脳梗塞後の在宅介護で揃えるべき福祉用具|片麻痺対応のポイント

こんにちは、シルバーとっぷの雲居 愛です!

大学2年の頃、祖母が脳梗塞で倒れ、右半身に麻痺が残りました。退院前に「何を揃えればいいか」と家族が途方に暮れていた記憶が、今でも鮮明に残っています。そのときの経験が、わたしがこの仕事を選んだ理由のひとつでもあります。

脳梗塞後は、片麻痺・嚥下障害・言語障害など、後遺症の種類や程度が方によって大きく異なります。そのため福祉用具も「この病気だからこれ」とは一概にいえず、その方の状態に合わせた選定が欠かせません。

この記事では、脳梗塞後の片麻痺がある方を中心に、退院準備から在宅生活の安定まで役立つ福祉用具の選び方と、用具を段階的に見直していく考え方をお伝えします。

片麻痺の特徴と福祉用具選定の基本的な考え方

片麻痺とは、脳梗塞などにより脳の一部がダメージを受け、身体の片側(右または左)に運動・感覚障害が生じた状態です。麻痺側の腕や足は力が入りにくく、感覚が鈍くなることが多いです。

福祉用具を選ぶ際のポイントは大きく3つあります。

  • 健側(麻痺のない側)で操作できるか:片手・片足で使える設計かどうかが最重要です
  • 転倒リスクを下げられるか:バランスが不安定な片麻痺の方は転倒しやすいため、安定性が重要です
  • 自立を促せるか:過度に介助に頼らず、できることをご本人が行えるよう支援する視点が大切です

また、脳梗塞後の後遺症は退院直後が最も重く、リハビリとともに状態が変化していくことが多いです。そのため、用具は「今の状態に合わせて選び、定期的に見直す」姿勢が大切です。
(出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000213177.html

退院前カンファレンスで確認すべきこと

退院前カンファレンスは、病院のリハビリスタッフ・ソーシャルワーカー・ケアマネージャー・福祉用具専門相談員が集まり、退院後の生活をどう整えるか話し合う場です。可能であればご本人・ご家族も参加することをお勧めします。

確認しておきたい主な項目は以下のとおりです。

確認項目 具体的な内容
麻痺の程度・利き手 右麻痺・左麻痺、麻痺側の握力や感覚
歩行能力 歩行器・杖・見守り・全介助のいずれか
移乗方法 自力・一部介助・全介助のいずれか
段差・間取り 自宅の玄関・トイレ・浴室の状況
介護者の体力・時間 誰が介護するか、夜間対応できるか
今後のリハビリ計画 外来リハビリ・訪問リハビリの有無

担当のケアマネージャーさんを通じて、わたしたち福祉用具専門相談員が退院前カンファレンスに同席させていただくこともあります。その場で自宅の間取り図や写真をもとに「どの用具が必要か」を一緒に確認できると、退院当日から安心した生活が始めやすくなります。

歩行を支える用具の選び方

片麻痺の方の歩行補助には、健側の腕を使えるかどうかが選定の鍵になります。

多点杖(4点杖)

先端が4点に分かれた杖で、床との接地面積が広く安定性が高いです。片麻痺の方がT字杖から段階的にステップアップしたり、屋内での最初の一歩として使われることが多いです。

片手で使える歩行器(片麻痺用歩行器)

通常の歩行器は両手で押しますが、片麻痺用歩行器は健側の片手だけで操作できるよう設計されています。ハンドルが一方のみ、またはU字型で操作しやすい形状のものがあります。屋内での移動に向いています。

ロフストランドクラッチ(前腕支持型杖)

前腕でも体重を支えるタイプの杖です。握力が弱い場合でも比較的使いやすく、屋外歩行に用いられることがあります。

訪問先で「退院時は歩行器だったのに、3カ月後には多点杖でスムーズに歩けるようになった」という方にお会いしたことがあります。用具の見直しが本人の自信につながることもあると実感しています。

車椅子・移乗用具の選び方

歩行が難しい段階や長距離移動には、車椅子が役立ちます。片麻痺の方向けには次のような選択肢があります。

片麻痺用車椅子(片手駆動型)

健側の片手のみで操作できるよう、ひとつの車輪に2重のリムが付いており、両方の後輪を健側の手だけで動かせます。自走できることが自立心を保つうえで大切になることも多いです。

