こんにちは、シルバーとっぷの雲居です。
朝晩が少しずつ冷えてきましたね。千葉市内でも、カフェで温かい飲み物を頼むことが増えてきました。今回は、10月中旬に報じられた訪問介護(ホームヘルプ)のニュースをきっかけに、ヘルパーさんと一緒に在宅介護を長く続けるために、ご家族ができることを考えてみたいと思います。
ニュースの概要|在宅介護の5団体が「基本報酬を引き下げ前の水準以上に」と要請
介護ニュースJointによると、2026年10月15日、在宅介護に関わる5つの団体(日本在宅介護協会、全国介護事業者協議会、全国介護事業者連盟、全国ホームヘルパー協議会、日本ホームヘルパー協会)が、来年度の介護報酬改定に向けて国に要請を行いました。
記事で紹介されている主な内容は次のとおりです。
- 訪問介護の基本報酬を、2024年度改定の前の水準に戻したうえで、物価や人件費が上がった分以上に増やしてほしい
- 報酬を決める土台になる「経営実態調査」について、地域・規模・事業の形の違いをふまえた、より細かい分析をしてほしい
- 団体の代表からは「このままでは訪問介護を提供できなくなる」「感謝される喜びや使命感だけで仕事を続けていくことにも限界」といった声が上がった
「介護報酬」とは、介護サービスを提供した事業所に支払われるサービスの値段のことです。国がおよそ3年ごとに見直していて、来年度がその見直しの年にあたります。どのくらい変わるのか、ご家族の自己負担にどう影響するのかは、まだ議論の途中です。決まった内容は、ケアマネージャーさんや市区町村の窓口から案内がありますので、詳しくはそちらでご確認ください。
なぜご家族にとって大事なニュースなの?
報酬の話と聞くと、事業所の経営の話で、ご家族には遠いことのように感じるかもしれません。わたしも最初は「制度の話は難しいな」と混乱しました。
でも、訪問介護は在宅介護を支える大きな柱です。食事やトイレ、入浴のお手伝い、お掃除や買い物など、ヘルパーさんが来てくださることで、親御さんが自宅での暮らしを続けられている、というご家庭はとても多いです。
団体が「提供できなくなる」と強い言葉で訴えているのは、それだけ現場が厳しいということなのだと思います。千葉県は都市部から郊外、房総の農村部まで広く、ご自宅の場所によってヘルパーさんの状況もさまざまです。だからこそ、今来てくださっているヘルパーさんとの関係を大切にすることが、ご家族にとっての大切な備えになると、わたしは感じています。
ヘルパーさんが動きやすい環境づくり|福祉用具ができること
ヘルパーさんの訪問は、30分や1時間など、だいたい決まった時間の中で行われることが多いです。その限られた時間で、安全に、気持ちよく支援していただくために、福祉用具が役に立つ場面があります。
介護ベッドで「腰を守る」
床に敷いたお布団だと、おむつ交換や着替えのたびに、ヘルパーさんもご家族も深くかがむことになります。高さを変えられる介護ベッドなら、介助する人の腰の位置に合わせて高さを調整できます。介助する側の体の負担が減ると、ケアにも気持ちにもゆとりが生まれやすくなります。
手すりや歩行器で「見守り中心の介助」に
立ち上がりや移動のときに、つかまる場所があるかどうかで、介助の仕方が大きく変わることがあります。工事不要の置き型手すりや歩行器を使うことで、ヘルパーさんが「抱える」介助から「そばで見守る」介助に変えられる場合もあります。ご本人が自分でできることが増えるのは、何よりうれしいことですよね。
動線を整えて「探す時間」を減らす
福祉用具そのものではありませんが、ポータブルトイレの置き場所や、通り道の段差・物の配置を整えることも大切です。先輩から教わったのですが、ヘルパーさんが「どこに何があるか」すぐ分かるお宅は、支援の時間を本来のケアやご本人との会話に使いやすいそうです。
現場で感じたこと|「時間に余裕ができました」
先日、お客様のお宅にうかがった時のことです。お布団で生活されていたお母様に介護ベッドとベッド用の手すりを導入させていただいたところ、後日、担当のヘルパーさんから「起き上がりの介助がすごく楽になって、その分、お母様とお話しする時間が増えました」というお声をいただきました。
ご家族も「ヘルパーさんが毎回大変そうで、申し訳なく思っていたんです」とほっとされていて、わたしもとてもうれしくなりました。福祉用具は、ご本人のためだけでなく、支える人みんなの負担を軽くするための道具でもあるのだと、改めて感じた出来事です。
ご家族ができる、ヘルパーさんと長く続けるための工夫
現場でよくいただくご質問なのですが、「家族として、ヘルパーさんに何をしておけばいいですか?」と聞かれることがあります。わたしからは、次のようなことをお伝えしています。
- 連絡ノートを用意する:体調の変化や気になったことを書いておくと、ヘルパーさん・ご家族・ケアマネさんの情報共有がスムーズになります
- お願いしたいことは、まずケアマネさんに相談する:訪問介護でできることには決まりがあります。ケアプランにない内容は、その場でヘルパーさんに頼むのではなく、ケアマネさんを通して相談しましょう
- 使いにくい福祉用具は早めに伝える:「ベッドの高さが合わない」「手すりの位置が使いづらい」など、ヘルパーさんが気づいたことも含めて、福祉用具専門相談員にお知らせください。調整や交換で改善できることがあります
- 「ありがとう」を言葉にする:ニュースの中でも、感謝が仕事の支えになっていることが語られていました。ひと言のお礼は、きっと届いていると思います
もしも訪問介護の事業所が見つからない・変わることになったら
地域によっては、訪問介護の事業所が少なかったり、急に担当が変わったりすることもあります。そんな時は、一人で抱え込まずに、ケアマネさんや地域包括支援センターに早めに相談してください。千葉市の場合は、各区に地域包括支援センターがあり、介護全般の相談ができます。
また、ヘルパーさんの訪問回数が限られる場合でも、福祉用具を見直すことで、ご本人やご家族だけでできることが増えるケースがあります。わたしが担当させていただいたお客様の中には、手すりやポータブルトイレを組み合わせて、夜間のトイレをご自身で行えるようになった方もいらっしゃいました。どの組み合わせが合うかはお一人おひとり違いますので、ケアマネさんと一緒に考えていきましょう。体の状態に関わることは、主治医にもご相談ください。
まとめ
- 在宅介護の5団体が、訪問介護の基本報酬を「引き下げ前の水準以上に」するよう国に要請しました
- 来年度の報酬改定の内容やご家族の負担への影響は、まだ議論中です。詳しくは自治体の窓口や専門家にご確認ください
- 介護ベッドや手すりなどの福祉用具で、ヘルパーさんが動きやすい環境をつくることも、ご家族ができる備えのひとつです
- 困った時は、ケアマネさん・地域包括支援センター・福祉用具専門相談員に早めに相談を
わたしも訪問先で、よく同じご相談をいただきます。一緒に考えていきましょう。ご家族の暮らしが少しでも穏やかになるよう、わたしたちは千葉県で38年お手伝いしてきました。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
雲居 愛(くもい あい)/ 株式会社シルバーとっぷ 在宅営業部 福祉用具専門相談員。千葉県生まれ。千葉県内の大学で社会福祉を学び、2024年シルバーとっぷ入社。現在は千葉市を中心にご家族のもとへ訪問し、福祉用具の選定やご相談を担当。趣味は読書と犬の散歩。
参考:介護ニュースJoint
