個別避難計画の作成は要支援者の15%|介護中の親の災害への備えを家族で

こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。10月に入り、千葉でも朝晩はすっかり過ごしやすくなりましたね。台風シーズンの終盤でもあるこの時期、気になるニュースが届きました。

共同通信の配信によると、災害時に支援が必要な高齢者や障害のある方一人ひとりの避難手順を定めた「個別避難計画」の作成率が、対象者およそ670万人のうち15.1%にとどまることが、政府の調査で分かったそうです。対象者の80%まで作成が進んでいる自治体がある一方で、20%以下の自治体が半数を超えたとのこと。主な要因として、担当職員が足りず、ご本人やご家族との調整が進まないことが挙げられていて、政府は自治体に作成を急ぐよう促す方針と報じられています。

「個別避難計画って、そもそも何?」と思われた方も多いのではないでしょうか。今日はこのニュースをきっかけに、介護が必要な親御さんの災害への備えを、ご家族目線で一緒に考えてみたいと思います。

個別避難計画とは?やさしく言うと「その人専用の避難の段取り表」

個別避難計画は、ひとりでは避難が難しい方について、「誰が」「どうやって」「どこへ」避難を手伝うのかを、あらかじめ決めておく計画のことです。市区町村が中心になって作成を進めるもので、対象になるのは、たとえば要介護認定を受けている方や、障害のある方、ひとり暮らしの高齢の方などが多いようです。

計画には、目安として次のような内容が書かれることが多いです。

  • 避難を手伝ってくれる人(ご家族、ご近所、民生委員さんなど)
  • 避難先と、そこまでの経路
  • 避難するときに必要な配慮(車椅子が必要、薬が欠かせない、など)
  • 緊急時の連絡先

対象になる方の範囲や作成の進め方、どこまで書くかは自治体によって違います。千葉市にお住まいの方も、県内のほかの市町村の方も、詳しくはお住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターにご確認ください。

「避難行動要支援者名簿」「個別避難計画」…と言葉が並ぶと、少し混乱しますよね。わたしも最初は混乱しました。ざっくり言うと、名簿は「支援が必要な方のリスト」、計画は「その方ごとの具体的な段取り」というイメージです。

ニュースから見えてくること|「待っているだけ」では間に合わないかも

今回の報道で印象的だったのは、作成が進まない理由として「人手が足りず、本人や家族との調整が進まない」点が挙げられていたことです。裏を返すと、ご家族の側から声をあげたり、情報をまとめておいたりすることが、計画づくりを後押しすることにつながるのかもしれません。

もちろん、計画を作るのは自治体の役割です。ただ、親御さんの暮らしをいちばんよく知っているのはご家族です。「うちの親は対象になるの?」「計画はもうあるの?」と、まずは確認してみるだけでも大きな一歩だと思います。

介護中のご家族が今日からできる5つの確認

1. 親が名簿や計画の対象かどうかを聞いてみる

まずは市区町村の窓口、地域包括支援センター、または担当のケアマネージャーさんに「災害時の避難について、計画はありますか?」と聞いてみてください。ケアマネージャーさんからもよく相談を受けるのですが、ご家族が関心を持っていると分かると、話が進みやすくなることが多いです。

2. 避難先と「そこまでの道」を実際に確認する

避難所までの道のりに、坂道や段差、狭い歩道はありませんか?車椅子や歩行器を使っている方の場合、地図の上では近くても、実際には通りにくいことがあります。千葉市内にも、坂の多い住宅地や、エレベーターのない集合住宅は少なくありません。お天気の良い日に、一度ご家族で歩いてみるのもおすすめです。

3. 「すぐ避難」が難しい場合の在宅での備え

状況によっては、自宅にとどまる「在宅避難」を選ぶこともあります。その場合は、停電や断水を想定した備えが大切です。どちらを選ぶべきかは状況によって変わるので、自治体の情報やケアマネさんとも相談しながら考えてみてください。

4. 薬・医療的なケアの情報をまとめておく

お薬手帳のコピーや、かかりつけ医の連絡先、持病のメモなどを一か所にまとめておくと安心です。医療機器を使っている方や、お薬の管理が気になる方は、災害時の対応について主治医にご相談ください。

5. 連絡の取り方を家族で決めておく

離れて暮らしているご家族の場合、災害時は電話がつながりにくくなることもあります。誰が親御さんのところへ向かうのか、誰に連絡を集めるのか、ざっくりでも決めておくと、いざという時に慌てずにすみます。

福祉用具の視点からの「避難の備え」

ここからは、福祉用具専門相談員として、現場でお伝えしていることを少しご紹介します。

  • 電動の介護ベッドやエアマット:停電時に動かなくなる場合があります。エアマットは機種によって停電時の空気の保ち方が違うので、使い方をあらかじめ担当の相談員に確認しておくと安心です。
  • 車椅子:タイヤの空気が抜けていると、いざという時にスムーズに動かせません。日ごろの点検を心がけてみてください。
  • 歩行器・杖:避難所や屋外で使うことを想定して、折りたためるか、持ち運べるかを確認しておくとよいですね。
  • 玄関まわりの段差:避難の「最初の一歩」は玄関です。スロープや手すりで出入りしやすくしておくことは、日常の転倒予防にもつながります。

先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。ご家族から「停電したらこのベッドはどうなるんですか?」とご質問をいただき、一緒に手元スイッチやエアマットの説明書を確認しました。「聞いておいてよかった」とほっとされたお顔が印象に残っています。こうした確認は、定期的な訪問の際にもお気軽にお声がけください。

計画づくりのときに役立つ「親の暮らしメモ」

自治体やケアマネさんと避難について話すとき、次のようなメモがあると話がスムーズになることが多いです。

  • どのくらい歩けるか(家の中は歩ける、外は車椅子、など)
  • 使っている福祉用具の種類
  • 夜間のトイレの様子
  • 耳や目の聞こえ方・見え方で気をつけること
  • 近くに住む頼れる人の連絡先

完璧でなくて大丈夫です。分かることから少しずつ書き足していきましょう。

おわりに

「個別避難計画の作成率が対象者のおよそ15%」というニュースは、少しドキッとする数字かもしれません。でも、だからこそ、ご家族が「うちはどうなっているかな」と気にかけることに意味があると、わたしは思います。制度の細かな内容や対象範囲は自治体によって異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村の窓口や専門家にご確認ください。

わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

参考:ケアマネジメントオンライン(共同通信配信)

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