- ベッドの背上げ角度の目安
これらを事前にチームで共有しておくことで、状態が急変したときにも迷わず対応できます。
訪問看護師との具体的な連携内容
訪問看護師さんから「エアマットの圧設定を変えてほしい」「体位変換クッションの位置を調整してほしい」という依頼を受け、わたしが対応することがあります。
「この患者さんにはどの設定が最適か」を訪問看護師さんと一緒に考えることが、質の高い看取りケアにつながります。緑区でも、わたしと連携していただける訪問看護ステーションを通じてご相談いただけます。
緑区の訪問診療クリニック・訪問看護ステーションの調べ方
緑区で在宅看取りに対応している訪問診療クリニックや訪問看護ステーションは、千葉市の「介護サービス情報公表システム」で調べることができます。
(参考:千葉市「介護サービス情報公表システム」https://www.city.chiba.jp/koufuku/kaigo/hokenjigyou/kouji.html)
またケアマネージャーさんが在宅看取りに対応している訪問診療医を紹介してくれることも多いです。「自宅で看取りたい」という希望をまず担当のケアマネージャーさんに伝えてください。
エアマット・体位変換クッションの使い方を家族に伝えるサポート
看取り期の在宅介護では、ご家族が24時間そばにいることが多く、医療・介護の専門家ではない方が福祉用具を操作する必要があります。
わたしがお宅に伺う際には、以下のことをご家族にご説明するようにしています。
- エアマットのコントローラーの操作方法(圧設定の変え方)
- アラームが鳴ったときの対処法
- 体位変換クッションの置き方・角度の調整方法
- ベッドの背上げ角度の目安と注意点
「機械を使うのが苦手」という方も多いですが、実際に操作してみると「これならできる」とおっしゃっていただけることが多いです。何度でも練習していただきますので、安心してください。
看取り後の福祉用具返却とグリーフケア
返却手順
ご本人が亡くなられた後、レンタルしていた福祉用具は速やかに返却します。
- ケアマネージャーまたはシルバーとっぷに連絡する
- ご遺族のご都合に合わせて回収日程を調整する
- スタッフが自宅に伺い、丁寧に回収・搬出する
「看取りの後で片付けることが大変」というご遺族もいらっしゃいます。わたしたちは迅速かつ丁寧に対応し、ご遺族のご負担を最小限にするよう心がけています。
グリーフケア(死別後の悲嘆支援)のリソース
大切な方を亡くされた後の悲嘆(グリーフ)は、人それぞれで様々な形で現れます。「悲しいのは当たり前」ですが、あまりにも日常生活に支障が出るほど辛い場合は専門家のサポートが助けになります。
千葉市では各区の保健福祉センターで心理的サポートの相談を受け付けています。また地域包括支援センターに相談することで適切なリソースを紹介してもらえます。
(参考:千葉市「保健福祉センター一覧」https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/index.html)
よくあるご質問
まとめ
- 看取り期には介護ベッド(背上げ機能)・エアマット・体位変換クッションが特に重要
- 訪問診療医・訪問看護師・ケアマネージャーと福祉用具専門相談員がチームとして連携する
- 「看取りケア計画」に福祉用具の方針を組み込んで状態変化に備える
- ご家族への福祉用具の使い方指導もシルバーとっぷが行う
- 返却はご遺族のご都合に合わせて丁寧に対応する
- 看取り後のグリーフケアは千葉市の相談窓口を活用する
大切な方の「最期をどう過ごしてもらいたいか」という願いに、わたしたちは福祉用具という形でお応えします。「何から準備すれば…」という状況でも、まずはご相談ください。
参考にした情報
- 厚生労働省「在宅医療・介護連携推進事業」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000060713.html(2026年6月時点)
- 千葉市「介護サービス情報公表システム」 https://www.city.chiba.jp/koufuku/kaigo/hokenjigyou/kouji.html(2026年6月時点)
- 千葉市「保健福祉センター一覧」 https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/index.html(2026年6月時点)
雲居 愛 / 株式会社シルバーとっぷ 福祉用具専門相談員
免責事項:本記事の情報は2026年時点のものです。最新の制度内容は厚生労働省または各自治体にご確認ください。
