こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
みなさんは、親御さんの通院の付き添いで悩んだことはありませんか?「車椅子で病院まで連れて行くだけで半日かかる」「待合室で座っているのがつらそう」。訪問先のご家族からも、こうしたお声をよくいただきます。
そんな中、10月19日に開かれた国の会議で、在宅療養に関わる提案がありました。今回はこのニュースをきっかけに、通院が難しくなってきた親御さんを自宅で支えるために、ご家族が準備できることを一緒に考えてみたいと思います。
ニュースの要点|訪問看護の「オンライン診療の補助」を評価する案
介護ニュースJointによると、厚生労働省は10月19日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、来年度の介護報酬改定に向けて、訪問看護に関わる新しい評価を提案しました。記事に書かれているポイントは次のとおりです。
- 看護職員が利用者さんのお宅で、医師のオンライン診療を補助する業務を評価する(「D to P with N」と呼ばれる形)
- この形は今年度の診療報酬改定ですでに評価されていて、介護保険では5月の通知で暫定的な取り扱いが示されていた
- あわせて、訪問看護ステーションと地域の医療機関などとのICT(情報通信技術)を使った情報連携も評価する
- 厚労省は年内にも施策の大枠を固める予定
あくまで「提案」の段階なので、最終的な内容はこれから決まります。詳しい仕組みやご自身のケースに当てはまるかどうかは、ケアマネさんや自治体の窓口、主治医にご確認ください。
「D to P with N」ってどういうこと?
聞き慣れない言葉ですよね。わたしも最初は混乱しました。分けて読むと、意味がわかりやすくなります。
- D=Doctor(医師)
- P=Patient(患者さん)
- N=Nurse(看護師)
つまり「看護師さんがそばにいる状態で、患者さんが画面越しに医師の診療を受ける」形のことです。ご本人やご家族だけでパソコンやタブレットを操作するのは不安でも、看護師さんが自宅に来て横にいてくれれば安心、という場面は多いと思います。
医療の内容そのものは、わたしたち福祉用具専門相談員がお答えできる範囲ではありません。オンライン診療が合うかどうかは、病状によって大きく変わるはずです。かならず主治医にご相談ください。
通院の負担はご家族にとっても大きい
わたしが担当させていただいたお客様の中には、月に一度の通院のたびに、お仕事を休んで付き添っていた娘さんがいらっしゃいました。玄関の段差を車椅子で下りて、介護タクシーを手配して、病院で長く待って……。帰宅後はご本人もご家族もぐったりされていた、とお話しされていました。
千葉県内でも、駅や病院から離れた地域や、坂の多い住宅地にお住まいの方は少なくありません。特に冬場は寒さもあり、外出そのものが体の負担になることもあります。通院のかたちに選択肢が増えることは、在宅介護を続けるご家族にとって心強い動きだと、わたしは感じています。
自宅で診てもらうときに整えておきたい環境
オンライン診療でも訪問診療でも、「自宅が診察の場になる」という点は同じです。ここからは、福祉用具専門相談員の目線で、準備しておくと良いことをお伝えします。
1. 画面を見やすい姿勢をつくる
寝ていることが多い方の場合、平らに寝たままだと画面が見えにくく、お話もしづらいことが多いです。介護ベッドの背上げ機能を使えば、楽な角度で上半身を起こせます。背上げをするときに体がずり下がってしまう場合は、膝上げと組み合わせたり、クッションで支えたりする方法もあります。どの角度が楽かは人によって違うので、事前に何度か試しておくと当日あわてません。
2. ベッドまわりのスペースを空けておく
看護師さんがタブレットを持ってベッドの横に立ったり、体を診たりするためのスペースが必要です。ベッドの片側に物が多いと、動きにくくなってしまいます。オーバーテーブル(ベッドの上で使えるテーブル)があると、画面を置いたりメモを広げたりするのにも便利です。
3. 椅子で受ける場合は「座り続けられるか」を確認
座って受ける方は、ひじ掛けのある安定した椅子がおすすめです。車椅子のまま受ける場合は、ブレーキをかけ、足がフットサポートにきちんと乗っているかを確認してください。体に合っていない車椅子だと、短い時間でも姿勢が崩れやすくなります。
4. 明るさと通信環境
顔色や表情が画面越しに伝わりやすいよう、部屋の明るさにも気を配りたいところです。インターネット環境については、使える機器やつなぎ方を事前に訪問看護ステーションに確認しておくと安心です。
ご家族ができる「情報の準備」
今回のニュースには、訪問看護ステーションと医療機関との情報連携をICTで進める、という話もありました。仕組みが整っていくのはありがたいことですが、日々の様子をいちばん近くで見ているのはご家族です。
- 食事や水分の量、眠れているか、トイレの回数などを簡単にメモしておく
- 「いつもと違う」と感じたことを、日付と一緒に書いておく
- お薬手帳や介護保険証を、すぐ出せる場所にまとめておく
- ベッドから起き上がりにくい、手すりの位置が合わないなど、生活動作の困りごとも書き留めておく
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、生活動作の変化は、福祉用具を見直すタイミングにもなります。メモをケアマネさんや訪問看護師さんと共有していただければ、わたしたちもより合った用具をご提案しやすくなります。
まずはケアマネさんに相談を
「うちの親もオンライン診療が使えるの?」「訪問看護って頼めるの?」と思われた方は、まず担当のケアマネさんに相談してみてください。千葉市なら、各区の地域包括支援センターも相談窓口になります。費用や制度の細かいところは、改定の内容が決まってから変わる可能性もありますので、最新の情報は自治体の窓口や専門家にご確認ください。
ベッドの角度や置き場所、車椅子の座り心地など、「診てもらいやすい環境づくり」については、わたしたちにお気軽にお声がけください。ご自宅にうかがって、実際の動きを見ながら一緒に考えます。
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。
参考:介護ニュースJoint
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
