こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です。
「兄は遠くに住んでいて何もしない」「妹ばかり負担が重い」「費用の分担でもめている」——兄弟姉妹間の介護分担の問題は、介護の現場で非常によく聞く悩みです。わたしが訪問するご家族の中でも、介護の方針や費用をめぐって兄弟間に軋轢が生じているケースは珍しくありません。この記事では、千葉市で兄弟姉妹が協力して介護を分担するための具体的な方法をお伝えします。
介護負担が特定の子どもに集中する原因
介護負担が兄弟の中の一人(特に近居の長女・長男)に集中しやすい理由は以下の通りです。
- 近くに住んでいる人が自然に担当者になる:「頼みやすい」という理由で、地理的に近い子どもへの依頼が増えがちです
- 「長子だから」という暗黙の期待:日本の家族文化として、長男・長女が担うべきという意識が残っている場合があります
- 遠方の兄弟が「何もできない」と感じて距離を置く:遠距離のため具体的に何ができるかわからず、結果として丸投げになるパターン
- 「何をすればいいかわからない」兄弟が増える:介護についての知識がなく、何を手伝えばいいかが見えない
こうした状況を変えるには、意識的に「誰が何をするか」を整理し、全員が何らかの役割を持つ状態を作ることが有効です。
役割分担の考え方:「体力系・管理系・経済系」の3区分
介護の役割は「体力的なもの」「管理・調整的なもの」「経済的なもの」の3種類に大別できます。それぞれ向き不向きがあるため、兄弟の住む場所・仕事・体力に応じて分担するのが現実的です。
- 体力系:移乗介助・入浴介助・外出同行など。近居の子どもが担うことが多い
- 管理系:ケアマネへの連絡・書類手続き・サービス事業者との調整・医療機関の付き添いなど。几帳面で調整能力のある人が向いている
- 経済系:介護費用の管理・請求書の確認・費用の一部負担など。収入の多い兄弟が担うケースも多い
「体力仕事は長女が担っているので、費用の分担や管理系の手続きは兄にお願いする」という形で、「近くに住んでいる=全部やる」という構図から抜け出せます。
福祉用具手配の担当者を一人に決めることのメリット
福祉用具のレンタルに関しては、「家族の中で誰が福祉用具事業者とやり取りするか」を一人に決めることを強くおすすめします。
複数の兄弟が別々に事業者に連絡してくる場合、「Aさんからはこう言われた、Bさんからはこう言われた」という矛盾が生じやすく、適切な用具の選定が難しくなります。また、「今週誰かが来ていたみたいだけど、何を届けたの?」という状況も起きやすいです。
担当者を決めたら、その方を通じてシルバーとっぷへのご連絡・相談を行っていただくことで、情報の一本化ができ、よりスムーズに対応できます。担当以外の兄弟には「今どんな用具を使っているか」を定期的に共有してもらうだけでも、全員が状況を把握できます。
遠方の兄弟ができること
「遠くに住んでいるから何もできない」と思っている兄弟にも、できることはたくさんあります。
- 電話での定期確認:週に一度、在宅で介護している兄弟に電話をかけ「どうだった?」と聞くだけでも大きな支えになります
- 費用の一部負担:デイサービス・福祉用具のレンタル費用の一部を負担する形で関与できます
- 帰省時の環境確認:帰省のたびに「自宅の安全チェック」を担当する。「手すりが外れていないか」「スロープが滑っていないか」などを確認する役割
- 緊急時の対応窓口になる:「何かあったときの連絡先」として登録し、急な対応が必要な場合に対応できるよう準備しておく
- ケアマネとの電話相談:ケアマネが定期的に電話で状況報告する際、遠方の兄弟もその電話に入ることができます
意見相違の仲介者としてケアマネ・地域包括を活用する
「施設に入れるべきか在宅を続けるべきか」「どのサービスを使うべきか」で兄弟間の意見が対立する場合、ケアマネージャーや地域包括支援センターの専門職を仲介者として活用することをおすすめします。
専門職の立場から「現在の状態ではこのサービスが適切です」「この用具を使うことで介護者の負担をこう減らせます」という客観的な説明を聞くことで、感情的になりがちな兄弟間の議論が整理されやすくなります。
「兄弟全員でケアマネとの面談に参加する機会を作る」だけでも、全員が同じ情報を共有できるため、意見のすれ違いが大幅に減ることがあります。千葉市在住の親への介護で関東各地に散らばる兄弟が集まりやすいのは、ケアマネとの定期面談(サービス担当者会議)のタイミングを利用するのが一番自然です。
(出典:千葉市「介護保険サービスについて」 https://www.city.chiba.jp/)
介護分担シートを使って合意形成する方法
「誰が何をするか」を文字にして整理する「介護分担シート」を作ることも、兄弟間の合意形成に役立ちます。必ずしも完璧なシートである必要はなく、以下の項目を書き出すだけでも十分です。
- 主な介護者(近居で日常的に関わる人)
- それぞれの兄弟の担当する役割(体力系・管理系・経済系)
- 福祉用具・サービスの連絡担当者
- 緊急時の連絡順序
- 費用の分担方法(折半・収入に応じた按分など)
このシートを全員で確認・更新していくことで、「聞いていない」「知らなかった」という状況を防げます。メモ程度のものから始めて構いません。
よくあるご質問
まとめ
- 介護負担は「体力系・管理系・経済系」の3区分で分担することで全員が関与しやすくなる
- 福祉用具手配の連絡担当者を一人に決めることで情報が一本化される
- 遠方の兄弟でも電話確認・費用負担・帰省時環境確認という形で役割を持てる
- 意見対立にはケアマネ・地域包括の専門職を仲介者として活用する
- 介護分担シートを作ることで「聞いていない」「知らなかった」を防ぐ
参考にした情報
- 千葉市「介護保険サービスについて」 https://www.city.chiba.jp/(2026年6月時点)
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html(2026年6月時点)
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/(2026年6月時点)
雲居 愛(くもい あい)
株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員
免責事項:本記事の情報は2026年時点のものです。最新の制度内容は厚生労働省または各自治体にご確認ください。
