こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。10月に入り、千葉市内でも朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきましたね。訪問の車中で窓を少し開けると、秋の空気が気持ちいい季節です。
今回は、9月30日に報じられた介護のニュースを入口に、「介護報酬改定」についてお話しします。ニュースで耳にしても、「それって親の介護にどう関係するの?」と思われる方が多いのではないでしょうか。現場でよくいただくご質問でもあるので、できるだけ噛み砕いてお伝えしますね。
どんなニュースだったの?
介護ニュースJointの報道によると、厚生労働省は9月30日の社会保障審議会・介護給付費分科会(介護サービスの料金ルールを話し合う国の会議です)で、来年度の介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」を示しました。
記事で紹介されているポイントを整理すると、次のとおりです。
- 物価や賃金の上昇で「介護現場は厳しい状況に直面している」という認識が示された
- 昨年度の調査では、全サービスでみて赤字の事業者の割合がおよそ4割にのぼる
- 物価・賃金の上昇を報酬に適切に反映し、事業者の経営の安定を図る
- 介護で働く人の処遇を、他の職種と比べて見劣りしない水準へ改善する
- 職場環境の改善や生産性の向上、報酬の仕組みの整理・簡素化も柱に
- 一方で、現役世代を中心に保険料の負担が増えることへの懸念も指摘された
記事では、財源をどう確保するかが焦点だと伝えています。議論はこれから秋にかけて本格化していく段階で、具体的な金額や中身はまだ決まっていません。
そもそも「介護報酬」ってなに?
介護報酬とは、介護サービスを提供した事業所に支払われる「サービスの公定価格」のようなものです。訪問介護やデイサービスなど、サービスごとに国が単価を決めていて、原則として数年ごとに見直されます。この見直しが「介護報酬改定」です。
ご家族にとって大事なのは、ご本人の自己負担は、この単価をもとに計算されるという点です。介護保険のサービスを使うと、費用のうち1割(所得によっては2割・3割)をご本人が負担し、残りを介護保険がまかないます。ですから、単価が上がれば、同じサービスを使っていても自己負担がそのぶん増える場合があります。
ただし、どのサービスがどれくらい変わるのかは、これからの議論しだいです。「上がる」と決まったわけではないので、今の段階で慌てる必要はありませんよ。
正直に言うと、わたしも入社したばかりの頃は「報酬」「単位」「加算」といった言葉が次々に出てきて、とても混乱しました。ご家族が「よく分からない」と感じるのは当たり前のことだと思います。
福祉用具のレンタルはどうなるの?
今回の記事では、福祉用具についての具体的な言及はありませんでした。
先輩から教わったのですが、福祉用具のレンタルは、訪問介護などとは少し仕組みが違っていて、国が一律に単価を決めるのではなく、事業所ごとに価格を設定し、そこに国が定めた「上限」がかかる仕組みになっています。そのため、報酬改定のニュースがそのまま福祉用具のレンタル料に直結するとは限りません。
とはいえ、制度全体の見直しの中で福祉用具に関わるルールが変わる可能性もあります。わたしたちも国の議論をしっかり追いかけて、変更があればご家族やケアマネージャーさんにきちんとお伝えしていきます。
ご家族が今のうちに確認しておきたいこと
改定の中身が決まるのはまだ先ですが、「決まってから慌てる」のではなく、今のうちに親御さんの介護の全体像をつかんでおくと安心です。わたしがおすすめしているのは、次の3つです。
1. 今の毎月の自己負担額を把握する
サービス事業所から届く請求書や領収書を、数か月分まとめて見てみましょう。どのサービスに、だいたいいくら払っているのかが分かっていると、将来変わったときにも落ち着いて比べられます。
2. 介護保険負担割合証を確認する
親御さんの自己負担が1割・2割・3割のどれなのかは、「介護保険負担割合証」に書かれています。更新時期に新しいものが届くので、引き出しの奥にしまいっぱなしになっていないか、一度確かめてみてください。
3. ケアプランを見直すきっかけにする
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、「最初に組んだプランのまま、なんとなく続けている」というケースは少なくありません。今の状態に本当に合ったサービスになっているか、使っていない福祉用具はないか、次のモニタリング(ケアマネさんの定期訪問)のときに話題にしてみるのも良いと思います。
わたしが担当させていただいたお客様の中には、ご家族から「お金のことを聞くのは気が引けて…」とお話しいただいた方がいました。ケアマネさんとわたしで一緒に費用の内訳を整理したところ、「分かっただけでずいぶん気持ちが楽になった」と笑顔を見せてくださって、わたしもほっとしたのを覚えています。費用の話は、遠慮せずに聞いていただいて大丈夫です。
「働く人を守る」ことは、ご家族の安心にもつながります
今回の議論では、介護で働く人の賃上げが大きな柱になっています。自己負担のことを考えると複雑な気持ちになるかもしれませんが、ヘルパーさんやデイサービスの職員さんが安心して働き続けられることは、親御さんが住み慣れた家での暮らしを続けるための土台でもあります。
千葉県内でも、在宅介護を支える人の確保は大切なテーマです。人の手が限られる中で、介護ベッドや手すり、歩行器などの福祉用具を上手に組み合わせることで、ご本人の「自分でできる」を増やし、ご家族やヘルパーさんの負担を軽くできる場面もあります。どんな用具が合いそうか迷ったら、福祉用具専門相談員に気軽に声をかけてくださいね。
まとめ
- 厚労省が来年度の介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」を示し、物価高への対応や介護職の賃上げが柱になっている
- 介護報酬はサービスの単価のようなもので、ご本人の自己負担はこれをもとに計算される
- 具体的な中身はこれから議論される段階。今のうちに自己負担額・負担割合証・ケアプランを確認しておくと安心
制度の細かい解釈や、ご家庭ごとの負担がどう変わるかについては、お住まいの市区町村の介護保険の窓口や、担当のケアマネージャーさんにご確認ください。千葉市にお住まいの方は、お近くの地域包括支援センターでも相談できます。
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考:介護ニュースJoint
