こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
みなさんは、離れて暮らす親や同居の親が夜中に急に具合を悪くしたら、と考えて不安になったことはありませんか?「救急車を呼ぶほどなのかな」「病院で何を聞かれるんだろう」。親の介護が始まったばかりのご家族からは、こうした声をよくうかがいます。
今日は、高齢の方の救急医療についてのニュースをきっかけに、いざという時のためにご家族が今からできる備えをお話しします。
ニュースの概要:高齢者救急の体制について学会が提言
2026年10月29日、日本救急医学会が、逼迫する救急医療の体制を安定させるための提言を発表したと、読売新聞オンラインが報じました。記事によると、ポイントは次のとおりです。
- 高齢の患者さんを一元的に受け入れる医療機関を認定する仕組みが提言の柱になっている
- 当直の医師や専門外の医師が高齢の方のさまざまな症状に対応しきれず、高度な医療を担う救命救急センターに患者さんが集中していることが課題とされている
- 提言をまとめた理事長は「かかりつけ医と連携した救急病院が受け入れの責任を担うべき」と述べている
- 学会は厚生労働省や国会議員に呼びかけ、「救急医療基本法」の制定を目指している
あくまで学会からの提言で、制度としてすぐに何かが変わるわけではありません。今後どうなるかは、国の議論を見守る必要があります。詳しくは、お住まいの自治体の窓口や専門家にご確認ください。
「かかりつけ医との連携」がキーワード
このニュースで、わたしが特に気になったのは「かかりつけ医と連携」という言葉です。高齢の方は持病がいくつもあったり、いろいろなお薬を飲んでいたりすることが多いです。救急の現場で、その方の普段の様子や病歴がすぐに分かるかどうかは、とても大切なことなのだと思います。
制度の話はむずかしく感じますよね。わたしも最初は混乱しました。ただ、ご家族の立場で言い換えると、「親の普段の情報を、いざという時にすぐ伝えられるようにしておくこと」が、今日からできる一番身近な備えだと、わたしは考えています。
救急の時に聞かれやすい情報を1か所にまとめる
先輩から教わったのですが、救急車を呼んだ時、ご家族は気が動転してしまい、お薬の名前や持病をうまく伝えられないことがあるそうです。そこで、次のような情報を1枚の紙やファイルにまとめておくと安心です。
- 氏名・生年月日・血液型(分かれば)
- 持病と、かかりつけの医療機関名・電話番号
- 飲んでいるお薬(お薬手帳のコピーでもOK)
- アレルギーの有無
- 介護保険被保険者証の番号と要介護度
- 担当ケアマネージャーさんの事業所名・連絡先
- ご家族の緊急連絡先(2人以上あると安心です)
保管場所は、冷蔵庫の扉や玄関の内側など、救急隊員さんの目に入りやすく、家族みんなが知っている場所がおすすめです。自治体によっては、こうした情報を入れておく容器(救急医療情報キットなど)を配っていることもあります。お住まいの市町村や地域包括支援センターに一度問い合わせてみてください。
本人の希望も、元気なうちに聞いておく
「どこまでの治療を望むか」といったことは、急に決めるのが難しいものです。親が元気なうちに少しずつ話し合っておくと、ご家族の迷いも小さくなることが多いです。医療的な内容については、必ず主治医にご相談ください。
迷った時の相談先を知っておく
「救急車を呼ぶべきか分からない」という時のために、電話の相談窓口を知っておくのも一つの備えです。千葉県では、救急安心電話相談(#7009)が案内されています。受付時間などは変わることもあるので、千葉県の公式情報で最新の内容をご確認ください。もちろん、意識がない、呼吸が苦しそうなど、明らかに様子がおかしい時は迷わず119番に連絡してください。
福祉用具専門相談員として伝えたい「家の中」の備え
救急の場面で、意外と大事なのが家の中の環境です。現場でよくいただくご質問なのですが、「救急隊の方が担架で入れるかな?」と心配されるご家族は少なくありません。
- ベッドまわりの通り道:介護ベッドの横には、人が立てるスペースをだいたい目安として60cmほど空けておくと、介助の時にも動きやすくなります
- 玄関や廊下の物:段ボールや家具が通路をふさいでいないか、ときどき見直してみてください
- 夜間の明かり:足元灯やセンサーライトがあると、夜中にトイレへ行く時の転倒予防にもなります
- 見守りの工夫:一人暮らしの親には、離床センサーや見守り機器が役立つ場合があります。介護保険の対象になるかは、ケアマネさんと相談しながら決めていきます
わたしが担当させていただいたお客様の中には、夜中に転んで動けなくなったことをきっかけに、手すりと足元灯をつけたご家庭がありました。ご家族は「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃっていましたが、気づいた時が始めどきだと思います。救急のお世話になる回数そのものを減らすことも、在宅介護を続けるうえで大切な視点です。
退院後の生活も、事前にイメージしておく
高齢の方の場合、救急で入院したあとに体の状態が変わり、退院する時には介護ベッドや車椅子が必要になることもあります。千葉市や千葉県内でも、退院日が急に決まって慌ててご相談をいただくことがよくあります。
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、入院した時点で「退院後はどこで、どう暮らすか」をご家族とケアマネさんで共有しておくと、準備がずっとスムーズになります。福祉用具専門相談員も、その段階から一緒に考えることができますので、早めに声をかけてください。
まとめ:ニュースを「わが家の備え」に変えよう
- 日本救急医学会が、高齢者を一元的に受け入れる医療機関の認定を柱とする提言を発表した
- 今すぐ制度が変わるわけではないが、「かかりつけ医との連携」が大切だと示された
- ご家族は、親の病歴・お薬・連絡先を1か所にまとめておくと安心
- 家の中の通り道や明かりを整えることも、いざという時の備えになる
医療的な判断は主治医に、制度の細かいところは自治体の窓口や専門家にご相談ください。福祉用具や家の中の環境のことなら、わたしたちがお手伝いできます。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
雲居 愛(くもい あい)/株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
