こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具のご相談をお受けしている福祉用具専門相談員です。
みなさんは、ご実家に帰ったとき「あれ、前と少し様子が違うかも」と感じたことはありませんか。同じ話を何度も繰り返す、冷蔵庫に同じ食材がいくつも入っている、いつも几帳面だった親の家が少し散らかっている……。そんな“ちょっとした変化”に、ふと胸がざわつく方は少なくありません。
じつは9月は、認知症について考える大切な月なんです。今回は、その入口として認知症月間のお話から、ご家族が親御さんの変化に早めに気づくためのヒントをお伝えします。
9月は「認知症月間」、21日は世界アルツハイマーデー
公益社団法人 認知症の人と家族の会によると、毎年9月は「世界アルツハイマー月間」、そして9月21日は「世界アルツハイマーデー(日本では認知症の日)」とされています。全国各地で建物をオレンジ色に照らすライトアップや記念講演会、街頭でのリーフレット配布など、たくさんの啓発活動が行われる時期です。
2026年の国際的なテーマは「The Earlier You Know, The More You Can Do(早く知るほど、できることが増える)」。わたしはこの言葉に、現場でとても共感しました。認知症は早く気づいたからといって慌てるものではなく、むしろ「早めに知れたからこそ、ご本人もご家族も準備ができる」――そんな前向きな意味が込められていると感じます。
しかも2026年は、9月21日が「敬老の日」と同じ日にあたります。ちょうど帰省や、久しぶりに親御さんと顔を合わせるご家族も多いタイミングですね。だからこそ、この時期に少し意識を向けてみていただけたらと思うのです。
現場で感じる、「早めに気づく」ことの大切さ
わたしが担当させていただいたお客様の中には、「もっと早く気づいてあげられたら」と後から気持ちを話してくださるご家族が少なくありません。遠くに住んでいて年に数回しか会えず、変化に気づいたときには生活の困りごとがだいぶ増えていた、というお話もよくうかがいます。
一方で、ちょっとした違和感の段階でケアマネージャーさんや地域包括支援センターにつながっていたご家庭は、ご本人の生活のペースを保ちながら、無理なく手すりや見守りの工夫を取り入れていけることが多いように感じます。ベテランの先輩によると、「福祉用具は“困り切ってから”より“少し不安を感じたとき”のほうが、ご本人にもなじみやすい」とのことでした。わたしも訪問の現場で、なるほどと思うことがよくあります。
ご家族が気づきやすい“ちょっとした変化”のヒント
あくまで日常の中で気づきやすいポイントの例として、いくつか挙げてみますね。もちろん、これらがあるからといって認知症だと決められるものではありません。加齢による物忘れや、体調・環境の変化で起こることもあります。
- 同じことを何度も聞いたり、話したりすることが増えた
- 買い物で同じものを何度も買ってくる(冷蔵庫に同じ食材がいくつも)
- 料理の味付けや手順が変わった、火の消し忘れが気になる
- 薬の飲み忘れ・飲みすぎが増えた
- 身だしなみや家の中の片づけが、以前ほど行き届かなくなった
- 外出をおっくうがる、日付や曜日があやふやになる
難しく考えず、「前より少し困っていそうかな」という視点で見てみるのがおすすめです。わたしも最初は「どこからが気にすべきラインなの?」と混乱しましたが、大事なのは白黒つけることではなく、気になったら相談してみる、その一歩なのだと教わりました。
気づいても、ご家族だけで判断しないでください
ここは大切なところなのですが、認知症かどうかの診断は医療の領域です。変化が気になるときは、まずかかりつけの主治医や、もの忘れ外来などの専門の先生にご相談ください。わたしたち福祉用具の相談員は、医療的な判断はできません。あくまで「暮らしを支える道具」の面から、ご家族に寄り添わせていただく立場です。
気づいたあと、千葉市ではどこに相談できる?
「気になるけれど、まず誰に話せばいいの?」というご質問も、現場で本当によくいただきます。千葉市にお住まいの場合、身近な相談先として次のような窓口があります。
- 地域包括支援センター(あんしんケアセンター)…千葉市では中央区・花見川区・稲毛区・若葉区・緑区・美浜区の各区に複数設置されています。介護や認知症の困りごとを、無料で相談できる高齢者のよろず相談窓口です。
- ケアマネージャー(介護支援専門員)…介護保険の要介護・要支援認定を受けると、ケアプランづくりや各サービスとの調整をしてくれる心強い存在です。
- 認知症の人と家族の会などの家族向けの会…同じ立場のご家族と気持ちを分かち合える場も、各地にあります。
どこに連絡してよいか分からないときは、お住まいの区の地域包括支援センターにお電話するのがいちばんの近道です。認知症の相談だけでなく、その後の手続きの流れも一緒に考えてもらえます。制度の細かい部分は市区町村によって扱いが異なることもありますので、詳しくはお住まいの自治体の窓口でご確認くださいね。
福祉用具や住まいの工夫で、暮らしを支える
認知症とともに暮らすなかでも、福祉用具や住環境のちょっとした工夫が、ご本人の安心とご家族の負担軽減につながる場面はたくさんあります。現場でよくご相談いただくものを、いくつかご紹介します。
- 手すり・段差解消…足元が不安定になってくると、転倒のリスクが気になります。工事不要の置き型手すりなど、暮らしに合わせて選べます。
- 見守り・センサー機器…夜間の起き上がりや、玄関からの外出をそっと知らせてくれる機器もあります。「見張る」のではなく「気づける」安心のための道具、というイメージです。
- 介護ベッド…起き上がりや立ち上がりがしやすくなり、ご本人にもご家族にも負担が少なくなる場合があります。
介護保険を使ってレンタルできる品目は、要介護度によって対象が変わります。目安として月々のご負担は数百円から千円台のことが多いですが、認定の区分やお選びになる品目によって変わりますので、まずはケアマネージャーさんにご相談いただくのが確実です。福祉用具は「合うかどうか」がとても大切ですので、実際に試してから決めていただけます。
いちばん大切なのは、ご家族が抱え込まないこと
認知症の介護は、先が見えにくく、ご家族が一人で抱え込んでしまいがちです。「しっかりしなきゃ」と気を張り続けると、介護しているご家族のほうが疲れ切ってしまうこともあります。デイサービスやショートステイ、家族の会など、頼れる先に少しずつ手を伸ばしていただけたらと思います。
9月の認知症月間は、そうした「支え合う仕組み」に目を向けるよいきっかけです。テーマの「早く知るほど、できることが増える」という言葉のとおり、気づいた今日から、できる備えは必ずあります。まずは肩の力を抜いて、身近な窓口に一本、お電話するところから始めてみませんか。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
