福祉用具購入・住宅改修の受領委任払いとは|約75%の保険者が実施

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。

「レンタルは1割負担なのに、ポータブルトイレを買うときは全額払うんですか?」という声を、ご家族からいただくことがあります。介護保険の福祉用具には、毎月借りるレンタル(貸与)と、買い取る購入(特定福祉用具販売)があり、お金の払い方も少し違うんです。

先日、この払い方に関わるニュースがありました。今回はそれをきっかけに、「受領委任払い」という仕組みをご紹介します。

ニュースの概要|介護保険事務調査の集計結果が公表

介護の専門メディア「ケアマネタイムス」によると、厚生労働省は2026年10月2日、「令和7年度介護保険事務調査」の集計結果を公表しました。全国1,573の保険者(介護保険を運営する市区町村など)が対象で、回答率は100%、令和7年4月1日時点の状況をまとめたものです。

記事では、保険料の徴収方法や要介護認定の調査体制などとあわせて、受領委任払い方式を実施している保険者が1,184(およそ75.3%)と紹介されています。担当地域の保険者がこの方式を実施しているか確認しておくと役に立つ、という解説もありました。

なお、記事では受領委任払いがどのサービスに使われているかまでは書かれていません。ここから先は、福祉用具の現場で一般的によく聞く話として、購入や住宅改修のときの受領委任払いを中心にお伝えします。

そもそも「償還払い」と「受領委任払い」の違い

介護保険で福祉用具を購入したり、手すりを付ける工事(住宅改修)をしたりするとき、支払いの方法は大きく2つに分かれることが多いです。

償還払い(しょうかんばらい)

  • 購入時や工事のあとに、いったん費用の全額を事業者へ支払います
  • そのあと市区町村に申請し、保険の分(7〜9割)が払い戻されます
  • 払い戻しまでには、目安として1〜2か月以上かかることもあります

受領委任払い(じゅりょういにんばらい)

  • 購入や工事のときに、ご利用者は自己負担分(1〜3割)だけを支払います
  • 残りの保険の分は、市区町村から事業者へ直接支払われます
  • 市区町村に登録した事業者に限るなど、条件がある場合が多いです

たとえば、目安として5万円の入浴用いすとシャワーチェアのセットを1割負担で買う場合、償還払いだと一度5万円を支払い、あとで4万5千円ほどが戻ってきます。受領委任払いなら、最初に払うのはだいたい5千円で済む計算です。

正直に言うと、わたしも入社したばかりの頃は「償還」と「受領委任」の違いで混乱しました。言葉は難しいのですが、「最初に全額払うか、自分の負担分だけ払うか」の違いと覚えておくとわかりやすいと思います。

どうしてご家族にとって大切なの?

購入の対象になる福祉用具は、腰掛便座(ポータブルトイレなど)や入浴補助用具、簡易浴槽など、肌に直接ふれるためレンタルになじまないものが中心です。退院直後に、トイレやお風呂の用具をいくつか同時にそろえることも少なくありません。

また、介護保険の住宅改修には、目安として支給の上限が20万円という枠があります。手すりや段差解消の工事をまとめて行うと、一時的に大きな金額が出ていきます。

わたしが担当させていただいたお客様の中には、退院の準備で入浴用品とポータブルトイレを一度に購入することになり、「払い戻されるとはいえ、今月は急な出費が重なって…」と不安そうにされていたご家族もいらっしゃいました。年金暮らしのご両親の場合や、ご家族が費用を立て替える場合は、この「一時的な負担」が気持ちの面でも重くなりがちです。

受領委任払いが使えれば、最初の支払いをぐっと抑えられます。お金の心配で必要な用具の購入をためらわずに済むのが、いちばんのメリットだと思います。

使えるかどうかは自治体と事業者しだい

今回の記事の数字を見ると、受領委任払い方式を実施している保険者はおよそ4分の3。言いかえると、実施していない市区町村もあるということです。

また、実施している自治体でも、次のような違いがあることが多いです。

  • 福祉用具の購入は対象でも、住宅改修は対象外(またはその逆)
  • あらかじめ市区町村に登録・届け出をした事業者でないと利用できない
  • 所得の状況や保険料の納付状況によっては使えない場合がある
  • 事前の申請書類や委任状の提出が必要

千葉市や船橋市、市川市など、千葉県内でも市町村によってルールや書類が異なります。ご両親が千葉県内の別の市に住んでいる場合などは、ご両親がお住まいの市区町村の介護保険の窓口で確認するのが確実です。制度の細かな運用や対象については、自治体の窓口や専門家にご確認ください。

購入・住宅改修の前にご家族が確認したい4つのこと

現場でよくいただくご質問をもとに、事前に確認しておきたいポイントをまとめました。

  • 1. ケアマネさんに相談したか
    購入も住宅改修も、ケアプランとの関係で必要性を確認することが多いです。まずは担当のケアマネージャーさんにお声がけください。
  • 2. お住まいの市区町村で受領委任払いが使えるか
    使える場合は、福祉用具の購入と住宅改修のどちらが対象かもあわせて確認しましょう。
  • 3. 依頼する事業者が受領委任払いに対応しているか
    登録事業者でないと使えない場合があります。見積もりの段階で「受領委任払いはできますか?」と聞いて大丈夫です。
  • 4. 住宅改修は「工事の前」に申請が必要か
    住宅改修は、工事の前に事前申請が必要なことが一般的です。先に工事をしてしまうと保険の対象にならない場合もあるので注意してください。

ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、退院日が迫っているときほど、払い方の確認が後回しになりがちです。見積もりをもらうタイミングで、ひとこと払い方を確認しておくだけでも安心感が違いますよ。

レンタルと購入、払い方の違いもおさらい

最後に、よく混同される点を整理しておきます。

  • レンタル(福祉用具貸与):介護ベッドや車椅子、手すりなど。毎月、自己負担分(1〜3割)だけを支払うのが一般的です
  • 購入(特定福祉用具販売):ポータブルトイレや入浴補助用具など。目安として年間10万円までが保険の対象で、償還払いか受領委任払いかは自治体によります
  • 住宅改修:手すりの取り付けや段差解消など。目安として20万円までが保険の対象で、事前申請が必要なことが多いです

ご本人の体の状態から見て、どの用具や工事が合うかの判断は、主治医やリハビリの専門職、ケアマネさんと相談しながら進めていただくのがおすすめです。

まとめ

今回のニュースは、市区町村の事務の状況をまとめた、少し地味な調査結果です。それでも、「受領委任払いを実施している保険者はおよそ75%」という数字は、福祉用具の購入や住宅改修を考えているご家族にとって、家計に直結する大切な情報だと感じました。

「いったん全額払わなきゃいけないの?」と迷ったら、まずはケアマネさんや、お住まいの市区町村の窓口、そして福祉用具の事業者に確認してみてください。わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。

ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:ケアマネタイムス

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