車椅子は「選ぶ」より「合わせる」|身体に合った一台が立ち上がりを助けます

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。先日、福祉用具の業界紙で、座面の高さや奥行きを身体に合わせて細かく調整できる高齢者用の車椅子が紹介されていました。記事では、その方の身体に合わせることで「足こぎ支援や立ち上がりの動作につなげやすい」設計だと報じられていて、わたしも「やっぱり、そこが大事なんだよね」とうなずきながら読みました。

今日はこのニュースを入口に、車椅子は『選ぶ』だけでなく『合わせる』ことがとても大切、というお話を、ご家族の目線でお伝えしたいと思います。親御さんの退院や介護がこれから始まる、という40代・50代の方にこそ知っておいていただきたい内容です。

ニュースから:車椅子は「乗せる道具」から「生活を支える道具」へ

今回話題になっていた車椅子は、座る面の高さや奥行きを利用者さんの体格に合わせて調整できることが特徴だと紹介されていました。細かい仕組みの良し悪しはメーカーさんや専門職の領域ですので、わたしからは踏み込みませんが、業界全体が「ただ座って移動する道具」から「その方の残っている力を引き出す道具」へと考え方を広げていることは、現場で感じているところです。

先輩から教わったのですが、同じ『車椅子』でも、身体に合っているかどうかで、その方の一日の過ごし方がまったく変わってくることがあります。だからこそ、車椅子は「どれを選ぶか」と同じくらい「どう合わせるか」が大切なんですね。

そもそも「合っていない車椅子」だと、何が起きるの?

現場でよくいただくご質問なのですが、「借りた車椅子に座らせているのに、なんだか元気がなくなってきた気がする」というお声があります。原因はさまざまですが、車椅子が身体に合っていないことが一因になっている場合があります。

  • 座面が高すぎると、足の裏がしっかり床につかず、自分で足をこいで進んだり、立ち上がったりしにくくなることがあります。
  • 座面が低すぎる・奥行きが合わないと、姿勢が崩れて前や横にずり落ちやすくなり、ご本人もご家族も不安になりがちです。
  • 幅が大きすぎると、身体が左右に傾いて疲れやすく、逆に狭すぎると床ずれや圧迫の心配が出てくることもあります。

「せっかく座れているのだから」と思っていた姿勢が、実は動く力を奪ってしまっていた……ということは、目安として少なくありません。わたしも最初のころは「座れていれば大丈夫」と思っていて、先輩に「合っていないと、できることまでできなくなるよ」と教わって、はっとしたのを覚えています。

身体に合った車椅子を選ぶ・調整する4つのポイント

ご家族が業者やケアマネージャーさんに相談するときに、頭の片隅に置いておくと役立つ視点を4つご紹介します。

1. 座面の高さと「足の裏」

足の裏がしっかり床につき、ひざが軽く曲がるくらいが一つの目安です。自分で足をこいで動く「足こぎ」をする方には、とくに大事なポイントになります。

2. 座面の奥行きと背もたれ

深く腰かけたときに、ひざの裏と座面の先の間に少しゆとりがあるかを見ます。奥行きが合うと姿勢が安定し、長く座っていても疲れにくくなることが多いです。

3. 身体の幅に合った座面の幅

広すぎず狭すぎず、が基本です。冬に厚着をする季節や、クッションを使う場合もあるので、そのあたりも含めて相談していただくと安心です。

4. アームサポート・フットサポート

肘を置く高さや足を乗せる部分の位置も、立ち上がりやすさや姿勢に関わってきます。取り外しできるタイプだと、乗り移り(移乗)がぐっと楽になる場合があります。

難しく感じられたかもしれませんが、ご家族がすべてを完璧に判断する必要はまったくありません。わたしたち福祉用具専門相談員が実際にお会いして、身体の状態や暮らしぶりをうかがいながら一緒に合わせていきます。

現場でのお話:合った一台で「表情」が変わることも

わたしが担当させていただいたお客様の中には、退院直後に借りた車椅子の座面が少し高く、足の裏が浮きぎみだった方がいらっしゃいました。ご家族から「本人が動きたがらない」とご相談をいただき、身体に合わせて高さと足元を調整したところ、ご自分で少しずつ足をこいで進めるようになった、ということがありました。ご家族が「表情が明るくなった気がします」とおっしゃってくださって、わたしもとてもうれしかったです。

もちろん、身体の状態やリハビリの進み具合は一人ひとり違います。どこまで動いていいか、立ち上がりの練習をしてよいかといった点は、必ず主治医やリハビリの専門職(理学療法士さんなど)にご相談ください。わたしたちは、その方針に沿って道具の面からお手伝いをする役割です。

千葉市エリアでのご相談の流れと「試してから」の安心

車椅子は介護保険を使ったレンタルの対象になる品目です(要介護度によって対象が異なる場合があります)。ケアマネージャーさんにお伝えいただくと、わたしたちのような福祉用具専門相談員につないでもらえます。千葉市やその近隣にお住まいのご家族からは、「退院に間に合わせたい」「坂道やマンションでも使えるものを」といったご相談を、日ごろよくいただきます。

「合うかどうか、いきなり決めるのは不安」という声もよく耳にします。実際に何日か試していただいてから決められる仕組みもありますので、まずは気軽にご相談いただければと思います。合わなければ交換もできますので、どうか一台目で気負わないでくださいね。

まとめ

  • 車椅子は「選んで終わり」ではなく、身体に「合わせる」ことが大切です。
  • 合っていないと、立ち上がりや足こぎなど、本来できる動きを妨げてしまうことがあります。
  • 座面の高さ・奥行き・幅・アームやフットの位置がチェックの目安です。
  • 動いてよい範囲は主治医やリハビリの専門職に、道具のことはわたしたち福祉用具専門相談員にご相談ください。

ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。車椅子のことでご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。一緒に、その方にぴったりの一台を考えていきましょう。

参考:ケアニュース by シルバー産業新聞

雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。

タイトルとURLをコピーしました