こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
朝晩がぐっと涼しくなり、千葉市内を訪問で回っていても、秋を感じる季節になりました。今日は、福祉用具の業界で最近あった、ちょっとうれしいニュースをきっかけにお話ししたいと思います。
福祉用具の業界団体が設立30周年を迎えました
介護ニュースJointの報道によると、福祉用具の貸与(レンタル)事業者などでつくる業界団体「日本福祉用具供給協会」が設立30周年を迎え、2026年10月6日に東京都内で記念式典が開かれました。福祉用具だけでなく、介護・医療・リハビリテーション・行政など、さまざまな分野の関係者が集まったそうです。
記事によると、協会の理事長は、2040年に向けて介護の担い手不足や、一人暮らしの高齢者世帯が増えていくことが課題になると話しました。そのうえで、福祉用具事業者の役割は「単なる『もの』ではなく、暮らしを支えるサービスを提供すること」だと強調したそうです。
今後力を入れていく方向として、次のような点が挙げられていました。
- 多職種(ケアマネさん、医療・リハビリ職など)との連携を強めること
- 福祉用具を使ったことによる効果を「見える化」すること
- 福祉用具専門相談員の資質を高めること
- 介護テクノロジーを広めていくこと
- 災害時に福祉用具を届ける体制を充実させること
また、式典に出席した厚生労働省の担当課長からは、自立支援やご家族の負担軽減、サービスの質の向上への貢献を評価する言葉とともに、「利用者本位のサービス」に向けたさらなる発展を期待する、というあいさつがあったそうです。
政策の今後の具体的な中身については、この記事だけでは分かりません。詳しくは国や自治体の発表、窓口でご確認ください。
「もの」ではなく「サービス」ってどういうこと?
この「単なるものではない」という言葉、わたしは現場で働いていて本当にそうだなと感じます。
現場でよくいただくご質問なのですが、「ベッドを届けてもらったら、あとは使うだけですよね?」と聞かれることがあります。実は、介護保険の福祉用具レンタルは、届けて終わりではありません。ざっくり分けると、次のような流れでお手伝いしています。
- お話をうかがう:ご本人の体の状態、お住まいの間取り、ご家族の介護の状況などを聞き取ります
- 選んで、合わせる:ケアマネさんのケアプランをもとに、用具の候補を一緒に考え、高さや位置を調整します
- 使い方をお伝えする:ご本人だけでなく、介護するご家族にも操作や注意点をお伝えします
- 定期的に様子を見に行く:使い始めた後もお宅にうかがい、合っているか、困りごとはないかを確認します(「モニタリング」と呼ばれます)
- 変化に合わせて見直す:体の状態が変わったら、交換や追加、返却をご提案します
専門用語が多くて、わたしも最初は混乱しました。でも、「ものを貸す」より「暮らしに合わせ続ける」仕事だと考えると分かりやすいかもしれません。
定期訪問(モニタリング)は「相談のチャンス」です
先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。歩行器を使い始めて数か月たったお母さまについて、娘さんが「最近、玄関で歩行器を持ち上げるのが大変そうで……でも、わざわざ連絡するほどでもないかと思って」とお話ししてくださいました。
お話を聞いてケアマネさんに相談したところ、玄関の段差にスロープを置いてみることになり、歩行器を持ち上げなくても出入りしやすくなりました。娘さんからは「もっと早く言えばよかった」と言っていただきました。
このように、ご家族が「こんなこと聞いていいのかな」と遠慮してしまう小さな困りごとこそ、定期訪問の時にぜひ教えていただきたいんです。たとえば、こんなことでも大丈夫です。
- 最近ベッドから起き上がるのに時間がかかるようになった
- 使わなくなった用具が部屋の場所をとっている
- 夜中のトイレが心配になってきた
- 介護するご家族の腰がつらくなってきた
- ブレーキやリモコンの調子が少しおかしい
体の状態の変化が気になる場合は、まず主治医にご相談いただくのが大切です。そのうえで、用具の見直しはケアマネさんとわたしたち相談員が一緒に考えます。
一人暮らしの親と遠方のご家族にこそ知ってほしいこと
記事でも、これから一人暮らしの高齢者が増えることが課題として挙げられていました。千葉県でも、ご両親は県内、お子さんは都内や県外で暮らしているというご家庭は少なくありません。
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、離れて暮らすご家族は、親御さんの普段の様子が見えにくいものです。わたしが担当させていただいたお客様の中には、定期訪問の日程をご家族にもお知らせして、可能な時は電話で同席していただいているケースもあります。
遠方のご家族は、次のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。
- ケアマネさん・福祉用具の担当者の連絡先を手元に控えておく
- 定期訪問の後に、気になった点を担当者に聞いてみる
- 帰省した時に、用具の置き場所や使い方を一緒に確認する
災害への備えも「サービス」の一部に
記事では、災害時に福祉用具を届ける体制の充実も今後の方向性として挙げられていました。千葉県は台風や大雨の被害を経験してきた地域でもあり、他人事ではないと感じます。
ベテランの先輩によると、電動ベッドやエアマットなど電気を使う用具は、停電時にどうなるかを事前に確認しておくことが大切だそうです。用具によって停電時の動き方は異なることがあるので、心配な方は担当の相談員に「停電したらどうなりますか?」と一度聞いてみてください。避難が必要になった場合の動き方は、ケアマネさんや自治体の窓口とも相談しておくと安心です。
まとめ:福祉用具は「借りた後」が大切です
- 業界団体の30周年式典で、福祉用具は「暮らしを支えるサービス」という考えが示されました
- 介護保険の福祉用具レンタルには、選定・調整・使い方の説明・定期訪問・見直しまでが含まれます
- 小さな困りごとでも、定期訪問の時に遠慮なく伝えてください
- 遠方のご家族は、担当者の連絡先を控えておくと安心です
- 停電や災害時のことも、早めに確認しておきましょう
わたしも祖母の介護が始まった時、相談員さんの「何でも聞いてくださいね」という一言に救われた家族のひとりです。今度はわたしが、そう言える相談員でありたいと思っています。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考:介護ニュースJoint
