こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
10月30日、経済メディアのLIMOに「90歳以上の約7割が要介護認定を受けている」という記事が出ました。厚生労働省が10月26日の社会保障審議会・介護保険部会に出した資料をもとにした内容です。親が80代になったご家族には、身近に感じられる数字ではないでしょうか。
今回はこのニュースをきっかけに、「親の年齢」と「介護の始まり」の関係と、元気なうちからご家族でできる備えを、現場で感じていることも交えてお話しします。
ニュースのポイント|年齢とともに要介護認定の割合が上がります
記事で紹介されている、厚生労働省の資料の数字をまとめます。
- 要介護(要支援)認定を受けている人の割合は、65歳以上全体でおよそ19.5%、85歳以上全体でおよそ58.2%
- 85〜89歳ではおよそ47.7%、90歳以上ではおよそ73.0%
- 認定を受けた人の数は、介護保険が始まった2000年のおよそ218万人から、およそ738万人に増えている(およそ3.4倍)
- 人口1人あたりの介護給付費は、85〜89歳で年におよそ69.6万円、90歳以上で年におよそ146.9万円
- 85歳以上の人口は、2035年にはおよそ981万人になる見通し
ひと言でいうと、「80代後半から、介護が必要になる方の割合がぐっと増える」ということです。ちなみに「介護給付費」は介護保険から支払われる費用で、ご本人やご家族が払う自己負担の額とは違います。わたしも最初は混乱しました。自己負担の目安は、負担割合(1割〜3割)や使うサービスによって変わります。
「うちの親はまだ元気」なうちが、いちばん準備しやすい時期です
現場でよくいただくご質問なのですが、「まだ介護は先だと思っていたのに、急に始まってしまって」というお声はとても多いです。転んだあとや、入院をきっかけに介護が始まることも少なくありません。
わたしが担当させていただいたお客様の中には、退院の日が決まってから慌てて介護保険の申請をされ、ベッドや手すりの手配が退院ぎりぎりになったご家族もいらっしゃいました。そのご家族が「元気なうちに少しでも話しておけばよかった」とおっしゃっていたのが、今も心に残っています。
数字のとおり、80代後半は介護が身近になってくる年代です。「何かあってから」ではなく、「何もない今」のうちに準備をしておくと、いざという時のご家族の負担がだいぶ軽くなることが多いです。
80代の親を持つご家族が今からできる5つの備え
1. 地域包括支援センターの場所を調べておく
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護の相談を無料で受けてくれる公的な窓口です。千葉市では各区に設置されていて、担当地域は住所で決まります。親御さんの住所を担当するセンターの場所と電話番号を、ご家族で共有しておくと安心です。介護が始まる前の「ちょっと心配」の段階でも相談できます。
2. 介護保険証と健康保険証の保管場所を確認する
要介護認定の申請には、介護保険の被保険者証が必要になります。いざという時に「どこにしまったか分からない」ということもあるので、保管場所を親御さんと一緒に確かめておきましょう。主治医の名前や通院先も、メモしておくと申請の時に役立ちます。
3. 実家の「転びやすい場所」を一緒に見ておく
先輩から教わったのですが、ご自宅の中で転びやすいのは、玄関の上がり框(かまち)、トイレ、浴室、廊下の段差、ベッドからの立ち上がりなどが多いそうです。帰省した時に、親御さんの動きをさりげなく見てみてください。
- 立ち上がる時に、家具や壁に手をついていないか
- 夜中にトイレへ行く通り道が暗くないか
- 玄関の段差でふらついていないか
- 浴槽をまたぐのが大変そうではないか
「手をつく場所」は、手すりがあると楽になるサインの場合があります。要介護認定を受けると、工事のいらない置き型の手すりなどを介護保険でレンタルできることもあります。
4. 親の「これからの希望」を聞いておく
「できるだけ家で暮らしたい」「家族に迷惑をかけたくない」など、親御さんの気持ちはそれぞれです。介護が始まってからだと、ゆっくり話す余裕がなくなることも多いです。お茶を飲みながら、雑談のついでに聞いてみるくらいで大丈夫です。
5. 家族の連絡体制と役割をざっくり決めておく
兄弟姉妹がいる場合は、「誰が窓口になるか」「誰が近くで動けるか」をざっくり決めておくと、いざという時に慌てずにすみます。遠方に住んでいても、電話での連絡役や書類の確認など、できることはたくさんあります。
介護が始まったら、福祉用具が暮らしを支える力になります
要介護認定を受けると、ケアマネージャーさんが作るケアプランに沿って、介護ベッドや車椅子、歩行器、手すりなどの福祉用具を介護保険でレンタルできるようになります(借りられる品目は要介護度によって変わります)。
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、福祉用具は「できなくなったことを代わりにする道具」というより、「ご本人ができることを続けるための道具」です。たとえば、立ち上がりやすい高さのベッドや、手をつく場所にある手すりがあるだけで、ご自分でトイレに行ける期間が長くなることもあります。
体の状態や病気のことで気になる点がある場合は、まず主治医にご相談ください。そのうえで、どんな用具が合いそうかは、ケアマネさんやわたしたち福祉用具専門相談員と一緒に考えていけます。
数字に不安になりすぎず、「早めの相談」を味方に
「7割」と聞くと、ドキッとされる方もいると思います。ただ、要介護認定には要支援1から要介護5まで段階があり、日常生活のちょっとした手助けで暮らせる方もたくさんいらっしゃいます。大切なのは、数字を怖がることより、「その時」に迷わない準備をしておくことだと、わたしは現場で感じています。
介護保険の負担割合や制度の細かいところは、人によって違いますし、見直しの議論も続いています。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口や専門家にご確認ください。
千葉県内でも、85歳以上の親御さんと暮らすご家族、離れて暮らすご家族からのご相談は多くいただいています。わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考:LIMO
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
