こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心に、ご家族のもとへ福祉用具のご相談にうかがっています。
先日、介護のニュースサイト「介護ニュースJoint」で、高齢者施設の面会制限を問い直すという記事を読みました。認知症の人と家族の会の和田誠代表理事が寄せられたもので、感染症が落ち着いたあとも「予約制で月に1度だけ」「15分以内」「触れないように」といった運用が続く施設がある、と紹介されていました。面会は特別なサービスではなく、人が人らしく生きるための当たり前の営みではないか――そんな問いかけが、とても心に残りました。
わたしは在宅の福祉用具担当なので、施設のルールそのものをどうこう言える立場ではありません。それでも、担当させていただくご家族から「離れて暮らす親に、なかなか会えない」「会えても短くて、様子がよく分からない」というお声をいただくことは本当に多いんです。今日はこのニュースを入口に、大切な人に会う時間を少しでも守るために、ご家族ができることを、わたしの現場目線で一緒に考えてみたいと思います。
「会う時間」が持つ意味を、あらためて考える
記事の中で印象的だったのは、面会が「安心を得る時間」「その人らしさを支えるケア」になり得る、という視点でした。とくに認知症のある方にとっては、家族の顔や声が記憶を呼び起こし、安心につながることがある、と紹介されていました。
わたしが担当させていただいたお客様の中にも、ご自宅で過ごされていたころ、ご家族が顔を出すと表情がやわらかくなる方が何人もいらっしゃいました。ベテランの先輩によると、「会うこと」そのものが、体調や気持ちの変化に気づく大事なきっかけになるのだそうです。「最近、痩せたかな」「歩き方が少し違うかも」――そうした小さな気づきは、そばにいるご家族だからこそ拾えるものだと感じています。
ただ、認知症の症状や体調のことは、わたしのような福祉用具の担当が判断できる領域ではありません。気になる変化があったときは、施設の職員さんや主治医にご相談いただくのがいちばん安心です。ここは無理をせず、専門の方につなぐ場面だと思っています。
施設ごとに面会ルールは違います。まずは確認から
ニュースを読んで「うちの施設も厳しいのかな」と心配になったご家族もいらっしゃるかもしれません。ただ、面会のルールは施設ごとに大きく違います。感染状況や建物の造り、入居されている方々の状態によっても対応が変わってきます。ですから、まずは思い込みで不安をふくらませず、事前に確認してみることをおすすめします。
確認しておくと安心なポイントを、いくつか挙げてみますね。
- 面会の予約は必要か、どのくらい前に申し込むか
- 1回あたりの時間や、来られる人数の目安
- 居室で会えるのか、面会用のスペースなのか
- 短い外出や一時的な帰宅(外泊)ができる場合の条件
- オンライン面会など、直接会えないときの代わりの方法があるか
制度やルールの細かいところは、施設や自治体によって解釈が分かれることもあります。判断に迷うときは、施設の相談員さんや担当のケアマネージャーさん、お住まいの市区町村の窓口にご確認くださいね。わたしも、こうした制度の話は最初はよく混乱しました。分からないことは「聞いてみる」が近道だと思っています。
会える時間を、もっと豊かにするための工夫
限られた面会の時間だからこそ、少しの準備でぐっと過ごしやすくなることがあります。現場でよくいただくご質問なのですが、「短い時間で何を話せばいいのか分からない」という声もよくあります。そんなときは、昔の写真を持っていったり、季節の話をしたりするだけでも、会話のきっかけになります。千葉なら、海のそばの風景や、地元のお祭りの話題も、ふと表情がゆるむことがありますよ。
また、施設で車椅子を使われている方の場合、面会にあわせて館内を少し移動したり、天気のいい日に短い外出を計画されるご家族もいらっしゃいます。こうした場面では、体に合った車椅子や、乗り降りをらくにする用具が支えになることがあります。福祉用具は施設で用意されているものもあれば、生活の場面によってはご自宅側でレンタルを検討することもあります。どこまでが介護保険で使えるのかは状況によって変わりますので、ここもケアマネージャーさんに相談しながら決めていくのが安心です。
「在宅で過ごす」という選択肢もあります
面会のことを考えるうちに、「できるだけ一緒にいたい」「家に戻す方法はないだろうか」と思われるご家族もいらっしゃいます。もちろん、在宅介護には介助の負担や環境の準備といった課題があり、どちらが良いという単純な話ではありません。ご本人の状態やご家族の暮らし方によって、答えは一つひとつ違います。
それでも、「家で過ごす」を支える道具は、この10年ほどでずいぶん充実してきました。起き上がりや立ち上がりをらくにする介護ベッド、移動を支える車椅子や歩行器、入浴やトイレを安全にする用具など、福祉用具は在宅での暮らしを後押ししてくれます。目安として、多くの福祉用具は介護保険を使うと1割〜3割ほどの自己負担でレンタルできる場合がありますが、負担の割合や対象は方によって異なりますので、正確なところは負担割合証やケアマネージャーさんにご確認くださいね。
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、「一度施設に入ったら、もう家には戻れない」と思い込んでいるご家族は少なくありません。実際には、短期間だけ在宅に戻る、外出や外泊を組み合わせる、といった柔軟な過ごし方をされている方もいらっしゃいます。福祉用具は、そうした「行き来する暮らし」も静かに支えてくれます。
迷ったら、一人で抱え込まないでください
面会のこと、施設と在宅のこと、費用のこと――介護には、正解が一つに決まらない悩みがたくさんあります。わたし自身、学生のころに祖母が脳梗塞で倒れ、家族が慌てながら在宅介護を始めた経験があります。あのとき、専門の相談員さんが寄り添って一緒に考えてくれたことが、今この仕事をしている原点です。だからこそ、「どこに相談していいか分からない」というご家族の心細さは、少しだけ想像がつく気がしています。
千葉市には、区ごとに地域包括支援センターがあり、介護の入口の相談を無料で受け付けています。施設のこと、面会のこと、在宅で使える福祉用具のこと――何から話せばいいか分からなくても大丈夫です。まずは気になっていることを、そのまま口に出してみてください。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。会いたい人に会える時間を、一緒に守っていけたらうれしいです。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:介護ニュースJoint
