こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
10月に入り、朝晩はだいぶ涼しくなりましたね。千葉市内でも、カフェのメニューに秋の味覚が並ぶ季節になりました。そんな中、介護の業界では少しドキッとするニュースがありました。
介護ニュースJointによると、介護サービスを担う事業者や専門職の17団体が「STOP!介護崩壊」を掲げて東京で集会を開き、介護サービスの基本報酬の十分な引き上げと、毎年の賃上げを求める決議をしたそうです。集会では、全国老人保健施設協会の会長が、深刻な人材不足と物価高によって全国で事業所の閉鎖が起きていると報告し、「まさしく介護崩壊が始まっている」と訴えたと伝えられています。
「介護崩壊」という言葉は強く、親の介護が始まったばかりのご家族はとても不安になると思います。今回は、このニュースをきっかけに「いま使っている事業所が休止や閉鎖になったらどうなるの?」というご家族の不安について、福祉用具専門相談員の目線で、いまからできる備えをお伝えします。
ニュースのポイント|何が訴えられたの?
まず、記事に書かれている内容を整理します。
- 介護関係の17団体が東京で集会を開いた
- 決議では「基本報酬の十分な引き上げ」と「毎年の賃上げ」を求めた
- 人材不足と物価高で、全国で事業所の閉鎖が起きているという報告があった
- 参加した国会議員からも、人件費を加算だけでまかなうのは難しく、基本報酬の引き上げが必要だという趣旨の発言があった
「基本報酬」は、介護サービスを提供した事業所に介護保険から支払われる基本の料金のことです。「加算」は、条件を満たしたときに上乗せされる部分です。来年度の介護報酬改定に向けて、事業所の経営を支える土台の部分をきちんと引き上げてほしい、というのが今回の訴えです。
報酬がどう決まるか、ご家族の自己負担がどう変わるかは、これからの国の議論しだいです。いまの時点で「いくら上がる」と言える段階ではないので、詳しくは今後の発表や、自治体の窓口・専門家の情報をご確認ください。わたしも最初は「報酬」と「自己負担」の関係がよく分からず混乱しました。少しずつ一緒に整理していきましょう。
ご家族にとっての本当の不安は「サービスが続くかどうか」
現場でよくいただくご質問なのですが、ご家族がいちばん気にされるのは、制度の細かい話よりも「明日から使えなくなったら困る」ということです。
介護サービスは、デイサービス、訪問介護(ヘルパー)、ショートステイ、福祉用具レンタルなどの組み合わせで成り立っていることが多いです。どこか1つが休止や閉鎖になると、生活のリズムが崩れてしまう場合があります。
ただ、事業所が閉鎖になっても介護保険の制度そのものがなくなるわけではありません。多くの場合は、ケアマネージャーさんが別の事業所を探して調整してくれます。慌てずに、まずは相談できる人がいるということを覚えておいてください。
いまのうちにできる5つの備え
1. 利用中の事業所の連絡先を一覧にしておく
ケアマネージャーさん、デイサービス、ヘルパー事業所、福祉用具の事業所など、関わっているところの名前と電話番号を1枚の紙にまとめておくと安心です。冷蔵庫に貼っておいたり、ご兄弟とスマートフォンで共有したりしているご家族もいらっしゃいます。
2. ケアプランと契約書の控えを手元に置く
どのサービスを週に何回使っているかは、ケアプラン(介護の計画書)に書かれています。もし事業所が変わることになっても、いまの内容が分かれば次の事業所にスムーズに引き継げます。契約書や重要事項説明書も、捨てずにまとめて保管しておくのがおすすめです。
3. 「困ったらまずケアマネさん」を家族で共有する
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、事業所の変更は、ご家族だけで動くよりケアマネさんを通したほうが早く進むことが多いです。担当のケアマネさんがすぐにつかまらないときは、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談する方法もあります。千葉市の場合は、各区に地域包括支援センターがあります。
4. 福祉用具は「何を借りているか」を把握しておく
介護ベッド、車椅子、手すり、歩行器など、レンタル中の福祉用具は毎日の生活に直結します。品名や型番、借りている台数がレンタルの明細などで分かるようにしておくと、事業所が変わることになっても、体に合った同じタイプの用具を探しやすくなります。
先輩から教わったのですが、福祉用具は「同じ種類」でも、高さや幅、操作の仕方が少しずつ違います。変わる場合は、ご本人が慣れている使い勝手をできるだけ保てるよう、福祉用具専門相談員に遠慮なく伝えてください。
5. 万一のときの「つなぎ」を考えておく
たとえば、デイサービスがお休みになった週はご家族が様子を見に行く、ショートステイが使えないときはほかの事業所を探してもらうなど、ざっくりとした「もしも」を家族で話しておくだけでも、気持ちに余裕ができます。
現場で感じること
わたしが担当させていただいたお客様の中には、利用していた事業所が変わることになり、ご家族がとても不安そうにされていた方がいらっしゃいました。そのときは、ケアマネさんと一緒にケアプランを見直し、福祉用具も使い慣れた機種に近いものを選んで、ご本人の暮らしがなるべく変わらないよう調整しました。お引き渡しの日に、ご本人が「いつもと同じで安心した」と言ってくださったのが、今も心に残っています。
事業所が変わること自体よりも、「誰に相談すればいいか分からない」ことのほうが、ご家族にとって大きな負担になるのだと感じました。
体調面の変化は主治医にも相談を
サービスの変更や中断がきっかけで、ご本人の体調や気持ちに変化が出ることもあります。食欲が落ちた、眠れていないなど気になる様子があれば、自己判断せず主治医にご相談ください。
まとめ|不安なニュースこそ「相談先」を確かめるきっかけに
- 介護17団体が人材不足・物価高による事業所の閉鎖を訴え、基本報酬の引き上げと毎年の賃上げを求めた
- 報酬や自己負担がどう変わるかは、今後の議論しだい
- 連絡先の一覧、ケアプランと契約書の控え、福祉用具の内容を把握しておくと安心
- 困ったときは、まずケアマネージャーさんか地域包括支援センターへ
「介護崩壊」という言葉に不安になったら、わが家の介護体制を見直すきっかけにしてみてください。わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
参考:介護ニュースJoint
