こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。訪問先で柴犬のお家に出会うと、つい足を止めてしまう犬好きの福祉用具専門相談員です。
先日ニュースを見ていたら、総務省消防庁が毎年9月1日から21日まで「住宅防火・防災キャンペーン」を行っている、という情報が目に留まりました。ちょうど敬老の日を含むこの時期に、「老人の日・敬老の日に『火の用心』の贈り物を」というキャッチフレーズで、ご高齢の方への火災予防を呼びかける取り組みだそうです。在宅介護のご家庭にこそ知っておいてほしいお話だと感じたので、今日はそのニュースを入り口に、ご家族目線でやさしくお伝えしますね。
なぜ「高齢者と住宅火災」なのでしょう
消防庁の資料によると、住宅火災で亡くなる方は目安として毎年およそ1,000人前後で推移していて、そのうちおよそ7割が65歳以上の高齢者とされています。数字はあくまで目安ですが、「これだけ多いのか」と、わたしも最初に見たときは驚きました。
理由はいくつかあると言われています。だいたい共通しているのは、火に気づくのが遅れやすいこと、そして気づいてもすばやく逃げるのが難しいことです。足腰が弱っていたり、車椅子を使っていたり、ベッドで過ごす時間が長い方だと、いざというときの動きがどうしてもゆっくりになります。在宅介護のご家庭では、まさにここが心配のポイントになりますよね。
まず見直したい、3つの備え
キャンペーンでは、ご高齢の方への「贈り物」として、住宅用火災警報器・感震ブレーカー・住宅用消火器・エアゾール式簡易消火具・防炎品などがすすめられていました。むずかしそうに聞こえますが、ご家族がまず確認できるのは次の3つだと思います。
- 火災警報器がちゃんと鳴るか…住宅用火災警報器は設置が義務づけられていますが、電池や本体には寿命があり、目安としておよそ10年で交換が推奨されています。「もう10年くらい経つかも」というお宅は、ボタンを押して音が鳴るか確かめてみてください。
- 感震ブレーカー…地震で揺れを感じると自動で電気を止めてくれる装置です。停電から復旧したときの「通電火災」を防ぐ備えとして注目されています。
- 消火器・簡易消火具…台所の近くなど、手が届くところに置いてあるか。使用期限が切れていないか。
現場でよくいただくご質問なのですが、「うちの親、警報器が鳴っても聞こえるかしら…」という声はとても多いです。実は先日も、あるお客様のお宅で「最近テレビの音が大きくて」というお話をご家族からうかがいました。聞こえ方が気になる場合は、光や振動でも知らせてくれるタイプもあると先輩から教わりました。詳しくはお近くの消防署にも相談窓口があるので、聞いてみると安心です。
「逃げやすさ」も、りっぱな火災対策です
火を出さない工夫と同じくらい大切なのが、「もしものときに逃げやすいか」だと、わたしは現場で感じています。ここは福祉用具ともつながるお話です。
- ベッドから玄関までの通り道に、荷物や新聞がたまっていませんか。ふだんの動線がそのまま避難路になります。
- 手すりや歩行器で、夜間でも移動しやすくなっているか。暗い中で慌てると、転倒の危険も高まります。
- ベッドのまわりに、コンロや暖房器具、コード類が近すぎないか。冬に向けて、今のうちに見直しておきたいところです。
わたしが担当させていただいたお客様の中には、退院を機にお部屋の家具の位置を大きく変えたことで、結果的に「避難もしやすくなった」というご家庭もありました。福祉用具は歩きやすさや介助のためのものですが、同時に「逃げやすい住まい」づくりにもつながるんですね。
ひとりで抱えず、まわりの力も借りましょう
千葉県も高齢化が進み、千葉市内でもご高齢のお二人暮らしや、ひとり暮らしのお宅が増えています。「火の元が心配だけれど、遠くに住んでいて毎日は見に行けない」という遠距離介護のご家族からのご相談も、よくいただきます。
そんなときは、地域の力を頼るのがいちばんです。お住まいの地域包括支援センターでは、見守りや防火に関する情報を教えてくれますし、消防署でも高齢者世帯向けの相談に応じてくれることがあります。制度や補助の細かい内容は市区町村によって違うので、詳しくはお住まいの自治体の窓口や消防署にご確認ください。わたしも制度の細かいところは、いつも「先輩に聞いてきます」と正直にお伝えしながら、一緒に調べています。
敬老の日は、離れて暮らすご家族が実家に集まりやすい時期でもあります。会いに行かれた際に、警報器の音を一度鳴らしてみる、消火器の期限を確かめてみる。それだけでも、りっぱな「火の用心の贈り物」になると思います。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。福祉用具や住まいの安全のことでご不安があれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
――――――
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:総務省消防庁
