こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。朝晩がぐっと冷えてきて、千葉市内でも暖房を使い始めたご家庭が増えてきました。空気が乾くこの季節は、お肌の乾燥を気にされるご家族からのご相談も多くなります。
今回は、介護の専門紙「シルバー産業新聞」に載っていた記事をきっかけに、排泄ケアと親の肌の守り方についてお話しします。おむつや尿とりパッドを使い始めたばかりのご家族に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
ニュースのポイント|失禁による肌トラブルと床ずれの関係
記事によると、2026年9月に奈良市で開かれた日本褥瘡学会の学術集会で、病院の皮膚・排泄ケア認定看護師さんが報告をされたそうです。内容をかんたんにまとめると、次のとおりです。
- 尿や便が肌についた状態が続くと、肌のバリア機能が弱ってしまう(これを「IAD=失禁関連皮膚炎」と呼ぶそうです)
- 弱った肌に摩擦やズレが加わると、床ずれ(褥瘡)ができたり悪化したりするリスクが高まる
- 膀胱に入れる管(カテーテル)でも従来のおむつでもない「第3の選択」として、モレを防ぐ機能や抗菌機能を高めた尿とりパッドの可能性が紹介された
- そうしたパッドと陰部を洗うためのフォームを組み合わせたスキンケアで、肌の状態が改善した事例も報告された
病院での報告なので、そのまま自宅に当てはまるとは限りません。それでも、「おむつかぶれは床ずれの入り口になることがある」という考え方は、在宅介護のご家族にもとても大切なヒントだと感じました。
「おむつかぶれ」と「床ずれ」はつながっています
床ずれというと、「長い時間寝ていて、骨の出ているところが圧迫されてできるもの」というイメージが強いと思います。もちろんそれも大きな原因です。でも先輩から教わったのですが、床ずれは「圧迫」「ズレ・摩擦」「湿り」「栄養」など、いくつもの要因が重なって起こることが多いそうです。
なかでも見落とされやすいのが「湿り」です。おむつの中が長く湿っていると、肌はふやけて傷つきやすくなります。そこへ体の向きを変えるときにシーツとこすれたり、ベッドの背を上げたときに体がずり落ちたりすると、肌への負担がいっそう大きくなります。
わたしも最初は「床ずれはマットで防ぐもの」とばかり思っていたので、排泄ケアとこんなに関係があると知って驚きました。
ご家族ができる排泄ケアの工夫
1. パッドは「たくさん重ねる」より「合ったものを適切に」
現場でよくいただくご質問なのですが、「夜にモレるのが心配で、パッドを何枚も重ねています」というお声があります。お気持ちはとてもよく分かります。ただ、重ねすぎると蒸れやすく、ゴワつきで肌がこすれる原因になる場合があります。
パッドには吸収量や形、サイズにいろいろな種類があります。尿の量や時間帯、寝ている時間の長さによって合うものが変わるので、ケアマネさんや訪問看護師さん、ドラッグストアの介護用品コーナーの方などに相談しながら選ぶのがおすすめです。
2. 洗うときは「こすらず、やさしく」
おむつ交換のときは、汚れをゴシゴシ拭き取るより、ぬるま湯や洗浄用の泡などでやさしく洗い流し、押さえるように水気を取るのが基本だと教わりました。拭きすぎも摩擦の原因になるからです。
3. 赤み・ただれに気づいたら早めに相談
お尻や陰部まわりに赤み、ただれ、痛がる様子があれば、自己判断で市販薬を塗る前に、主治医や訪問看護師さんにご相談ください。肌の状態の見立てやお薬の判断は医療の専門職さんの領域です。早めに相談するほど、ご本人もご家族も楽になることが多いです。
福祉用具で「ズレ」と「圧迫」も一緒に減らす
排泄ケアで肌を守ることと合わせて、福祉用具で圧迫やズレを減らすことも大切です。介護保険でレンタルできるものの中にも、次のような用具があります(要介護度などによって対象にならない場合があります)。
- 床ずれ防止用具(エアマット・高機能ウレタンマットなど):体の重さを分散して、一か所にかかる圧迫を減らします
- 体位変換器:体の向きを変えるときの介助を助け、ズレや摩擦を減らすのに役立つことがあります
- 介護ベッド(特殊寝台):高さを調整できると、おむつ交換のときにご家族が無理な姿勢になりにくくなります。背上げの角度や順番によっては体がずれやすくなるので、使い方のコツも大事です
- ポータブルトイレ:座れる方であれば、トイレで排泄できる時間を少しでも残すことで、おむつの中が湿っている時間を減らせる場合があります
わたしが担当させていただいたお客様の中には、夜間のおむつ交換のたびにご家族がかがみこんで腰を痛めていたご家庭がありました。ベッドの高さ調整の使い方とマットの見直しをご提案したところ、「交換が手早くなって、母の肌もこすらずに済むようになった」とお話しいただけました。用具を変えると、介護する側の動きも変わるのだと実感した出来事です。
おむつ代の負担が気になるときは
なお、紙おむつや尿とりパッドは、介護保険の福祉用具レンタルや購入の対象外です。ただ、自治体によっては紙おむつの給付や助成の仕組みを設けている場合があります。対象となる方や内容は市区町村によって違うので、千葉市にお住まいの方は区役所の窓口や地域包括支援センター、そのほかの地域の方はお住まいの市町村へ確認してみてください。医療費控除の対象になるケースもあるので、税金の細かいことは税務署や税理士さんなどの専門家にご相談ください。
まとめ|排泄ケアは「肌を守るケア」でもあります
- 失禁で肌が弱ると、床ずれにつながりやすくなることがある
- パッドは重ねすぎず、量や時間帯に合ったものを選ぶ
- 洗うときはこすらずやさしく、赤みに気づいたら主治医・訪問看護師さんへ
- 床ずれ防止マットや介護ベッドで、圧迫とズレも一緒に減らす
排泄のお世話は、ご本人にとってもご家族にとっても、なかなか人には相談しにくいことだと思います。でも、わたしたち福祉用具専門相談員は、毎日のように同じご相談をいただいています。恥ずかしがらずに、ケアマネさんや訪問看護師さん、わたしたちに声をかけてくださいね。
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。