足こぎ式車椅子

座った状態で健側の足を床につけて漕ぐタイプです。下肢の機能が片側残っている場合に有効です。

移乗用スライディングボード

ベッドから車椅子、便座などへの移乗をスムーズにするための板です。介助者・本人双方の負担を軽減できます。介護保険の特定福祉用具販売(購入給付)の対象品目です。

ベッド周りの環境整備

片麻痺の方が自力で起き上がり・立ち上がりをしやすくするために、ベッド周りの整備は特に重要です。

  • 特殊寝台(介護用電動ベッド):背上げ機能で起き上がりを助けます。高さ調整機能で立ち上がり時の負担も軽減できます
  • ベッド用手すり(サイドレール・グリップ):ベッドの端に取り付けて起き上がりや立ち上がりを補助します
  • 床置き型手すり:工事不要の置き型手すりをベッド横や廊下に設置します
  • ベッドの向き:麻痺のない健側から起き上がれるよう、ベッドの配置を検討します

(出典:厚生労働省「高齢者の介護」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html

入浴・トイレ用の補助用具

片麻痺の方にとって、入浴とトイレは転倒リスクが高い場面です。

場所 用具 ポイント
浴室 シャワーチェア 背もたれ・肘掛けあり・高さ調整可のものが安心
浴室 浴槽用手すり・バスボード 浴槽をまたぐ際の転倒防止
トイレ 便座の高さ調整・補高便座 立ち上がりを楽にする
トイレ 手すり(壁固定または置き型) 健側から立ち上がれる位置に設置
廊下・玄関 連続手すり・スロープ 段差解消と転倒予防

なお、シャワーチェアや補高便座・入浴用いす等は、介護保険の特定福祉用具販売(購入)の対象となる品目が多く、年間10万円を上限に1〜3割の自己負担で購入できます(目安として)。

リハビリと並行した用具の見直し

脳梗塞後の回復は個人差が大きく、リハビリの進み方によって必要な用具が変わります。定期的な「用具の棚卸し」が大切です。

  • 退院直後:安全優先。歩行器・多点杖・手すりなど安定性の高い用具を揃える
  • 3〜6カ月後:リハビリの成果を確認しながら、用具の種類・グレードを見直す
  • 1年以降:ADL(日常生活動作)が安定したら、より自立を促す用具へ切り替えも検討

担当のケアマネージャーや訪問リハビリのスタッフと連携しながら、わたしたち福祉用具専門相談員も定期的にご自宅へ伺い、用具の状態確認・交換提案をいたします。状況の変化があった際はいつでもご相談ください。

よくあるご質問

Q
退院前に自宅を訪問してもらい、必要な用具を一緒に確認することはできますか?
A
はい、可能です。退院前訪問指導としてリハビリスタッフとともに行う場合や、わたしたち福祉用具専門相談員が単独でお伺いする場合があります。担当のケアマネージャーにご相談ください。
Q
脳梗塞後でも介護保険の福祉用具レンタルは使えますか?
A
はい、要介護・要支援認定を受けていれば利用できます。退院直後で認定が出ていない場合でも「暫定利用」ができることがありますので、ケアマネージャーにご相談ください。
Q
右麻痺と左麻痺では用具の選び方が変わりますか?
A
変わることが多いです。利き手側の麻痺かどうか、どちらの手で操作するかによって選ぶべき用具が異なります。個別にご提案しますのでご安心ください。
Q
自宅が古く段差が多い場合、どうすればよいですか?
A
スロープや置き型手すりで対応できる場合があります。また、介護保険の住宅改修制度(上限20万円)で手すりの取り付けや段差解消工事を行うことも可能です。
Q
片麻痺用の車椅子は通常の車椅子よりも高額ですか?
A
機種によって差がありますが、介護保険レンタルを利用すれば自己負担は月額料金の1〜3割程度が目安です。まずはご相談ください。
Q
介護用ベッドの位置は麻痺の側によって変えるべきですか?
A
はい、健側から起き上がれるようにベッドの向きや壁との位置関係を調整することが大切です。設置時にご一緒に確認します。

参考にした情報

まとめ

  • 片麻痺の方には健側の片手・片足で操作できる用具が基本
  • 退院前カンファレンスへの参加で、必要な用具を事前に整理できる
  • 歩行補助には多点杖・片麻痺用歩行器が選ばれることが多い
  • 車椅子は片手駆動型・足こぎ式など片麻痺向けの選択肢がある
  • 用具は状態の変化に合わせて定期的に見直すことが大切
  • ケアマネ・リハビリスタッフ・福祉用具相談員の連携が安心な在宅生活を支える

千葉県で脳梗塞後の福祉用具選びにお困りなら、株式会社シルバーとっぷへ。雲居がご自宅まで伺い、ご状況に合わせた用具をご提案します。
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※本記事の情報は2026年時点のものです。福祉用具の選定は個人の状態によって異なります。必ず担当の医師・ケアマネージャー・福祉用具専門相談員にご相談ください。

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