こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。千葉市を中心に、ご家族のお宅へ福祉用具のご相談にうかがっています。
先日、介護の専門メディアで気になるニュースを見つけました。厚生労働省が2026年9月に、「補装具(ほそうぐ)」と「介護保険の福祉用具」の関係について、あらためて留意事項を整理した、というものです(社会保険研究所・2026年9月11日公開)。少しかたい話に聞こえるかもしれませんが、じつはこれ、脳梗塞や骨折のあとに車いすを使い始めるご家族にとって、とても身近なテーマなんです。今日はこのニュースを入口に、現場の目線でかみくだいてお話しします。
今回のニュースは何を伝えているの?
報道によると、厚生労働省は「補装具の制度」と「介護保険の福祉用具の制度」が重なる場面での取り扱いについて、自治体ごとに対応にばらつきがあったことを受けて、あらためて留意事項を整理したそうです。
元記事で紹介されているポイントを、書かれている範囲でまとめると、こんな内容でした。
- 原則として「介護保険の給付が優先される」こと
- ただし、お一人おひとりの状態によっては、補装具の支給が受けられる場合もあること
- 一部の自治体では、この優先のしくみの説明が十分でなかったり、過去の補装具の利用状況の確認が足りなかったりしたこと
- これからは、利用前に補装具の利用実績を確認したり、ケアプランをつくるときに関係する職種のあいだで情報を共有したりすることが大切だ、ということ
正直にお伝えすると、わたしも新人のころ、この「補装具」と「福祉用具」の違いに最初はとても混乱しました。名前が似ていて、どちらも体を支える道具ですから、当然ですよね。ですので、迷ってしまうご家族が多いのは、とても自然なことだと思います。
そもそも「補装具」と「介護保険の福祉用具」って何が違うの?
まず、ふたつは「使う制度」がちがいます。ざっくりとしたイメージですが、現場では次のようにご説明することが多いです。
補装具(障害福祉のしくみ)
補装具は、身体障害者手帳をお持ちの方などが、障害福祉の制度を使って利用するものです。たとえば、体の状態に合わせて一人ひとりに合わせてつくる車いすや、義足・装具などがこれにあたります。「その方の体に合わせて、オーダーメイドに近い形で整える」というイメージを持っていただくと、わかりやすいかもしれません。
介護保険の福祉用具
一方、介護保険の福祉用具は、要支援・要介護の認定を受けた方が、レンタルや購入で利用するものです。介護ベッドや、標準的な車いす、歩行器、手すりなどが対象になります。多くの品目は「レンタル」で、月々の費用の一部を自己負担していただく形が基本です。
つまり、同じ「車いす」でも、体に合わせてつくる特別なものは補装具、標準的なものを借りるなら介護保険の福祉用具、というように、入口の制度が分かれていることがあるんですね。だからこそ「うちの親はどっち?」と迷いやすいのだと思います。
なぜ「どちらが優先」で迷うのでしょう
今回のニュースでもふれられていましたが、原則は「介護保険が優先」とされています。ただし、これはあくまで原則で、お一人おひとりの状態によっては補装具の支給が受けられる場合もある、とされています。
この「原則はこうだけど、例外もある」という部分が、いちばん混乱しやすいところだと感じます。実際、担当する市区町村によって説明のしかたに差があった、というのが今回整理されるきっかけになったようです。
ここで大切なのは、制度のこまかい線引きは、法律や自治体の運用にかかわる部分だということです。わたしたち福祉用具専門相談員は道具選びのお手伝いはできますが、「あなたはこちらの制度が使えます」という最終的な判断まではできません。ですので、迷ったときは、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口や、担当のケアマネージャーさんにご確認いただくのがいちばん確実です。
ご家族が確認しておきたい3つのこと
わたしが担当させていただいたお客様の中にも、脳梗塞のあとに片麻痺が残り、身体障害者手帳を取得された方がいらっしゃいました。ご家族が「介護保険で車いすを借りればいいと思っていたけれど、手帳もあるし、どうすればいいの?」と、玄関先でとても不安そうにお話しくださったのをよく覚えています。そんなとき、わたしが現場でお伝えしているのは、次の3つです。
- 身体障害者手帳をお持ちかどうかを整理しておく:手帳があるかどうかで、使える制度の選択肢が変わることがあります。まずはご本人の手元にある書類を、ひととおり確認しておくと安心です。
- 過去に補装具を使ったことがあるか思い出しておく:今回のニュースでも「過去の補装具の利用実績の確認」が大切だとされていました。以前つくった装具や車いすがある場合は、その情報を相談時に伝えられるようにしておくと、話がスムーズです。
- 関係する人に早めに相談し、情報を共有する:ケアマネージャーさん、主治医の先生、市区町村の窓口、そしてわたしたち福祉用具専門相談員。それぞれが持っている情報がつながると、遠回りせずに、その方に合った形にたどり着きやすくなります。
難しそうに見えても、ひとつずつ整理していけば大丈夫です。わたしも最初は混乱しましたが、「今わかっていること」をメモにするだけでも、ずいぶん気持ちが楽になりますよ。
体に「合っている」ことがいちばん大切
制度の話が続きましたが、わたしがいつも大事にしているのは、どの制度で用意するにしても「その方の体に合っているか」ということです。ベテランの先輩によると、体に合っていない車いすを無理に使い続けると、姿勢がくずれたり、床ずれの心配が出てきたりすることもあるそうです。
標準的な福祉用具のレンタルでも、クッションや付属品を工夫することで、ずいぶん座り心地が変わることがあります。逆に、体の状態が特別で標準品では合わせきれない場合は、補装具のほうが向いていることもあります。どちらが良い・悪いではなく、その方に合うかどうか、という視点で一緒に考えていけたらと思っています。なお、体の状態そのものについての判断は、主治医の先生にご相談くださいね。
千葉市で相談するなら、どこへ?
「うちの場合はどうなるの?」と思われたら、まずは身近な窓口に声をかけてみてください。目安として、次のような相談先があります。
- お住まいの区の地域包括支援センター:介護のことで、まずどこに相談していいかわからないときの入口です。千葉市では区ごとに担当が分かれています。
- 担当のケアマネージャーさん:すでに介護保険を使っている方は、ケアプランをつくるときに情報を整理してくれます。ケアマネージャーさんからも、福祉用具について相談を受けることはよくあります。
- 市区町村の障害福祉の窓口:補装具の制度は障害福祉のしくみなので、こまかい適用については、こちらでの確認が確実です。
- わたしたち福祉用具専門相談員:道具選びや、お試しのご相談はいつでも承ります。制度の入口で迷っておられる段階でも、遠慮なくお声かけください。
制度のこまかい解釈や、ご本人が対象になるかどうかは、自治体の窓口や専門の担当者にご確認いただくのが安心です。わたしたちも、必要に応じて窓口へおつなぎするお手伝いをしています。
おわりに
今回のニュースは、一見すると事業者向けの制度の話に見えますが、その先には「体に合った車いすで、少しでも安心して暮らしたい」というご本人やご家族の願いがあります。制度が整理されて、迷いが減っていくことは、ご家族にとって心強いことだと思います。
ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。補装具と介護保険、どちらを使えばいいのか迷われたときは、一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:社会保険研究所
