こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。10月に入り、千葉でも朝晩が少しずつ涼しくなってきましたね。
この10月1日から、職場の「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策が、事業者に義務づけられるようになりました。ケアマネジャー向けの専門メディア「ケアマネタイムス」でも、この施行を取り上げたコラムが掲載されています。そのなかで気になったのが、「良識のある利用者さんほど、遠慮して本当の希望を言えなくなるかもしれない」という指摘でした。
今回は、このニュースをきっかけに、介護サービスや福祉用具について「どこまで伝えていいの?」と迷っているご家族に向けて、わたしなりの考えをお伝えします。
10月から始まったカスハラ対策とは
記事によると、10月1日から、改正された労働施策総合推進法に基づいて、カスハラ対策が事業者に義務化されました。介護の分野では、来年度(2027年度)の改定で、事業所の運営に関するルール(運営基準)の見直しにも反映される予定とされています。
事業者に求められている主な取り組みとして、記事では次のようなものが挙げられていました。
- カスハラに毅然と対応する方針をはっきりさせること
- 働く職員に、その方針を知らせること
- 職員が相談できる体制を整えること
- 「社会通念上、許される範囲を超える言動」とは何かを周知すること
対応の例としては、職員が一人で抱え込まずに上司の指示を仰ぐことや、犯罪にあたるような言動は警察に通報することなども紹介されていました。
法律の名前や「義務化」という言葉が出てくると、少し身構えてしまいますよね。わたしも最初は混乱しました。細かな法解釈や、ご自身のケースが当てはまるかどうかについては、自治体の窓口や専門家にご確認ください。
「要望を言うとカスハラになる?」と心配なご家族へ
カスハラ対策は、介護の現場で働く人を守るための大切な取り組みです。一方で、コラムでは、良識的な利用者さんやご家族が「過度な要求と思われたくない」と自粛してしまい、ケアマネジャーさんが本当のご意向をつかみにくくなる可能性にも触れられていました。
現場でよくいただくご質問なのですが、「こんなことをお願いしたら、わがままだと思われませんか?」と遠慮がちに聞かれることがあります。でも、わたしたち福祉用具専門相談員にとって、ご本人やご家族の困りごとや希望は、用具を選ぶための一番大事な情報です。
たとえば「ベッドの柵が夜中にガタガタ鳴って眠れない」「歩行器が玄関で引っかかる」「手すりの位置が少し高い気がする」。こうした声は、わがままではなく、安全や暮らしやすさにつながる大切なサインです。
伝えてほしいこと・控えてほしいことの違い
あくまでわたしの現場感覚ですが、次のように考えていただくと分かりやすいかもしれません。
- どんどん伝えてほしいこと:使いにくさ、体に合わない感じ、困っている場面、「こうなったらいいな」という希望
- 控えていただきたいこと:大声で怒鳴る、人格を否定する言葉、長時間の拘束、制度上できないことを強く求め続ける、など
大切なのは「内容」より「伝え方」のことが多いです。困りごとそのものは、遠慮なく話していただいて大丈夫です。
要望をうまく伝える3つのコツ
1. 「困っている場面」を具体的に話す
「なんだか使いにくい」よりも、「朝トイレに行くとき、ベッドから立ち上がる瞬間にふらつく」のように、いつ・どこで・何が困っているのかを伝えていただけると、わたしたちも提案しやすくなります。気づいたことをメモしておくのもおすすめです。
2. 窓口をケアマネジャーさんに集める
ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、サービスごとに別々に要望を伝えると、情報がばらばらになってしまうことがあります。困りごとはまずケアマネジャーさんに相談し、必要に応じてわたしたち福祉用具の担当にもつないでいただく形がスムーズな場合が多いです。
3. 「できない」と言われたら理由を聞く
介護保険のルールで対応できないこともあります。そんなときは「なぜ難しいのか」「代わりにできることはあるか」を聞いてみてください。保険外のサービスや別の用具など、ほかの選択肢が見つかることもあります。
現場で感じた「言ってもらえてよかった」
先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。歩行器をお使いの方のご家族が、帰り際に「実は……」と小さな声で切り出してくださいました。「前から思っていたけれど、言いにくくて」と、廊下の曲がり角で歩行器が回りにくいことを教えてくださったのです。
さっそく会社に戻って先輩に相談し、小回りのききやすいタイプを試していただいたところ、ご本人も「これなら一人でトイレに行ける」と笑顔に。ご家族の一言がなければ、ずっと不便なまま過ごしていただくことになっていたかもしれません。
先輩から教わったのですが、「ご家族が遠慮して言わないことの中に、本当に大事な情報が隠れている」そうです。わたしもその言葉を大切にしています。
働く人とご家族、どちらも守られる関係に
カスハラ対策は、ご家族を「疑う」ためのものではなく、ヘルパーさんやケアマネジャーさんなど、介護を支える人が安心して働き続けられるようにするための仕組みだと、わたしは受け止めています。人手不足が続くなかで、支える人が守られることは、めぐりめぐってご家族の安心にもつながるはずです。
そのうえで、ご本人の体調の変化や、介護をしているご家族自身のしんどさも、どうか遠慮せずに話してください。体調に関わることは主治医に、サービスの組み立てはケアマネさんに、用具のことはわたしたちに。それぞれの窓口を上手に使っていただけたらうれしいです。
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。千葉市や千葉県内で福祉用具のことで迷われたら、シルバーとっぷにいつでもご相談ください。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。
参考:ケアマネタイムス
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
