こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心に、ご家族のもとへ福祉用具のご相談にうかがっています。
2026年9月11日、介護ニュースJointさんが「介護保険が優先でも補装具を利用できる場合がある」という厚生労働省の通知(介護保険最新情報Vol.1542)を報じていました。少し制度のお話に聞こえるかもしれませんが、じつはこれ、「レンタルした車椅子が、どうもお父さん・お母さんの体に合わない」とお困りのご家族にこそ関係の深い内容なんです。現場でもよくいただくご質問なので、今日はできるだけ噛み砕いてお伝えしますね。
今回のニュースはどんな内容だったの?
報道によると、厚生労働省は補装具(そうぐ)の制度と、介護保険の福祉用具レンタルとの「使い分けの考え方」を改めて整理して全国に通知した、とのことでした。ポイントをかんたんにまとめると、次のようになります。
- 車椅子など、両方の制度で借りたり作ったりできる“重複する品目”については、原則として「介護保険の給付が優先される」こと。
- ただし、介護保険を使える方であっても、医師や身体障害者更生相談所が「標準的な既製品では対応できず、個別の対応が必要」と判断した場合には、補装具を利用できること。
- ケアプランを作るときには、過去の利用実績を確認し、ケアマネジャーさんと福祉用具専門相談員が協力して検討することが求められること。
「優先」という言葉が出てくると、「じゃあ介護保険しか使えないの?」と不安になりますよね。わたしも最初にこの制度を教わったときは、正直こんがらがりました。でも大切なのは、「優先だけれど、体に合わないなら別の道もある」という、二段構えになっているところなんです。
そもそも「補装具」と「福祉用具レンタル」はどう違うの?
ご家族から「補装具って、レンタルの車椅子と何が違うの?」とよく聞かれます。ざっくりお伝えすると、こんなイメージです。
介護保険の福祉用具レンタル
要支援・要介護の認定を受けた方が、介護保険を使ってお借りする仕組みです。車椅子や歩行器、介護ベッドなどが対象で、基本的には“既製品”を、その方の体格や暮らしに合わせて調整しながらお使いいただきます。わたしたち福祉用具専門相談員が、身体の状態やお住まいの環境をうかがって、合いそうな一台をご提案します。
補装具
こちらは障害福祉のほうの制度で、身体障害者手帳をお持ちの方などが対象になります。麻痺で姿勢が大きく崩れてしまう、体の変形にぴったり合わせる必要があるなど、既製品ではどうしても対応できないときに、その方専用に作る(あるいは個別に対応する)ことを想定した仕組みです。オーダーメイドの座位保持装置つき車椅子などが代表例です。
つまり、「まずは介護保険のレンタルで体に合う一台を探す。それでもどうしても合わない事情があれば、補装具という選択肢も検討できる」——今回の通知は、この順番と例外を改めて確認したもの、と受け止めるとわかりやすいと思います。
「体に合わない」ってどんな状態?現場でのお話
わたしが担当させていただいたお客様の中には、脳梗塞の後に片麻痺が残り、既製の車椅子だとどうしても体が斜めにずり落ちてしまう、という方がいらっしゃいました。クッションや調整でかなり改善できることも多いのですが、体の状態によっては「これは専用に合わせたほうがよさそうですね」と、ケアマネージャーさんや主治医の先生とご相談になるケースもあります。
目安として、次のようなお困りごとが続くときは、一度相談してみる価値があるかなと感じています。
- 座るとすぐに体が横や前に崩れてしまい、クッションや調整でも直りにくい。
- 床ずれ(褥瘡)ができやすく、姿勢の保持そのものに個別の工夫が要る。
- 体の変形が強く、既製品のサイズや形ではどうしても合わない。
ただし、「補装具にすべきかどうか」を最終的に判断するのは、医師や身体障害者更生相談所です。ここはわたしたち福祉用具専門相談員が決められる部分ではありませんので、気になる症状や体の状態については、まず主治医の先生にご相談くださいね。
相談したいとき、どこに聞けばいい?(千葉市の場合)
「うちの親も当てはまるかも」と思ったとき、窓口が分かれていて迷いやすいのがこの制度の難しいところです。だいたいの流れとしては、次のように整理すると動きやすいと思います。
- 介護保険のこと・レンタルのこと…担当のケアマネージャーさん、またはお近くの地域包括支援センターへ。千葉市では各区に地域包括支援センターがあり、まず何から始めるかを一緒に整理してくれます。
- 補装具・身体障害者手帳のこと…お住まいの市区町村の障害福祉の窓口へ。千葉市では各区役所の保健福祉センター(障害者支援課など)が入口になります。
- 今使っている車椅子が合っているか…わたしたち福祉用具専門相談員にお声がけください。まずレンタルの調整で解決できることも多いので、実際の座り姿勢を見ながら一緒に考えます。
先輩から教わったのですが、こういう制度をまたぐご相談は、ケアマネージャーさんと福祉用具専門相談員、そして障害福祉の窓口が“横でつながる”ことがとても大事なのだそうです。今回の通知でも、ケアマネさんと福祉用具専門相談員が協力して検討することが求められていましたので、ご家族だけで抱え込まず、まわりの専門職を巻き込んでいただければと思います。
ご家族が今日からできること
制度の細かいところは、その方の状況や自治体によって取り扱いが変わることがあります。ですので、まずは大きく次の三つを意識していただくと安心です。
- 今の車椅子で「合わないな」と感じる点を、写真やメモで具体的に残しておく(座るとどちら側に崩れるか、など)。
- 身体障害者手帳をお持ちかどうか、過去に補装具を使ったことがあるかを確認しておく。
- 制度のどちらを使うべきか迷ったら、自治体の窓口やケアマネージャーさんに早めに相談する。
「優先」という言葉に身構えなくて大丈夫です。大事なのは、その方の体に合った一台にたどり着くこと。そのための道が一本ではない、と知っておいていただくだけでも、いざというときの安心につながると思います。制度の詳しい適用については、必ずお住まいの自治体の窓口や専門家にご確認くださいね。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。車椅子が体に合わずお困りのときは、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
参考:介護ニュースJoint
