こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心に、ご家族のもとへ福祉用具のご相談にうかがっています。
先日、あるニュースが目に留まりました。2026年9月5日にレスポンスが報じた記事によると、警察庁の有識者検討会が、75歳以上の方を対象にした「運転技能検査」の内容を強化する方針を示したそうです。検査に合格した後も事故のリスクが高い、という追跡調査の結果を受けたものだと紹介されていました。
ニュースの概要をやさしく整理します
記事によると、75歳以上で一定の違反歴がある方が受ける「運転技能検査」について、合格した方の事故件数が、高齢者講習を受けた方に比べて「2倍以上」にのぼっていたとのことです。また、75歳以上の死亡事故のうち「操作不適」がおよそ33.1%を占め、とくにアクセルとブレーキの踏み間違いが深刻だと指摘されています。
そこで検討会は、複数の操作を同時に行う「方向変換」という課題を新たに加えたり、「安全不確認」を減点項目に追加したり、「一時不停止」の減点基準を引き上げたりする見直しを示したと報じられています。導入の具体的な時期までは記事に書かれていませんでしたので、詳しくは警察庁や、お住まいの自治体の窓口でご確認くださいね。わたしも制度の細かいところは、いつも「先輩に聞いてきます」と言いながら勉強しています。
数字だけを見ると少しこわく感じるかもしれません。ですが、このニュースはわたしたち福祉用具の現場から見ると、「親御さんの運転をどう見守るか」「もし運転をやめたら、その後の暮らしをどう支えるか」を考えるきっかけになると思うのです。
「親の運転、そろそろ心配」と感じたら
親の介護が始まる前後のご家族から、じつは運転のご相談をいただくことが少なくありません。「実家に帰ったら車に新しいこすり傷が増えていた」「同じ道で迷うようになった」——そんなお話です。
わたしが担当させていただいたお客様の中にも、退院をきっかけに車の運転を見直された方がいらっしゃいました。ご家族は「取り上げるようで言い出しにくい」とずいぶん悩まれていましたが、ご本人の「まだ大丈夫」という気持ちも大切にしながら、少しずつ話し合いを重ねていらっしゃいました。運転は、その方の自由や誇りにつながっているのだと、現場で改めて感じます。
ご家族が気づきやすいサイン(目安として)
- 車体に、以前はなかった小さなこすり傷やへこみが増えている
- ブレーキやアクセルのタイミングが、以前より遅く感じる
- 慣れた道で迷う、曲がる場所を通り過ぎることが増えた
- 同乗すると「ヒヤッ」とする場面が増えた
もちろん、これらは目安のひとつです。運転を続けられるかどうかは、お体の状態や病気の影響とも関わってきますので、気になるときはまず主治医に、そして運転免許のことは警察庁や自治体の窓口にご相談いただくのが安心です。
免許返納は「移動をあきらめる」ことではありません
「運転をやめたら、買い物も通院もできなくなってしまう」——そう考えて、返納をためらうご家族はとても多いです。わたしも最初は、車を手放すこと=外出できなくなること、というイメージを持っていました。でも現場を回るうちに、移動を支える方法はいくつもあるのだと知りました。
大切なのは、「運転をやめる」ことと「出かけ続ける」ことを、切り離して考えることだと思います。しっかり歩ける方も、少し足腰に不安が出てきた方も、それぞれに合った移動の手立てがあります。
移動を支える福祉用具という選択肢
足腰が弱ってきて、長い距離を歩くのがつらくなってきた方には、いわゆる「シニアカー」と呼ばれるハンドル形の電動車椅子(電動カート)という福祉用具があります。ハンドルを握って座ったまま移動でき、近所への買い物やお散歩の足として使われる方が多い用具です。
- 座ったまま移動できるので、歩行に不安がある方の外出を助けます
- 介護保険の福祉用具貸与(レンタル)の対象になる場合があります
- 使う前に、実際の道や玄関まわりで無理なく使えるかを一緒に確認します
ただし、電動カートは介護保険では車椅子の仲間として扱われ、目安として要介護2以上の方が対象になることが多い用具です。要支援や要介護1の軽度の方の場合は、お体の状況によって個別の判断が必要になります。このあたりは制度が少し複雑で、わたしも最初は混乱しました。実際に使えるかどうかは、担当のケアマネージャーさんに相談しながら進めるのが確実です。
また、歩く力はあるけれど少し支えがほしい、という方には、外を歩くための歩行車やシルバーカー、杖といった用具もあります。「もう車がないから」とあきらめる前に、どのくらい歩けるか、どこまで出かけたいかを一緒に整理していくと、その方に合った道具が見つかりやすくなります。
福祉用具のほかにもある、地域の移動の支え
福祉用具だけで移動のすべてが解決するわけではありません。千葉県内でも、市区町村ごとに高齢者の外出を支える取り組みが用意されていることがあります。
- 免許を返納した方向けの、バスやタクシーの割引・支援(市区町村によって内容が異なります)
- コミュニティバスや乗合送迎などの地域交通
- 要介護認定を受けている方の、通院などに使える介護サービス
こうした制度は、お住まいの自治体によって名前も中身もさまざまです。千葉市の方であれば、お近くの地域包括支援センターが、介護と暮らし全般の相談先として頼りになります。「運転をやめた後の生活が心配で」とお伝えいただければ、福祉用具と地域のサービスを組み合わせた形を一緒に考えられます。
家族で話し合うときに、わたしがお伝えしていること
運転の話は、ご本人にとってデリケートな話題です。ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、頭ごなしに「危ないからやめて」と伝えると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。
- 「危ない」ではなく「これからも安心して出かけてほしいから」と、目的を先に伝える
- やめた後の移動手段を、先に一緒に用意しておく
- 一度で結論を出そうとせず、時間をかけて何度か話す
先輩から教わったのですが、移動の手立てが目の前にあると、ご本人も「それなら」と前向きになりやすいそうです。運転をやめることが、そのまま家に閉じこもることにならないよう、福祉用具や地域の力をうまく組み合わせていきたいですね。
今回のニュースは、高齢の親御さんを持つご家族にとって、暮らしの安全を見つめ直すよいきっかけだと思います。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。運転や移動のことでご不安があれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
