こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心に、ご家族のお宅へ福祉用具のご相談にうかがっています。
2026年7月29日、消費者庁(消費者安全調査委員会、いわゆる「消費者事故調」)が、「車椅子使用者を自動車で送迎中の事故」についての経過報告を公表しました。デイサービスやショートステイの送迎、そしてご家族の運転する車での通院など、車椅子ごと車に乗って移動する場面は、在宅介護をされているみなさんにとってもとても身近だと思います。今日はこのニュースを入口に、わたしが現場で感じていることをお話しさせてください。
消費者庁が公表した「送迎中の事故」の経過報告とは
報道や消費者庁の経過報告によると、車椅子を使う方を自動車で送迎している最中に、急ブレーキや衝突の衝撃で亡くなる事故が、以前から繰り返し起きているとのことです。報道では、2019年から2025年までにおよそ49件が確認され、その約6割が死亡につながった事故だったと伝えられています。被害に遭われた方の多くは70代以上の高齢の方で、介護サービスの送迎中に起きたケースが多いとされています。
今回はまだ「経過報告」の段階で、消費者事故調は、車椅子や車両の構造が安全対策にどう影響しているか、シートベルトや固定の運用がきちんと守られているかなどを、これから詳しく調べていく方針だと報じられています。制度や調査の細かな内容については、今後の発表や自治体の窓口、事業所さんにご確認いただくのが確実です。
数字を聞くと少しどきっとしてしまいますよね。わたしも最初にこのニュースを読んだとき、担当させていただいているお客様のお顔が浮かんで、胸がきゅっとなりました。ただ、こうして原因を調べて再発を防ごうという動きが進むのは、とても大切なことだと思っています。
事故はどんなときに起きやすいのか
報道されている内容から見えてくるのは、「車椅子は移動を助ける道具であって、走る車の中で体をしっかり支える“座席”ではない」という点です。ベテランの先輩によると、次のような場面は特に注意が必要だそうです。
- 急ブレーキや急な発進で、体が前後に大きく揺さぶられるとき
- 車椅子そのものが車の床にしっかり固定されていないとき
- 車椅子に付いているベルト(姿勢を保つためのベルト)を、乗車用のシートベルト代わりだと思ってしまうとき
国土交通省のガイドラインなどでは、車椅子を車内でしっかり固定したうえで、体を守るためのシートベルト(乗員用の3点式など)を適切に装着することが求められている、と報じられています。車椅子に付属しているベルトは、あくまで座った姿勢を安定させるためのもので、衝突の衝撃から体を守る役割とは別ものなのですね。わたしも、この違いは意外と知られていないなと現場で感じることが多いです。
ご家族が車椅子ごと車に乗せるときに知っておきたいこと
「送迎は事業所さんにお任せしているから」という方も多いと思いますが、通院やちょっとした外出で、ご家族自身が車椅子ごと車に乗せる場面もありますよね。現場でよくいただくご質問なのですが、そんなときに気をつけたいポイントを、目安として挙げてみます。
できれば座席に移乗できるか確認する
体の状態にもよりますが、可能であれば車椅子から車の座席へ移っていただき、車の純正シートベルトを使うのがより安心とされています。ただし、無理に移乗すると転倒のリスクもあります。移乗が難しい方の場合は、車椅子ごと乗れる福祉車両を使う方法があります。どちらが合っているかは、お体の状態を一番わかっているケアマネさんや主治医にご相談いただくのが安心です。
車椅子の固定とシートベルトは「別々に」
福祉車両で車椅子ごと乗る場合は、車椅子を車の床に固定する装置と、体を守るシートベルトの両方が必要になります。片方だけでは十分ではない、という点はぜひ覚えておいていただけたらと思います。
短い距離でも油断しない
「すぐ近くの病院だから」という短い移動でも、急ブレーキはいつ起きるかわかりません。わたしが担当させていただいたお客様の中にも、近所への通院を毎週されている方がいらっしゃいますが、距離の長さと安全は別のお話なのだと、あらためて感じます。
福祉用具専門相談員としてお伝えしたいこと
わたしたちは車の送迎そのものを担当しているわけではありませんが、車椅子という福祉用具をお届けする立場から、お伝えできることがあります。
- 車椅子が体に合っているか…サイズが合っていないと、車内でも姿勢が崩れやすくなります。定期的な点検で、ブレーキやタイヤ、ベルトの傷みも一緒に確認します。
- 使い方のご説明…ブレーキのかけ方や、たたみ方など、ご家族が不安なところは何度でもお伝えします。「使い方を誰に聞けばいいの?」と迷ったら、担当の相談員にどうぞお声がけください。
- 状態が変わったときのご相談…お体の状態が変わると、必要な用具も変わってきます。そんなときはケアマネさんと連携しながら、合うものを一緒に考えていきます。
難しいお話が続いてしまいましたが、大切なのは「怖がりすぎず、でも油断もしない」というバランスかなと思います。千葉市内でも夏はお出かけや通院の機会が増える時期です。移動のたびに、ほんの少しだけ「固定は大丈夫かな」「ベルトはしているかな」と気にかけていただくだけで、防げることがきっとあります。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で35年お手伝いしてきました。車椅子の使い方や送迎時の不安なことがあれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:消費者庁
