熊本地震のニュースから考える在宅介護の災害への備え|停電・避難と福祉用具

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心にご家族のお宅へうかがい、福祉用具のご相談を担当しています。

先日、介護の専門ニュースで気になる記事を見かけました。厚生労働省が、熊本地震の被災地に向けて、介護サービス事業者の指定有効期間やケアマネージャーさんの資格証、要介護認定の有効期間を延長する特例措置を発表した、という内容です(介護ニュースJoint・2026年8月18日)。災害が起きても介護のサービスが止まってしまわないよう、国が急いで手を打った、ということですね。

この記事を読んで、わたしは訪問先でよくいただくご質問を思い出しました。「もし大きな地震や台風が来たら、うちの介護はどうなるの?」というご不安の声です。今日は、このニュースを入口に、在宅で介護をされているご家族が『もしも』のときに少しでも慌てずにすむための備えを、一緒に考えてみたいと思います。

まずはニュースの中身をやさしく整理します

今回の特例措置をかんたんにまとめると、被災地では次のような取り扱いになる、ということでした。

  • 介護サービス事業者の指定の有効期間を延長する
  • ケアマネージャーさんの資格証(介護支援専門員証)の有効期間を延長する
  • 要介護・要支援認定の有効期間も、目安として最大で12か月ほど延長できる場合がある

むずかしい言葉が並びますが、ねらいはシンプルです。災害でバタバタしている最中に「更新の手続きが間に合わない」といった理由で、必要な介護サービスや福祉用具が使えなくなってしまっては大変です。そうならないように、期限をうしろ倒しにして、暮らしを支える仕組みを止めない——そんな配慮なのだと、わたしは受け止めました。

制度の細かい条件や対象地域については、その時々で自治体の判断が入ります。実際にお住まいの地域で該当するかどうかは、市区町村の窓口や担当のケアマネージャーさんにご確認くださいね。わたしも最初は特例措置と聞くと身構えてしまいましたが、要は『困っている人を制度から取りこぼさないための工夫』なのだと思うと、少し安心しました。

災害のとき、在宅介護で困りやすいこと

千葉県は、地震だけでなく、夏から秋にかけての台風や大雨も心配な地域です。数年前の大きな台風で長い停電を経験されたご家庭も多く、訪問先でも「あのときは本当に不安だった」というお話をよくうかがいます。在宅介護中に災害が起きると、とくに次のような場面で困りやすいと感じています。

停電で電動の福祉用具が動かなくなる

電動の介護ベッドは、停電すると背上げや高さ調整ができなくなります。多くの機種は手動で背もたれを下ろせる仕組みがついていますが、いざという時に使い方を知らないと慌ててしまいます。また、床ずれ防止のエアマットは、空気を送るポンプが止まると少しずつ空気が抜けてしまうタイプがあります。

先輩から教わったのですが、こうした機器は「停電したらどうなるか」を平常時に一度確認しておくことが何より大切だそうです。わたしが担当させていただいたお客様の中にも、事前に手動レバーの位置を家族みんなで共有しておいたことで、実際の停電のときに落ち着いて対応できた、という方がいらっしゃいました。

避難したいのに移動の手段がない

ふだんは室内で歩行器を使って過ごされている方でも、いざ避難となると、段差や瓦礫、長い距離の移動が大きな壁になります。車椅子があっても、玄関の段差でつまずいてしまう、というご相談も少なくありません。

今からできる、あわてないための備え

大がかりな準備でなくても、できることはたくさんあります。現場でよくおすすめしているのは、次のような小さな備えです。

  • 電動ベッドの手動操作を確認しておく:停電時に背もたれを手で下ろす方法を、ご家族で一度試しておきましょう。
  • 予備の電源や明かりを用意する:懐中電灯やモバイルバッテリーを、介護をするお部屋の手の届くところに。医療機器を使っている方は、停電時の対応を必ず主治医にご相談ください。
  • 避難経路の段差を見直す:玄関や廊下の段差は、スロープや手すりで通りやすくできる場合があります。福祉用具で工夫できることも多いので、お気軽にご相談ください。
  • お薬・おむつ・清潔用品を少し多めに:災害時は物流が止まることがあります。目安として3日〜1週間分ほどあると安心、とよく言われます。
  • ケアマネージャーさんの連絡先をまとめておく:いざという時の相談先を、ご家族全員が分かる場所に。

「うちの地域に福祉避難所はあるのかな?」というご質問もよくいただきます。福祉避難所は、高齢の方や障がいのある方が配慮を受けながら過ごせる避難先です。どこが指定されているか、どんな手続きで利用できるかは市区町村ごとに違いますので、お住まいの自治体の防災担当窓口や地域包括支援センターで確認しておくと安心です。

千葉県で、いざという時に頼れる相談先

在宅介護の災害への備えは、ご家族だけで抱え込まなくて大丈夫です。まずは担当のケアマネージャーさんに「災害のとき、うちはどう動けばいい?」と相談してみてください。ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、防災の視点をケアプランに取り入れておくと、いざという時の動きがぐっとスムーズになります。

お住まいの地域を担当する地域包括支援センターも、心強い窓口です。千葉市であれば6区それぞれに窓口があり、介護のことも防災の備えのことも、まとめて相談に乗ってもらえます。そして、福祉用具のことなら、わたしたち福祉用具専門相談員にもぜひ声をかけてください。停電時の使い方の確認や、避難しやすい住まいの工夫など、現場でできるお手伝いがきっとあります。

災害はいつ起きるか分かりません。でも、少しの備えがあるだけで、ご家族の安心はずいぶん変わります。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:介護ニュースJoint

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