室内でも起こる高齢者の熱中症|在宅介護でご家族が気をつけたい備え

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。連日の暑さに、ご家族の体調が気になる季節になりましたね。わたしも訪問先へ向かう車のなかで、外気温の表示を何度も見てしまう毎日です。

先日ニュースを読んでいて、あらためて背筋が伸びる思いがしました。DoctorMate(ドクターメイト)が2026年7月に公開した記事によると、気象庁は今年の夏も全国的に平年より気温が高くなる可能性が高く、7月下旬から8月にかけてが暑さのピークと予想しているそうです。今年からは最高気温40℃以上を示す『酷暑日』という言葉も、正式な予報用語として使われるようになったとのことでした。

「室内なら安心」ではないという事実

この記事でいちばん心に残ったのは、熱中症は屋外だけの問題ではない、という点でした。記事で紹介されていた東京都23区内のデータでは、熱中症で亡くなった方の95.1%が屋内で発症していたそうです。しかも屋内で亡くなった方の約5人に1人はご家族と同居されていた、とのこと。さらに、屋内で亡くなった方の85.6%は「エアコンがない、あるいは使っていなかった」という状況だったと書かれていました。

これはあくまで東京都のデータで、地域や年によって数字は変わるものですが、わたしはこの『同居していても起きている』という部分に、ご家族の在宅介護と重なるものを感じました。同じ家のなかにいても、別の部屋で過ごす時間は意外と長いものですよね。

先輩から教わったのですが、高齢の方は加齢とともに暑さを感じにくくなり、喉の渇きにも気づきにくくなることが多いそうです。だからご本人は「そんなに暑くない」「まだ大丈夫」とおっしゃっていても、体のなかは思った以上に熱がこもっている、ということが起こりやすいのですね。難しい話に聞こえるかもしれませんが、わたしも最初は「本人が大丈夫と言うなら」と受け取ってしまいそうになり、先輩に注意されたことがあります。

現場でよく聞く「エアコンを使いたがらない」というお悩み

現場でよくいただくご質問なのですが、「親がエアコンを嫌がって、つけてもすぐ消してしまう」というお声はとても多いです。わたしが担当させていただいたお客様の中にも、「電気代がもったいない」「冷房は体が冷えて苦手」とおっしゃる方が少なくありませんでした。

頭ごなしに「危ないからつけて!」とお願いしても、なかなか受け入れていただけないこともあります。ベテランの先輩によると、『寒くないくらいの設定でいいので、つけっぱなしにしておきましょうね』と、ご本人の感覚に寄り添った声かけのほうが続きやすいのだそうです。設定温度を無理に下げるより、除湿や送風も上手に使いながら、部屋の空気がこもらないようにしていくイメージですね。

千葉市内でも、団地の上階のお部屋やマンションの西向きのお部屋は、日中かなり暑くなることがあります。ご実家の間取りや日当たりによって、暑さのたまりやすさは本当にさまざまです。「うちの親の部屋は午後になると特に暑い」といった気づきは、ご家族だからこそ分かる大切な情報だと感じています。

ご家族が今日からできる、暑さへの備え

専門的な体調管理は主治医やケアマネージャーさんと相談していただくことが大前提ですが、暮らしのなかでできる工夫として、わたしが訪問先でよくお話しするポイントをいくつかご紹介します。

  • 温度と湿度を「見える化」する:温湿度計を目につく場所に置いておくと、「暑い・暑くない」の感覚だけに頼らずに判断できます。目安として、室温はおよそ28℃以下、湿度は高くなりすぎないよう意識すると安心という声をよく聞きます。
  • 水分をこまめに:喉が渇く前が目安です。ベッドやいすのそばに、こぼれにくいコップや吸い飲みを置いておくと、ご本人も手に取りやすくなります。持病や飲み物の制限がある場合は、必ず主治医にご相談ください。
  • 過ごす場所の環境を整える:一日の多くをベッドやいすで過ごす方の場合、その周りの風通しや直射日光の当たり方を見直すだけでも、体感はずいぶん変わります。
  • 声かけと見守りの仕組みをつくる:遠くにお住まいのご家族なら、電話やビデオ通話で「今日は暑いけどエアコンついてる?」と一声かけるだけでも違います。ひとり暮らしの親御さんには、見守りのサービスやセンサーを活用されるご家族もいらっしゃいます。

福祉用具の視点から少し付け加えると、寝たきりに近い方の場合は、体にこもった熱がうまく逃げるように寝具の素材や敷き方を工夫することも、暑い時期の環境づくりの一つです。どんな形がそのご本人に合うかは体の状態によって変わりますので、床ずれ防止用具などを使っている方は、担当の相談員やケアマネージャーさんに一度ご相談いただくと安心です。

「いつもと違う」に早く気づくために

ご家族と同居していても熱中症が起きているという事実は、裏を返せば、身近な人が『いつもと少し違うな』に気づけることが、いちばんの見守りになるということでもあると思います。ぼんやりしている、返事がゆっくり、汗をかいていないのに体が熱い——そうしたサインに「あれ?」と思ったら、ためらわずに水分・涼しい場所・そして必要に応じて医療機関へ、と早めの行動を心がけていただければと思います。緊急時の判断は自己判断せず、迷ったら主治医や救急の窓口にご相談くださいね。

制度や体調のことは専門家に、暮らしの道具や環境のことはわたしたち福祉用具専門相談員に。うまく役割を分けながら、この夏を乗り切っていただけたらうれしいです。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:DoctorMate(ドクターメイト)

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