床ずれは栄養とセットで考える|在宅介護でご家族ができる予防とマット選び

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。

みなさんは、寝ている時間が長くなってきた親御さんの「床ずれ」について、不安を感じたことはありませんか? 「マットを替えれば大丈夫かな」と考えるご家族は多いのですが、実は床ずれには食事や栄養も深く関わっているといわれています。

今回は、シルバー産業新聞で紹介された「栄養と褥瘡ケアを一体的に考える」というニュースをきっかけに、ご家族が在宅でできる床ずれ予防について、福祉用具専門相談員の目線でお話しします。

ニュースの概要|床ずれと栄養を「一緒に」考える取り組み

記事では、病院の医師とクリニックの管理栄養士による講演の内容が紹介されていました。ポイントを、記事に書かれている範囲でまとめます。

  • 褥瘡(じょくそう=床ずれ)は、体にかかり続ける外からの力によって皮膚が傷つくもので、圧迫・ズレ・摩擦・湿潤(湿り気)・低栄養など、いくつもの要因が関係していること
  • 床ずれの状態を評価する方法として、ブレーデンスケールやOHスケール、日本褥瘡学会が開発した「DESIGN-R」といった指標があること
  • 医師・皮膚排泄ケア認定看護師・管理栄養士の3職種がチームで在宅訪問を行う取り組みが紹介され、記事によると、およそ6年間で37人に関わり、介入から6カ月後にはおよそ半数の方で傷の表面が皮膚で覆われた(上皮化した)とのこと

専門職がチームを組んで「傷の手当て」と「栄養」を同時に支えることで、在宅でも改善につながったケースがある、という内容です。詳しい数値や評価方法の中身は、ぜひ元記事でご確認ください。

床ずれは「マットだけ」では防ぎきれないことがあります

現場でよくいただくご質問なのですが、「エアマットを借りれば、もう床ずれは心配ないですよね?」と聞かれることがあります。

もちろん、体圧を分散するマットはとても大切な道具です。ただ、先輩から教わったのですが、床ずれは「圧力」「ズレ」「湿り気」「栄養」の掛け算で起こりやすくなるものなので、どれか一つだけを対策しても十分でない場合があるそうです。ニュースで挙げられていた要因も、まさにこの考え方と重なっていました。

福祉用具で主に支えられるのは「圧力」と「ズレ」の部分です。一方で「栄養」や「皮膚の湿り気」は、毎日の食事やおむつ交換など、ご家族や訪問看護師さん、ヘルパーさんの関わりが大きい部分になります。

ご家族が気づきやすい「栄養」のサイン

栄養状態の判断は医療職のお仕事ですので、わたしから「この方は低栄養です」と言うことはできません。ただ、ご家族が日々の暮らしの中で気づけるサインはあります。

  • 食事を残すことが増えた、食べるのに時間がかかるようになった
  • 服やズボンのウエストがゆるくなった、顔がほっそりしてきた
  • 水分をあまりとらなくなった
  • かかとやお尻、背骨の出っ張った部分が以前より目立つようになった

こうした変化に気づいたら、「年だから仕方ない」と流さずに、ケアマネさんや主治医、訪問看護師さんに伝えてみてください。必要に応じて、管理栄養士さんによる訪問の栄養相談などにつながることもあります。

福祉用具でできる床ずれ予防のポイント

1. 体圧分散マットの見直し

床ずれ防止用具は、介護保険でレンタルできる品目の一つです(利用できる要介護度には条件があります)。ウレタンタイプやエアタイプなど種類があり、ご本人がどのくらい自分で寝返りできるか、ベッドの上でどのくらい過ごすかによって合うものが変わります。

ベテランの先輩によると、「やわらかければやわらかいほど良い」とは限らず、寝返りや起き上がりがしにくくなってしまう場合もあるそうです。体の状態が変わったら、マットも一緒に見直すタイミングだと考えてください。

2. 「ズレ」を減らす姿勢とベッド操作

介護ベッドの背上げをしたとき、体が足元のほうへずり落ちていくと、お尻や背中の皮膚が引っ張られてしまいます。背上げの前に膝を少し上げる、背上げの後に一度背中を浮かせて服のシワや引っ張りを戻す(「背抜き」といいます)など、ちょっとした工夫でズレを減らせることがあります。使い方は、担当の福祉用具専門相談員にいつでも聞いてください。

3. 食事のときの姿勢も大切に

しっかり食べるためには、座った姿勢の安定も欠かせません。ベッドの上で食べるのか、車椅子やいすに移るのかによって、クッションやテーブルの工夫が変わります。姿勢が安定すると食事がとりやすくなる方もいらっしゃいます。

現場で感じた「チームで見る」ことの大切さ

わたしが担当させていただいたお客様の中に、エアマットに替えたあとも、なかなかお尻の赤みが引かない方がいらっしゃいました。ご家族は「マットが合っていないのでは」と心配されていたのですが、サービス担当者会議でお話をうかがうと、ここ最近は食事量がかなり減っていたことが分かりました。

そこからケアマネさんが主治医や訪問看護師さんに相談してくださり、食事の形や時間の工夫と、マットの設定の見直しを同時に進めることになりました。わたしはマットと姿勢の担当として関わりましたが、「道具だけ」「食事だけ」ではなく、みんなで同じ方向を向くことの大切さを実感した出来事です。今回のニュースを読んで、そのときのことを思い出しました。

ご家族が今日からできること

  • お尻・かかと・背中・肩など、骨の出っ張ったところの皮膚を、おむつ交換や着替えのときに見てみる
  • 赤みが押しても消えない、皮膚がむけている、などに気づいたら、早めに訪問看護師さんや主治医に相談する
  • 食事量や水分量の変化を、メモ程度で良いので記録しておく
  • 体の状態が変わったら、ケアマネさんと福祉用具専門相談員にマットの見直しを相談する

「こんなに気をつけることがあるの?」と感じたかもしれません。わたしも最初は、床ずれにこれほど多くの要因が関わっていると知って混乱しました。でも、ご家族がすべてを一人で抱える必要はありません。気づいたことを専門職に伝えていただくだけでも、十分に大切な役割です。

秋から冬にかけては空気が乾燥し、皮膚のトラブルが増えやすい季節ともいわれます。千葉市でも朝晩の冷え込みが出てくるこの時期、布団や掛け物が重くなりすぎていないかも、あわせて確認してみてくださいね。

まとめ

床ずれは、マットなどの福祉用具だけでなく、栄養・皮膚のケア・姿勢を「セット」で考えることが大切です。今回のニュースのように、医師・看護師・管理栄養士などの専門職がチームで関わる在宅の取り組みも紹介されています。具体的な治療や栄養の判断については、必ず主治医や医療職の方にご相談ください。

シルバーとっぷでは、床ずれ防止用具や介護ベッドの選定・使い方のご相談を、千葉市を中心に承っています。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:シルバー産業新聞(ケアニュース)

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