こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
「兄弟間で介護費用の分担をどうするか話し合いたいのですが、どう進めればいいですか?」というご相談をいただくことがあります。兄弟間の費用分担には明確な法的ルールがあるわけではなく、最終的にはご家族の話し合いで決めることになります。本記事では法的な考え方と揉めないための話し合いのポイントをお伝えします。ただし、法的な問題については専門家(弁護士・社会福祉士)にご相談ください。
法的には「扶養義務の範囲内で」という考え方
民法上、子どもは親に対して扶養義務を負います。ただしその程度は「生活保持義務(自分と同程度の生活を保障する)」ではなく「生活扶助義務(自己の生活を犠牲にしない範囲で援助する)」とされており、各自の経済状況によって異なります。具体的にいくら負担するかは法律で定められておらず、家庭内で話し合って決めることが基本です。
(出典:法務省「民法(扶養)」 https://www.moj.go.jp/)
個別の法的判断については、弁護士や社会福祉士にご相談ください。わたしたち福祉用具専門相談員は法律の専門家ではありませんので、法的な助言はできません。
揉めないための話し合いのポイント
ベテランの先輩によると、兄弟間の介護費用の分担で揉めやすいのは「最初に取り決めをしなかった場合」が多いとのことです。早めに話し合いの場を設けることが大切です。
- ①介護費用の全体像を把握する
まず親の要介護度・使えるサービス・月の費用の目安を整理しましょう。ケアマネージャーから情報を提供してもらうと話し合いがスムーズです。 - ②各自の経済状況・介護への関わりを確認する
経済的な負担だけでなく、介護に費やす時間・体力も含めてトータルで考えましょう。近くに住んでいる兄弟が多く手間を負担している場合、費用は遠方の兄弟が多く出すというバランスも選択肢の一つです。 - ③記録を残す(合意書の作成)
口頭の約束だけでなく、話し合いの内容を書面で残すことをおすすめします。後々のトラブル防止になります。 - ④定期的に見直す
介護状況は変わります。半年〜1年に1回程度、話し合いの場を設けましょう。
費用分担の考え方の例
以下は参考となる分担方法の例です。これが正解というわけではなく、ご家族の状況に合わせてください。
- 介護保険の自己負担はまず親の年金から。不足分を兄弟で負担
- 兄弟の収入比率に応じて分担する
- 直接介護をする兄弟は費用負担を免除・軽減し、遠方の兄弟が費用を多く負担する
話し合いがまとまらないときは
家族だけでは話し合いがまとまらない場合は、地域包括支援センターの社会福祉士や弁護士(家事事件専門)に相談することも選択肢の一つです。
(出典:厚生労働省「地域包括支援センターについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)
よくあるご質問
Q. 兄弟が費用を負担してくれない場合、法的手段はありますか?
A. 家庭裁判所に扶養調停を申し立てることができます。詳しくは弁護士にご相談ください。
Q. 離れた場所に住む兄弟は費用を負担しなくていいですか?
A. 距離に関わらず、兄弟全員に扶養義務があります。近くに住んで介護を担う兄弟と、遠方で費用を多く出す兄弟というような役割分担が一般的なようです。
Q. 親の貯金で介護費用をまかなうべきですか?
A. まず親自身の資産(年金・貯金)を使い、不足分を子どもが補うというのが一般的な考え方です。詳しくは税理士・弁護士にご相談ください。
まとめ
兄弟での介護費用分担に決まった答えはありませんが、早めに話し合いの場を設けて合意内容を書面で残すことが後々のトラブルを防ぐ最善策です。話し合いがまとまらない場合は、地域包括支援センターや弁護士に相談することをためらわないでください。介護は長期戦です。ご家族みなさんで協力し合える仕組みを作ることが大切です。
参考にした情報
- 厚生労働省「地域包括支援センターについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/ (2026年6月時点)
- 法務省「民法(扶養に関する規定)」 https://www.moj.go.jp/ (2026年6月時点)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html (2026年6月時点)
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※本記事の情報は2026年時点のものです。最新の制度内容は厚生労働省または各自治体にご確認ください。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
