こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です。
「母が転んで大腿骨を骨折しました。退院後の家の準備を急いでいます」——こういったご連絡が、特に冬場に増える印象があります。大腿骨頸部骨折は高齢者の骨折の中でも在宅復帰を難しくするリスクが高く、術後のリハビリと住環境の整備が在宅生活の成否を左右します。この記事では、骨折後の回復段階ごとに必要な福祉用具と、千葉市の住環境での再転倒予防策を詳しくお伝えします。
大腿骨骨折の社会的背景と千葉市内の現状
大腿骨頸部骨折は、高齢者が転倒した際に最も多く起きる骨折のひとつです。骨粗しょう症を抱えている高齢者は特にリスクが高く、軽い転倒でも骨折することがあります。
骨折後の手術・入院・リハビリを経て在宅復帰した場合でも、歩行機能が以前の水準まで回復しないケースが少なくありません。また、骨折後に活動量が急減し、廃用症候群(使わないことで体の機能が低下すること)が進むリスクもあります。
千葉市内では、市内の整形外科病院や千葉大学病院・千葉市立病院に骨折後の入院患者が多く、退院後の在宅復帰支援のニーズが高い実態があります。わたし自身も担当エリアで骨折後の方を多く担当させていただいており、「もっと早く相談してくれれば良かった」と感じるケースも少なくありません。
(出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html)
術後の回復フェーズ別に変化する福祉用具
骨折後の回復は段階的に進みます。それに合わせて必要な福祉用具も変化していきます。
| 回復フェーズ | 時期の目安 | 主な福祉用具 |
|---|---|---|
| ベッド上安静〜車椅子移行期 | 退院直後〜1か月 | 介護ベッド・車椅子・トイレ手すり・床ずれ防止マット(必要に応じて) |
| 歩行器歩行期 | 1〜3か月 | 歩行器・介護ベッド・手すり(廊下・玄関・トイレ) |
| 杖歩行期 | 3〜6か月 | 杖(多点杖または一本杖)・手すり(必要箇所) |
| 自立歩行期 | 6か月以降 | 再転倒予防の手すりのみ継続することが多い |
※回復の速さには個人差があります。上記はあくまでも目安です。担当のリハビリスタッフ・ケアマネと相談しながら用具を変更してください。
大切なのは、「状態が変わったら用具も変える」という発想です。一度レンタルした用具をそのまま使い続けるのではなく、回復に合わせて機種を変えていくことが在宅での自立を促します。
千葉市の住宅別・再転倒リスクと対策
骨折後の再転倒は、最初の骨折と同じかそれ以上に深刻な結果をもたらすことがあります。千葉市内の住宅環境ごとに、特に注意すべき転倒リスクポイントをまとめます。
稲毛区の坂道・丘陵地の戸建て
- 自宅外の坂道・段差が多く、外出時の転倒リスクが高い
- 玄関アプローチにスロープを設置することで外出の安全性が上がる
- 坂道での歩行器使用は下り坂での不安定になるリスクあり。坂道用の歩行器(後輪にブレーキが付いているタイプ)を選ぶ
美浜区のマンション
- エレベーター内の動作(乗り降り・ドアの開閉)での転倒リスク
- 廊下の長さと転倒した際の通報手段の確認
- バルコニーの段差・浴室の段差への注意
中央区・若葉区の古い木造住宅
- 廊下・玄関の段差(3〜5cm程度の細かい段差が多い)
- 畳の部屋と板間の境目での引っかかり転倒
- 夜間のトイレ動線の照明不足(センサーライトの活用を)
退院前の自宅下見(OT・PTとの合同訪問)
骨折後の退院に際して特に有効なのが、作業療法士(OT)・理学療法士(PT)と福祉用具専門相談員が同行する「自宅下見訪問」です。
この合同訪問では、病院のリハビリスタッフが実際の自宅環境を確認しながら「この段差はどのように越えるか」「ベッドの向きはどうすべきか」という具体的な指示を出してくれます。わたしたちはその場で必要な用具の種類と設置場所を確定できるため、退院当日の準備がとてもスムーズになります。
合同訪問の調整は、退院支援室またはケアマネに「退院前に自宅下見をお願いしたい」と相談することで実現できます。
骨折入院中に要介護認定申請を進めるタイムライン
骨折後の入院中に要介護認定申請を進めておくと、退院時には認定結果が出ている状態になります。理想のタイムラインは以下の通りです。
- 入院1週間以内:要介護認定申請(代理申請)を行う
- 入院2〜3週間後:認定調査員が病院(または自宅)に来て認定調査を行う
- 退院前(申請から30日後):認定結果の通知
- 退院前〜当日:認定結果に基づいたケアプランと福祉用具レンタルを開始
入院中に申請を進めることで、退院当日には介護保険の認定を受けた状態でサービスをスタートできます。「退院してから申請する」という方が多いのですが、入院中に並行して申請することをぜひ検討してください。
(出典:千葉市「介護保険の申請手続きについて」 https://www.city.chiba.jp/chuo/kenko/kaigohoken/kaigo_hoken_index.html)
再転倒予防の自宅環境チェックリスト
骨折後の在宅生活で最も避けたいのが再転倒です。以下のチェックリストで自宅の安全性を確認してください。
- □ 玄関〜廊下〜寝室の動線に段差がないか(または段差が対処されているか)
- □ 夜間のトイレ動線に十分な照明があるか(センサーライトの設置を推奨)
- □ 床面が滑りやすくないか(特に浴室・キッチン・廊下)
- □ 絨毯・マットの端が引っかかりやすくなっていないか
- □ 手すりが必要な場所(トイレ・玄関・廊下・浴室)に設置されているか
- □ ベッドの高さが適切か(低すぎると起き上がりで転倒リスクが上がる)
- □ 歩行補助用具の状態が良好か(ゴム足の摩耗・ネジの緩みなど)
よくあるご質問
まとめ
- 骨折後の用具は車椅子→歩行器→杖→手すりのみと段階的に変化させる
- 退院前にOT・PT・福祉用具専門相談員が合同で自宅下見を行うことで安全な環境を整備できる
- 入院中に要介護認定申請を進めることで退院当日から介護保険サービスを使える
- 稲毛区の坂道・美浜区のマンション・中央区の木造住宅それぞれに固有の転倒リスクがある
- 状態が変化したら区分変更申請でより多くのサービスが利用できる
参考にした情報
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html(2026年6月時点)
- 千葉市「介護保険の申請手続きについて」 https://www.city.chiba.jp/chuo/kenko/kaigohoken/kaigo_hoken_index.html(2026年6月時点)
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報システム」 https://www.techno-aids.or.jp/(2026年6月時点)
雲居 愛(くもい あい)
株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員
免責事項:本記事の情報は2026年時点のものです。最新の制度内容は厚生労働省または各自治体にご確認ください。
