介護事故の報告が全国で一元化へ|転倒・熱中症も対象、家族が知りたい事故予防

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。

10月も下旬になり、千葉市内でも朝晩はぐっと冷え込むようになりました。季節の変わり目は、体調を崩したり、ちょっとしたところでつまずいたりと、ご高齢の方にとっては気をつけたいことが増える時期でもあります。

そんな中、介護の「事故」に関するニュースが届きました。厚生労働省が、介護の現場で起きた事故の情報を全国でまとめて集める新しい仕組みをつくる、というものです。今日はこのニュースをきっかけに、ご家族が知っておきたいことと、ご自宅でできる事故予防について、福祉用具専門相談員の目線でお話しします。

ニュースのポイント|介護事故の情報を全国で集める仕組みへ

社会保険研究所の報道によると、厚生労働省は10月21日付の事務連絡で、介護現場で起きた事故の情報を一元的に集める「介護現場における事故情報報告システム」を、2027年4月ごろから稼働させる予定であることを示しました。あわせて、事故を報告するときの様式(書式)の見直し案も提示されています。

記事で紹介されている主な内容は、次のとおりです。

  • 新しいシステムは、すでにある「介護サービス情報公表システム」の一部(サブシステム)として作られる予定
  • 報告様式では利用者の氏名の記載をやめ、年齢・性別・要介護度などを記載する形に変える案
  • 事故の種類に、これまでの転倒・転落などに加えて「熱中症」「溺水」「自傷行為」「利用者間トラブル」を追加する案
  • 原因を、本人の状態の変化、環境・設備、介護技術、職員間の情報共有など、いくつかの視点から整理する形にする案
  • 第1報は、事故発生後速やかに、遅くとも5日以内を目安に提出する取り扱いを継続

全国の事故情報を集めて分析し、その結果を介護事業所にフィードバックすることで、再発防止につなげることがねらいとされています。なお、様式はあくまで「見直し案」の段階で、稼働までに調整される可能性があると報じられています。

「事故報告」「サブシステム」と聞くと、ちょっと身構えてしまいますよね。わたしも最初にこのニュースを読んだときは、制度の言葉が多くて少し混乱しました。ざっくり言うと、「どこで、どんな事故が、なぜ起きたのか」を全国で集めて、同じ事故をくり返さないためのヒントにしようという取り組みだと受け止めています。

ご家族にとって、どんな意味があるの?

このニュースは主に介護事業所向けの話ですが、ご家族にとっても無関係ではありません。

「事故の原因」を一緒に考える流れが強まりそう

見直し案では、事故の原因を「本人の状態の変化」「環境・設備」「介護技術」「情報共有」など複数の視点から整理する方向が示されています。転倒ひとつとっても、体調の変化なのか、床や段差の問題なのか、用具が合っていなかったのか、原因はさまざまです。こうした視点は、ご自宅での事故予防を考えるときにもそのまま役立つと、わたしは感じています。

熱中症や入浴中の事故も「事故」として扱われる方向に

事故の種類に熱中症や溺水が加わる案が出ていることも、印象に残りました。在宅介護でも、夏場の室温管理や冬場の入浴は、ご家族からご相談の多いテーマです。「転んでケガをすること」だけが事故ではない、という意識を持っておくと、日々の見守りのポイントが少し変わってくるかもしれません。

デイサービスなどで事故があったときは

万が一、利用している事業所で事故が起きた場合の連絡や説明の方法、補償などの具体的な扱いは、事業所や契約内容によって異なることがあります。気になる点があれば、まずは事業所の担当者やケアマネさんに確認してみてください。法的な判断が必要な場面では、自治体の窓口や専門家にご相談いただくのが安心です。

在宅介護でご家族ができる事故予防のヒント

ここからは、福祉用具専門相談員として現場で感じていることをお伝えします。報告様式の「原因の視点」を、ご自宅に当てはめて考えてみましょう。

1. 本人の状態の変化に気づく

「最近、立ち上がるのに時間がかかる」「夜中のトイレの回数が増えた」など、小さな変化は事故のサインのことがあります。体調の変化が気になるときは、主治医にご相談ください。そのうえで、今の状態に合った福祉用具になっているかを、ケアマネさんや福祉用具専門相談員と一緒に見直すのがおすすめです。

2. 環境・設備を点検する

  • ベッドから立ち上がる位置に、つかまる場所はあるか
  • トイレや浴室までの動線に、段差やすべりやすい場所はないか
  • 夜間の通り道に、足元を照らす明かりはあるか
  • 暑い日・寒い日に、室温を確認できる工夫はあるか

先輩から教わったのですが、事故の多くは「いつもの動作」の中で起きることが多いそうです。手すりやベッド用の介助バー、すべり止めのマットなど、ちょっとした用具で動作が安定する場合があります。

3. 用具の「使い方」を共有する

福祉用具は、合っていない使い方をすると思わぬケガにつながることもあります。ベッドの柵のすき間、車椅子のブレーキのかけ忘れ、歩行器のサイズなどは、訪問時にわたしたちが特に気をつけて確認しているポイントです。

わたしが担当させていただいたお客様の中には、ご本人は使い方を覚えていても、たまに手伝いに来るご家族が介護ベッドの操作に慣れておらず、ヒヤッとしたという方がいらっしゃいました。そのお宅では、次の訪問のときに来られるご家族全員に集まっていただき、操作のコツをあらためてお伝えしました。「誰が介助しても同じように使える」状態にしておくことも、大切な事故予防です。

4. 「ヒヤリ」としたことを記録しておく

実際にケガにならなくても、「ヒヤリ」「ハッ」とした場面は、事故を防ぐ大事な手がかりです。いつ、どこで、どんな動作のときだったかを、だいたいで構わないのでメモしておくと、ケアマネさんや福祉用具専門相談員に相談するときにとても役立ちます。今回の報告様式で、事故の時間帯を「2時間ごとの区分」で記録する案が出ているのも、時間帯によって起きやすい事故の傾向があるからなのかな、とわたしは受け止めています。

千葉で在宅介護を続けるご家族へ

千葉県内でも、ご自宅で介護を続けるご家族はたくさんいらっしゃいます。新しいシステムが動き出すのは2027年4月ごろの予定で、まだ少し先の話です。それでも、「事故の原因をいろいろな視点で考える」という考え方は、今日からご自宅でも取り入れられます。

福祉用具の見直しや住まいの点検は、ケアマネさんを通じて、あるいは直接わたしたちにご相談いただくこともできます。制度の詳しい内容や今後の変更点については、お住まいの自治体の窓口や専門家にもご確認ください。

ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:社会保険研究所

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